『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  134

2019-10-08 06:13:53 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 三人が明朝の出航準備作業に向かう、軍船の浜には大勢といえる者らが集まっている。
 三人を囲んで円陣を組む、会所から軍船の浜に到る道中で三人は作業段取りを話し合ってきている。
 パリヌルスがアレテスに用員を割り当て軍船の整備を指示する。
 パリヌルスとおkテスは残った大勢を連れて、刀槍類、武具等を収納している建屋に向かう、収納している戦闘用具等は使用する機会がなくとも手入れされている。
 『おう、パリヌルス、武具類の手入れが行き届いているな』
 『そんなこと当たり前だろうが、いつ何があろうとも使えるようになっている。常に備えよだ』と話し合いながら、作業指示をする。
 
 会所に残ったアエネアスとイリオネス、こちらも明日の出航に際しての準備作業を考えている。
 『統領、行きましょう、私の宿舎へ。運び出す我らが保有している資産の荷づくりです』
 『おう、了解!』二人は立ちあがる、イリオネスの宿舎へと向かう。
 歩きながらイリオネスがアエネアスに話す。
 『ドックスに引き継ぐ資産の件もあります。宿舎とともに彼に引き渡す心算でいます』
 『そうか、それがいい。ところで、俺の宿舎だが、誰に引き継ごうかな?』
 『それはドックスに一任でいいのではないですか』
 『そうだな』
 イリオネスの宿舎に着く、アエネアスは状態を見て驚く。
 『おう、軍団長、こんなにあるのか』
 『そうです。トロイを出る時、持ちだした金は、デロスのアポロンの神殿、クレタのゼウスの神殿に詣でたときに使った分が減っていますが、船舶の売りで稼いだ銀貨の量が増えています。これからの旅でどれだけの支出があるか判りません。心しています』
 『そうだな、解った。イリオネス、言ってくれ、作業を進める』
 イリオネスが指示する、二人の共同作業がはかどり、荷づくり作業が終わる、二人は会所に戻る。
 イリオネスは、休むことなく軍船の浜へ歩を運ぶ、軍船の作業の進捗を確かめる、300人に及ぶ人員が取り組んでいる作業である、彼は状況を見届ける。
 『おう、パリヌルス、今日の午後の航海の詳細打ち合わせだが、頃合いになったらお前らを呼びに来る。それまでに作業を完了するのだ』
 『解りました』
 昼を終える、軍船の浜にパン工房から荷が届く、オロンテスも姿を見せる、四番船に積み込む、四番船は、軍船を交易船構造に改造している船である。
 パリヌルスとオキテスが各船を見て廻る、作業の完了を確認する。
 アエネアスとイリオネスが姿を見せる、パリヌルスが出航準備作業の完了を報告する、イリオネスが見て廻る、完了を確認する。
 作業に従事した全員を集合させる、イリオネスが出航について一同に告げる、明朝の集合の頃合いを伝える。
 『一同、判ったな。以上だ』
 『おうっ!』と一同から返事が返った。