『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  273

2014-05-15 08:44:16 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスは、スダヌスの意向を知った。
 『スダヌス頭、そのように考えられていたとは知りませんでしたな。我々は、全く逆の方向へと進んでいたわけですな。我々もこうしてこうすればこうなると判ってやっていたことではなく、やっていたらこうなったというわけです。我々も無我夢中で、この問題と取り組んだいた次第です。それも結果が時たまではなく、安定していい結果を持続させるにはに取り組んだようなわけです。それの答えが出そうなのです』
 やや謙虚に事の次第を離した。
 『そうか、それは恐れ入ったな。お前らのやっていることは全く漁師の上をいっている。俺は恐れ入った、全くだ。今、提案されたこと、真剣に考えようではないか。ええ~っ、ご一同!ということでいかがですかな。そのことを念頭に置いて集散所を見て廻りましょう、統領。ただ漫然と集散所を見て廻るのではなく、意図をもって見る、いいですね。判りました、いいカタチを考えます、では、朝食を終えたらさっそく出かけましょう』
 彼らの意志はここに決まった。スダヌスは座を立って、パンをほおばりながら、スダヌスの一行の朝食の場へと歩み向かった。
 『お~い、者ども、お前ら朝めしを終えたら、即刻、出航の準備を整えろ、判ったな。出来たら俺に連絡だ、いいな』
 『おうっ!諾っ!』
 スダヌスが戻ってくる。
 『いやいや、出航の準備手配ですわ。出来たら行きましょうや』
 『おう、判った』イリオネスが答える。スダヌスがパリヌルスに身を寄せてきた。
 『おう、パリヌルス、魚の売りさばきを俺に任せる、その真意はどういうことだ。あとでいい俺に聞かせろ』
 『おう、いいだろう。他意があっての事ではない。当然の成り行きなのだ』
 『当り前だ、そうであってしかるべきなのだ。それは、ちょっと、俺の思い上がりかな』
 『それは言えている、チョッピリ思い上がりだが、それが当然と思っての俺の結論だ。宜しく頼む。そいうことだ』
 『おう、判った。任せろ、餅は餅屋だ』
 一同は出航の身仕度を整えて浜へと向かった。
 イリオネスもパリヌルスに問いかけてきた。
 『パリヌルス、お前が思案した方策については理解した。魚の売りさばきは、パンの売りとはいささか違うことは判る。方策のなぜについて、いずれ説明してくれ』
 『判りました』
 パリヌルスは、この仕事が陽のあたる坂道を昇っていくことを強くイメージした。パリヌルス自身、この仕事に深く携われないと考えていた。それゆえの仕事手法を考えていたのである。