浜に来たパリヌルスは、大声でリナウスを呼んだ。
『おう、リナウス、馬に乗れる者を二人を選んで、すぐ俺のところにつれて来てくれ。俺はここで待っている』
『はい、判りました』リナウスは走った。
今、この集落には馬が三頭いる。イリオネスは、アヱネアスと自分用にと考えて、クレタに上陸した折から馬二頭を飼育していた。一頭は、ガリダ頭領の訪問時に贈られた馬である。
『あの馬は、人に慣れているのかな。この際だ、どちらでもいい』とイリオネスは独りごちた。
リナウスが兵卒一人を連れて戻って来た。
『隊長、二人は無理です。この者一人です』
『そうか、判った。馬の係りの者がいる、よし、それでいい。名は何という』
『この者はヒタバスと言います』
『よし!ヒタバス、一緒に来い。用件は歩きながら話す。リナウス、いいぞ。用件は終わった』
二人は肩を並べて歩み始めた。
『おう、ヒタバス、お前、馬は大丈夫か?』
『はい、トロイのあの日から、馬には乗っていませんが、自信はあります』
『よし、いいだろう。用件はあとから話す』
二人は広場を横切ってイリオネスの宿舎の前に来た。
『軍団長、一人連れてきました。もう一人は、馬の世話をやいている者にしましょう』
『そういえばそうだな。世話をかけた。俺は馬小屋まで行ってくる』イリオネスは座を離れた。
イリオネスが一頭、もう一頭は馬の世話係の者が引いてやってきた。
イリオネスは、ヒタバスと馬の世話係のケッタスの二人を前にして手短かに用件を説明した。
『判りました』二人は口をそろえて答えた。
『ザッカス君、この二人を連れて行ってくれ、用件は伝えた。一人は、ヒタバス、こちらがケッタスという、あ~あ、君のように馬乗りがうまくはないと思うがよろしく頼む。父上のガリダ頭領にはよろしく伝えてくれ。セレストス、ザッカス君にそれを渡してくれ』
『ザッカス君、これは焼きたてのパンだ。持ち帰っていただきたい』
『言われるままに、喜んでいただきます』
ザッカスは礼を述べた。イリオネスは、パンを入れた袋を手渡した。三人は馬に乗り、二人はザッカスに従って馬を進めた。
二人の手綱さばきはぎこちなかった。アヱネアスらは三人を見送った。
『軍団長、あの二人、大丈夫ですかね』
パリヌルスは不安を口にした。
『おう、リナウス、馬に乗れる者を二人を選んで、すぐ俺のところにつれて来てくれ。俺はここで待っている』
『はい、判りました』リナウスは走った。
今、この集落には馬が三頭いる。イリオネスは、アヱネアスと自分用にと考えて、クレタに上陸した折から馬二頭を飼育していた。一頭は、ガリダ頭領の訪問時に贈られた馬である。
『あの馬は、人に慣れているのかな。この際だ、どちらでもいい』とイリオネスは独りごちた。
リナウスが兵卒一人を連れて戻って来た。
『隊長、二人は無理です。この者一人です』
『そうか、判った。馬の係りの者がいる、よし、それでいい。名は何という』
『この者はヒタバスと言います』
『よし!ヒタバス、一緒に来い。用件は歩きながら話す。リナウス、いいぞ。用件は終わった』
二人は肩を並べて歩み始めた。
『おう、ヒタバス、お前、馬は大丈夫か?』
『はい、トロイのあの日から、馬には乗っていませんが、自信はあります』
『よし、いいだろう。用件はあとから話す』
二人は広場を横切ってイリオネスの宿舎の前に来た。
『軍団長、一人連れてきました。もう一人は、馬の世話をやいている者にしましょう』
『そういえばそうだな。世話をかけた。俺は馬小屋まで行ってくる』イリオネスは座を離れた。
イリオネスが一頭、もう一頭は馬の世話係の者が引いてやってきた。
イリオネスは、ヒタバスと馬の世話係のケッタスの二人を前にして手短かに用件を説明した。
『判りました』二人は口をそろえて答えた。
『ザッカス君、この二人を連れて行ってくれ、用件は伝えた。一人は、ヒタバス、こちらがケッタスという、あ~あ、君のように馬乗りがうまくはないと思うがよろしく頼む。父上のガリダ頭領にはよろしく伝えてくれ。セレストス、ザッカス君にそれを渡してくれ』
『ザッカス君、これは焼きたてのパンだ。持ち帰っていただきたい』
『言われるままに、喜んでいただきます』
ザッカスは礼を述べた。イリオネスは、パンを入れた袋を手渡した。三人は馬に乗り、二人はザッカスに従って馬を進めた。
二人の手綱さばきはぎこちなかった。アヱネアスらは三人を見送った。
『軍団長、あの二人、大丈夫ですかね』
パリヌルスは不安を口にした。