『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  245

2014-04-07 06:53:36 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 二人は、魚種のチエックではなく、魚の売り方、売れ方に注意を集中した。客の買い方から見ると家庭用であると察せられた。二人は顔を見合わせて頷き合った。大量に買おうとする客筋が無いようである。『少量、多数の客に魚を売る』この考え方で対応して事に当たり、捨てるを惜しまない売り方の覚悟がいると判断した。次いで塩干魚は、どうであろうかと売り場を見て廻った。こちらの客筋は違うようである。客が求める量の希望を満足させていない様子が見受けられた。二人は小声で話しながら、あちこちを見て歩いた。あとは思考で答えが出せるようにと観察して見て廻った。
 『パリヌルス、向こうの青物の方も見てみないか』
 『おう、そうしよう』
 二人は、青物の売り場に足を向けた。
 『こちらは我々が買い人になるように感じられる、今の俺たち青物の食べ方がちい~と少ないように思う。俺たちが生きていくうえでの栄養の事だ』
 『そうだな、お前の言うとおりだ』と頷いた。ほか、いろいろと売り場を見て歩いた。
 二人は、パンの売り場に戻ってきた。
 『売り場を見て廻られて、どうでしたか?』
 『おう、少しは学習したようだ。明日の思案に役立つか、どうかは別にしてだ。パンの売れゆきはどうだ?』
 『え~え、いいですね。あともう少しです。終わり次第、三人で売り場を見て廻りましょうや』
 『おう、そうしよう。売り場にけっこういろいろな物が揃っている』
 『それは便利といえますね。私たちが買い付ける物もあるようですかな?』
 『それは三人で見て廻ろう』
 『砦建設に必要とする物も取り扱っている売り場がありましたか』
 『おっ、それは気が付かなかったな俺らとしたことが』といってオキテスは頭を軽くたたいた。
 『お~、オロンテス、パンの残りが少なくなったじゃないか。あと数人の客で終わりだな』
 『そうですよ』
 『あとをスタッフに任せないのか』
 『え~え、任せません』
 『最後のお客さんを見送るのが、私の今日の役目なのです。感謝しなくっちゃ。それで明日につながっていく。私の思いです』
 オロンテスは会話を結んだ。