ひらりん気まま日記

== 毎晩パコパコ せっかちでドジなひらりんの言うたもん勝ち ==

失聴から音のある世界へ=人工内耳

2007-02-05 23:59:25 | 身体&健康
エリカ
ジャノメエリカ  青空の左上方にカメラのゴミが…

2/4付コメントsaganoさんのからの質問 [聞こえなくなった時、子育ての時期だったのでは?辛かったのでは?]への回答です。(辛気臭い長文なので興味のある方だけどうぞ)

私は32歳のときに失聴しました。原因はおそらく慢性中耳炎からと思われます。
男性は突発性難聴、女性は出産を機に失聴するケースが少なくありません。
ちょうど、子育て期と重なり1年ほどは、さすがの私も人並みにしんどい思いはしました。
でも、どんな大きな音も耳に入らず、自分の声も聞こえなくなってしまうと、「もうしゃぁないやん」と、あきらめがついて開き直りました。
家事をする分には大丈夫だけれど、音が聞こえないのはとても不便で、その中でもコミュニケーションができないことがいちばんの大きな障害です。言葉のわからない外国にひとりで放り出されてしまうようなものです。
その間に手話を覚えたり、サークルに入ったりして何とか社会との関わりを保ちました。

そして、43歳のときにダメもとで受けた人工内耳挿入手術のおかげで再び音を取り戻したのです。
人工内耳というのは、全身麻酔で内耳に電極を挿入、外部機器のマイクからの音声を電気信号に変えて内耳に送ります。
入浴時や就寝時は外部機器をはずすので全く聞こえません。
真横で救急サイレンが鳴ろうと、泥棒が「金を出せ!」をわめいてもスースー。

新しい機器になるほど年々性能が良くなっているが、聴力レベルは中程度、音楽はメロディがよくわからない、背景音が大きいと声がよく聞き取れない。4人以上の会話になるとついていけないなど限界があります。人工内耳は決して元通りの聞こえにはなりませんが、無音の世界からすれば大きな効果があります。
ただし、人工内耳にしても言葉がほとんど聞き取れない人から、電話でやり取り可能な人まで個人差が大きく、特に生まれてから聞こえない人=ろうあ者の人には5歳ごろまでに手術を受けないと音声言語の習得は難しいといわれています。

今までがんばったんですね?と思われるかもしれませんが、私としてはそんな気は全くなく、折り合いつけてやり過ごしてきただけね。
がんばるというのは、気の進まないこと苦手なこと辛いことに気合を入れて達成することであり、たとえば、早起きするとか、複雑豪華なお料理を作るとか、私とすれば、そういうことががんばることになるのです。我ながらがんばり度の項目が低いのが情けないけど。

そういう経過で、今では人工内耳はなくてはならないものになり、聞こえなくなったおかげでたくさんの仲間や友だちもでき、わずかながら福祉に関わりを持つこともでき、良かったかなと思っています。

聞こえなくなったときも(こっちの切り抜きは紛失)聞こえるようになったときも、新聞に投稿していた。朝日新聞大阪本社版「ひととき」199×.6.28
私って、昔から、どんなときでも何でもネタにしようという精神だけはあったんやなぁ。
だから、下手に感動なんかせんといて下さい。