朝方の空気が肌寒い、船上の者らは肌をくっつけ合って眠っている。
パリヌルスがうすら寒さを感じて、目を覚ます、見あげた空には降るように星がきらめいている。
キューテラ島のキシラの港近くの海は凪いでいる、船団を率いて洋上に停泊した彼らが一夜を過ごす。
パリヌルスは、今日の航海を考える、手元にあるスダヌスの書き記した航海図を手にとる、目を落とす、暗くて線が見えない、見ることをあきらめる、考えることに集中する。
この地点では、水平線を破って顔を出す太陽を見ることはかなわない。
出発の頃合いを考える、空を見る、薄明の訪れを感じとる。
空との境を区切っている島の稜線に目をやる、朝が明け始めている。
静かに近づく人の気配を感じる、その者がささやく。
『パリヌルス隊長、朝が明け始めています』
『おう、そうだな。この明るさでは、スダヌスの航海図の線をはっきり見ることがかなわない。ここに腰を下ろせ。線が見えるようになるまで待て。軍団長を起こして今日の航海について打ち合わせる』
『判りました』
島の稜線上の星の光が消えていく。
パリヌルスが起ちあがる、『ギアス、起て!軍団長はどのあたりか解っているのか?』
『わかっています。舳先です』
『わかった、いくぞ!』二人は足音を消して歩む。
『軍団長、起きていられますか?』
『おう、起きている』
『おはようございます、いい朝です。今日の航海を打ち合わせたいのですが、このスダヌスの航海図ですが、かなり正確です。このピュロスまでですが、昨日の航程に比べて、2割がた遠いように考えられます。日が暮れてもピユロスを目指すかを心してください。今日横切ってわたる二つの湾口はかなりの距離があるように思われます』
『そうか。航海図ではかなりの距離だな。二つの湾口を渡った時点で考える』
『了解しました。私らは船団でここに停泊しています、島の者らが何事かと勘ぐります。出来るだけ早く船出しようと考えています。よろしいですね!』
『そうだな、そのようにしろ!』
空が白々としてくる、明るくなってきつつある。
『ギアス、二番船の張り番の姿は?』
『こちらをうかがっています』
『船出を伝えろ!』
ギアスが船出のサインを送る、三番船、四番船にと瞬時に伝わる、四番船から、『出船、暫時、待ってくれ!』のサインが届く、『了解!』のサインを返す、四番船が三番船によりつき今日の食糧を渡している、四番船が各船に寄りつき食糧を配り終える。
オロンテスがパリヌルスに声をかける。
『おう、パリヌルス、食糧を配り終えた!業務完了!出船、OK!』
船団は、海中に沈めていた碇石を上げる、海面を泡だてる、凪いでる海面を割り船が進み始める。
キシラの浜に人影がチラリホラリと見てとれる。
島の稜線上に今日の太陽が顔を見せはじめる。
静かなる湾口の海を船団が航跡を残して、ペロポンネソス半島の南端の海域を進んでいった。
パリヌルスがうすら寒さを感じて、目を覚ます、見あげた空には降るように星がきらめいている。
キューテラ島のキシラの港近くの海は凪いでいる、船団を率いて洋上に停泊した彼らが一夜を過ごす。
パリヌルスは、今日の航海を考える、手元にあるスダヌスの書き記した航海図を手にとる、目を落とす、暗くて線が見えない、見ることをあきらめる、考えることに集中する。
この地点では、水平線を破って顔を出す太陽を見ることはかなわない。
出発の頃合いを考える、空を見る、薄明の訪れを感じとる。
空との境を区切っている島の稜線に目をやる、朝が明け始めている。
静かに近づく人の気配を感じる、その者がささやく。
『パリヌルス隊長、朝が明け始めています』
『おう、そうだな。この明るさでは、スダヌスの航海図の線をはっきり見ることがかなわない。ここに腰を下ろせ。線が見えるようになるまで待て。軍団長を起こして今日の航海について打ち合わせる』
『判りました』
島の稜線上の星の光が消えていく。
パリヌルスが起ちあがる、『ギアス、起て!軍団長はどのあたりか解っているのか?』
『わかっています。舳先です』
『わかった、いくぞ!』二人は足音を消して歩む。
『軍団長、起きていられますか?』
『おう、起きている』
『おはようございます、いい朝です。今日の航海を打ち合わせたいのですが、このスダヌスの航海図ですが、かなり正確です。このピュロスまでですが、昨日の航程に比べて、2割がた遠いように考えられます。日が暮れてもピユロスを目指すかを心してください。今日横切ってわたる二つの湾口はかなりの距離があるように思われます』
『そうか。航海図ではかなりの距離だな。二つの湾口を渡った時点で考える』
『了解しました。私らは船団でここに停泊しています、島の者らが何事かと勘ぐります。出来るだけ早く船出しようと考えています。よろしいですね!』
『そうだな、そのようにしろ!』
空が白々としてくる、明るくなってきつつある。
『ギアス、二番船の張り番の姿は?』
『こちらをうかがっています』
『船出を伝えろ!』
ギアスが船出のサインを送る、三番船、四番船にと瞬時に伝わる、四番船から、『出船、暫時、待ってくれ!』のサインが届く、『了解!』のサインを返す、四番船が三番船によりつき今日の食糧を渡している、四番船が各船に寄りつき食糧を配り終える。
オロンテスがパリヌルスに声をかける。
『おう、パリヌルス、食糧を配り終えた!業務完了!出船、OK!』
船団は、海中に沈めていた碇石を上げる、海面を泡だてる、凪いでる海面を割り船が進み始める。
キシラの浜に人影がチラリホラリと見てとれる。
島の稜線上に今日の太陽が顔を見せはじめる。
静かなる湾口の海を船団が航跡を残して、ペロポンネソス半島の南端の海域を進んでいった。