
カキツバタとキショウブ
本を買うのも並べるのも眺めるのも好きだった頃、14年前に家を建替えるときに、3畳くらいでいいので自分の部屋が欲しかった。
南側に窓があって、あとは出入り口を除いて、壁ぐるりと本棚がある。
作家ごとに並べた本に囲まれて、部屋の真ん中に冬はコタツになる小さな机を置いて、ハギレやミシンもすぐそばにあって、手作り中は広げっぱなしで片付けなくてもよいと。
結局、間取り上、そんな小部屋も作れなくて、2階の階段の踊り場に大きめの書棚を置いただけ。
以来、本を詰め込むところもなくなり、よっぽど早く読みたい本以外は図書館待ちになり、文庫本のミステリは読んだら友達に回してしまい増えることもなく。
月日は流れて、本とはほとんど無縁の生活になりさがってしまった。
先日、夫が2階のベランダに置いていたボックス型の物入れの中から80年代の「本の雑誌」のバックナンバーが50冊くらい「ほかせば?」と出してきた。
もう読まないし、捨てるしかないんだけど、なんだか愛しくて懐かしくってまだ裏に置いてある。