『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  277

2014-05-22 07:59:49 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『うっう~ん、旨かったな。あのような食べ方もあったのか』
 イリオネスは、感嘆の感想を口にした。
 『軍団長、オロンテスに食べさせたかったですな』とパリヌルスが言う。
 オロンテスは、集散所の中を歩き廻って、広場にいる一同を目にしてやってきた。
 『ややっ!こちらにおいででしたか、統領。あと小一時間くらいで、パンを売り切ります。明日の注文も受け付けました。仕事が終わり次第、帰途につきます』
 『おう、判った。パリッ!お前、まだ用件があるのか、あと小一時間くらいで仕事が終わるそうだ』
 『そうですか、判りました。スダヌス頭と打ち合わせ用件が2件くらいあるだけです』
 『そうか、判った。出来るだけ早く済ませろ』
 『判りました』
 彼は一拍の間をおいて、スダヌスのほうを向いた。
 『頭、二人だけで話せる場がありませんか』
 『おう、そうか。じやあ~、来い!こっちだ』
 二人は場を離れた。
 『なんだ、パリヌルス。他人にきかれたら、まずい用件か』
 『魚を日持ちさせる、塩漬けにする、天日と風に当てて干す、貴方たちはどのようにしてやっているのか、それを知りたい。それについて日を改めて話し合いたい。次は頼みの一件だ。頭の手許に用済みの船が一艘ないかな。あれば貸してほしい。ハシケでもいいと考えている、浜と小島の往復に使うのだが』
 『その二件か、急いでいる件はどっちだの方だ』
 『船の方だ』
 『船の方は、すぐに解決できる。ちょっと古いがまだ使える。手漕ぎだぞ、それでいけるのか。10人くらいが乗れるのが一艘ある』
 『おう、それでいい。ちょっとの間、貸してもらえないか』
 『いいだろう。用済みになったら返してくれれば、それでいい』
 『ところで、魚の話だ。お前らのやっている漁をこの目で見てみたい。三日後にお前らのほうへ出かける、船は、その時、曳いていく。魚の話は、その時しようではないか。それでいいか』
 『それでいい、願ったりかなったりだ。俺は待っている』
 二人の話は決着した。