彼らは船だまりを後にした。歩き始めて数分、キドニアの街の中である、家並みの続く道をもくもくと集散所へ向けて列をなして進んだ。町は目覚めている、行きかう人々が彼ら一行を見つめる、彼らにとって物珍しい光景であったらしい。行きかう人の群れが増えてくる、集散所が近づいてきていた。オロンテスは、道をたどりながら思い浮かべていた。今日まで生きてきた、その途上において経験したことを振り返って思い起こした。交易所で物を求めたことなどを次々と思い起こした。それを例にして今日の仕事を考えた。イメージがクリアではなかった。そのボーっとした靄の中に一筋の光をみとめた。
『まあ~、いいだろう。もやもやであって当たり前なのだ』
思考が終点にたどり着いて目の前が開けた。
オロンテスらは、目指した建物の前に着いたらしい。目の前に幾度か目にした集散所の建物があった。集散所の前は広場になっている。
『お前ら、ここでちょっと休んでいてくれ。俺は行ってくる』
彼は、言い残して建物の中に入っていった。建物は、宮殿風に作られてはいるが、戸はない、風が吹き抜ける柱だけのたたずまいである。土間はといえば、石畳であった。いろいろなものがひしめき合って並べられている。それらを見て歩く人、求める人で建物の中は賑わいを見せていた。オロンテスは、事務所と思しき人の集まっているところを見つけてたたづんだ。集まっている人と目が合う、目線を合わせて挨拶を交わした。そんなオロンテスに気がついて、近づいてくる人がいる。ハニタスであった。
『お~お,オロンテスさん。来られましたか、待っていました。案内しましょう』
『はい、ハニタスどの。今日からお世話になります。宜しくお願いします』
二人は、どちらともなく手を差し伸べて握り合った。
『オロンテスさん、こちらです』
ハニタスが先に立って歩き始めた。建物の中の空いている一角にオロンテスを案内した。通路の角である、人の往来の激しいところであった。そこは建物中でもいい場所と言えそうである。
『こちらを使ってください。いい場所であると思います。商いものの陳列を終えられたら、もう一度私のほうにおいでください。こちらでの仕事のやり方について説明いたします』
『判りました。では後ほど』と言って、二人はそれぞれの場に戻った。
取って返したオロンテスは、一行を連れて集散所の決められた場所へ荷を運び陳列した。雑作はなかった。手際よく事を終えた。
通る人が立ち止まり、彼らが持ち込んだ品物を見る、見る人々の目が好奇な目つきで物を見て通り過ぎていった。
『まあ~、いいだろう。もやもやであって当たり前なのだ』
思考が終点にたどり着いて目の前が開けた。
オロンテスらは、目指した建物の前に着いたらしい。目の前に幾度か目にした集散所の建物があった。集散所の前は広場になっている。
『お前ら、ここでちょっと休んでいてくれ。俺は行ってくる』
彼は、言い残して建物の中に入っていった。建物は、宮殿風に作られてはいるが、戸はない、風が吹き抜ける柱だけのたたずまいである。土間はといえば、石畳であった。いろいろなものがひしめき合って並べられている。それらを見て歩く人、求める人で建物の中は賑わいを見せていた。オロンテスは、事務所と思しき人の集まっているところを見つけてたたづんだ。集まっている人と目が合う、目線を合わせて挨拶を交わした。そんなオロンテスに気がついて、近づいてくる人がいる。ハニタスであった。
『お~お,オロンテスさん。来られましたか、待っていました。案内しましょう』
『はい、ハニタスどの。今日からお世話になります。宜しくお願いします』
二人は、どちらともなく手を差し伸べて握り合った。
『オロンテスさん、こちらです』
ハニタスが先に立って歩き始めた。建物の中の空いている一角にオロンテスを案内した。通路の角である、人の往来の激しいところであった。そこは建物中でもいい場所と言えそうである。
『こちらを使ってください。いい場所であると思います。商いものの陳列を終えられたら、もう一度私のほうにおいでください。こちらでの仕事のやり方について説明いたします』
『判りました。では後ほど』と言って、二人はそれぞれの場に戻った。
取って返したオロンテスは、一行を連れて集散所の決められた場所へ荷を運び陳列した。雑作はなかった。手際よく事を終えた。
通る人が立ち止まり、彼らが持ち込んだ品物を見る、見る人々の目が好奇な目つきで物を見て通り過ぎていった。