『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  279

2014-05-24 07:50:35 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、集散所の事は、ほぼ理解できた。あのような取引の風景を目にしたのは初めてといっていい。我々のこれからを考えるのに大いに役に立つというもんだ。俺の立場にとって見ておくべき状況であったと言える』
 『そうでしたか、集散所の視察はいい機会でしたね。軍団長、ところで、明日からの事もあります、夕めし前に会議をやりたいと考えていますが、都合はいかがですか?』
 『おう、いいだろう、やろう。オロンテスもここにいる。パリヌルスは浜だ。すぐ手配をしてくれ』
 『判りました。場所は、統領の宿舎の前庭でいいですね』
 オキテスは、従卒を浜へ走らせた。
 会議は、ここ数日間にわたる樹木調査の報告、また、計画、課題に関しての状況、関係各方面との接渉状況等、そして、明日からの予定について話しあい、打ち合わせた。
 イリオネスが中心となって行う調査隊の編成と概要が詳しく告げられ日程も決定した。
 イリオネスが会議を締めくくった。
 『今日、集散所の模様をこの目でつぶさに視てきた。俺の感じたことを話す。パンの売りについてだが、今は、まずまずの結果で推移していると想う、始めたばかりだというのに喜ばしいことである。しかしだ、いつか壁が目の前にできて、行くてを阻むかもしれない。この壁が出現しないように、日々、改善を心がけて事を進めていくか。壁!そのようなもの糞くらえで事を進めていくか。極端ではあるが二通りの壁対処方法だ。俺が、ここで考えるのは、人の心、群衆の心の動きだ。この俺が諸君に伝えておきたいことは、物事を日々改善の方法で事を進めてもらいたいと考えている。壁にぶち当たった時に群衆の心を味方につけている、つけていないで物事が当方のとって有利に展開するか、それとも不利な展開となるかに分かれる。これが大切な要点だ。俺が諸君たちに期待するのは、日々の改善、群衆を味方にするといった、事に対する処し方であると考えている。一同が前に進む、壁を造らない、造らせない、壁を乗り越えて、そこに立っているのは、常に我々である。諸君!頼むぞ!』
 三人がこれを聞いて、軍団長としてのイリオネスの事に対する処し方を知った。