『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  246

2014-04-08 07:48:05 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 最後の客が訪れた。
 『おう、パン屋さん。よく売れたかね。いやね、交易をやっているテカリオン、奴から聞いていたんだ。集散所にパン屋が売り場を開くってね。どうだい、よく売れたかね?』
 『はい、おかげさまといいたいですな、売れました。もしを考えたらとても心配しました。明日も今日のようにが私どもの願いです』
 『お前さんの言うとおりだよ。今日よりも明日だ。パンはいくつある?みんな、買おうじゃないか』
 『それは、ありがとうございます。5個あります』
 『おっ、そうかい!』と答えて、伴の者に言った。
 『木札5枚を渡して、パンを受け取れ』
 『判りました』と返して、木札を5枚を取り出した。
 『ありがとうございます。いや、木札は4枚いただきます。パン1個はお客様への感謝です、お受け取りください』
 『そうかい、それはありがとう。お前、なかなかやるな、客の心をつかむのがうまい!喜んで受け取るよ。また来る、ありがとよ』
 と言い残して客は、立ち去った。
 オロンテスは、スタッフたちに告げた。
 『お前らご苦労であった。パンはここに完売した。今日までのあれやこれやの苦労がいっぺんに吹っ飛んだ。重畳の結果であった。皆で喜ぼう。いい報告ができるというもんだ。明日への張りが出る。ありがとう!それでだな、おい、木札の枚数を数えて俺に聞かせてくれ。あとは、ここを片づけてお前らも集散所を見て廻って来い、以上だ』
 『おう、オロンテス、やったな!どんな結果になるか気をもんでいたが、重畳といえる結果になった。皆で喜ぼう』
 パリヌルスが声をかけ、オキテスとオロンテスは感動の握手を交わしていた。
 『お~、ご両人、ありがとう、心配しただけに、この結果に感激ひとしおだ。ではいこうか、集散所の見学に』
 三人は歩き出した。スタッフ連とギアスも集散所の中を歩いた。一同の気持ちは晴れ晴れとしていた。
 オロンテスの心は弾んでいた。
 『ご両人、俺がこんな気分になる、仕事をやったって気分だ。こんな感動といおうか、感激といおうか、この達成感は、生まれて初めてのものだ。ご両人に心からありがとうを言わせてもらう。ありがとう!』と述べて二人の手を力強く握った。