7/16(金)21℃
おはようございます。
久々に梅雨前線の怖さを実感した豪雨を体験しました。
皆さんの関わっていっしゃる地域は大丈夫でしたか?
一昨日、昨日と災害対策本部の応援員として従事した訳ですが、時間の経過とともに被害状況が明らかになり、湯来では地域一体が規定雨量を超えたため避難勧告が出されました。(被害なくてホッ)
我が家隣を流れる川も氾濫直前まで水量が増え、後10cmでオーバーしてしまうところでした。
「備えあれば憂いなし」日頃からの気構えを忘れなく。
湯来の民話「阿弥陀ケ峰物語(三部作)第1話・弓の名人」後半
岩陰に陣取って、大蛇の現れるのを待つこと数日、何事も起こりません。更に、7日目の晩が過ぎ、10日目の夜が来ても池の中もまわりも静まり返って物音一つしません。こんな日が続いて20日目の真夜中のことでした。家のお手伝いさんがやって来ました。
「旦那様、奥様のお言いつけで来ました。お客様がおいでになりましたので、すぐお帰りください。」
この真夜中、さみしい山道を女一人でよく来たものだと一応は不審に思いましたが、いつも家にいるお手伝いさんなのでとにかく帰ることにしました。帰る途中、「どんなお客様がこられたか」と問うても「知らない人でございました」と言う。九郎左衛門の武名を聞いて時折、野武士が尋ねてくるので、そんな客かもしれないと思いました。家の近くまで帰ると、お手伝いさんは家の中に入らず、「遅いので家に帰って休ませていただきます」と言うので庭先で別れました。我が家に入ると、来客らしい気配はなく寝静まっています。
「おーい、お客さんだと言うので今帰ったぞ」
女房が起きてきて、灯芯に火を入れたが、いつも傍らについている白猫がいません。
「お客様はどこにおられる」
「お客様は誰もおいでになっていませんよ」H\4
「わしを呼びにこさせたではないか」と詰め寄りますと、「呼びに行かせた覚えは全くありません」とけげんそうな顔をしています。そこへ猫の「白」が入ってきました。
とっさに、九郎左衛門は持っていた弓でこの白猫を射殺しました。
女房はびっくりして呆然としていましたが、九郎左衛門は何も言わずに、元の池の草にとって返しました。
いよいよ、21日目の夜、願も明けると思うと、張り詰めていた気分も弛み、日が暮れて間もないのに、すごく眠くなってきました。どれ位たったかわからないが、異常な殺気を感じて目が覚め、池の面をすかしてみると、大きな鹿が3頭並んで立っています。両脇に雌鹿を従えた中の雄鹿は巨大な角を振りかざして、今にも飛びかかりそうなようすです。九郎左衛門はすばやく弓に矢をつがえました。
しかし、「大蛇を退治に来て、鹿を射ることもあるまい。大事の前の小事、小事」と矢を元に戻しました。
改めて大鹿を見ると、確かに異様に目が輝いている。持っていた魔王見(菱形の矢の先に穴が開いており、この穴から覗くと化身しているものを見破ることができる)で覗いて見ると、まさに大蛇が鹿に化けています。
九郎左衛門は、すかさず豪弓をとり直し、雄鹿の頭をめがけて矢を放ちました。
ピカ、ゴロゴロ、ピカ・・・・・・・・・・・・
百雷が一時に落ちたかと思われるほどの大音響とともに、雄鹿も雌鹿も倒れましたが、そこには大蛇がのたうち廻っていました。大蛇が吐き出す毒気で九郎左衛門はその場に倒れてしまいました。
そのあとは、いつ、どこを、どうしたのかわからないまま、手探りでたどり着いたのは、白砂村のある民家でした。ここで1ヶ月あまり寝たきりの生活が続きました。3ヶ月がたって、ようやく歩けるようになったので、迎えを呼んでやっと我が家に帰りました。
黒谷の我が家に帰ってからも3年間、寝たきりで身体は衰弱する一方でした。さすがの九郎左衛門も死期を悟り、枕元に妻子を呼び寄せ、
「今まで黙っていたが」と猫の白を撃ち殺した話しを始めました。
「猫は魔物といって、年をとると化けるというが、あの白猫は年をとっていなかった。しかし、千年もの甲を経た大蛇は、身の危険を感じ、魔力で猫を使い、わしを池の草から遠ざけようとした」「あの時、わしがあの猫を殺さなかったら、大蛇を討つ前にあの猫によって命をなくしていただろう」「使いをした白猫のたたりが恐ろしい。したがって、今後我が家では白猫だけは飼ってはならぬ」と言って、間もなく九郎左衛門は息を引き取りました。
それからの黒谷は、幾たびかの豪雨・洪水に見舞われましたが、何の災害を受けることなく、平穏な暮らしが続いています。
湯来の民話「阿弥陀ケ峰物語(三部作)第3話・山川家に伝わる話」です。お楽しみに。
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
来週は、「ホラー館」についての情報をお伝えしたいと思います。
週末は天気も回復傾向にあるようですから、久々のお出かけ日和になりそうです。
私の場合は、盆前の草刈り作業になるんでしょうね。
楽しい週末をお過ごしください。
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おはようございます。
久々に梅雨前線の怖さを実感した豪雨を体験しました。
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皆さんの関わっていっしゃる地域は大丈夫でしたか?
一昨日、昨日と災害対策本部の応援員として従事した訳ですが、時間の経過とともに被害状況が明らかになり、湯来では地域一体が規定雨量を超えたため避難勧告が出されました。(被害なくてホッ)
我が家隣を流れる川も氾濫直前まで水量が増え、後10cmでオーバーしてしまうところでした。
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「備えあれば憂いなし」日頃からの気構えを忘れなく。
湯来の民話「阿弥陀ケ峰物語(三部作)第1話・弓の名人」後半
岩陰に陣取って、大蛇の現れるのを待つこと数日、何事も起こりません。更に、7日目の晩が過ぎ、10日目の夜が来ても池の中もまわりも静まり返って物音一つしません。こんな日が続いて20日目の真夜中のことでした。家のお手伝いさんがやって来ました。
「旦那様、奥様のお言いつけで来ました。お客様がおいでになりましたので、すぐお帰りください。」
この真夜中、さみしい山道を女一人でよく来たものだと一応は不審に思いましたが、いつも家にいるお手伝いさんなのでとにかく帰ることにしました。帰る途中、「どんなお客様がこられたか」と問うても「知らない人でございました」と言う。九郎左衛門の武名を聞いて時折、野武士が尋ねてくるので、そんな客かもしれないと思いました。家の近くまで帰ると、お手伝いさんは家の中に入らず、「遅いので家に帰って休ませていただきます」と言うので庭先で別れました。我が家に入ると、来客らしい気配はなく寝静まっています。
「おーい、お客さんだと言うので今帰ったぞ」
女房が起きてきて、灯芯に火を入れたが、いつも傍らについている白猫がいません。
「お客様はどこにおられる」
「お客様は誰もおいでになっていませんよ」H\4
「わしを呼びにこさせたではないか」と詰め寄りますと、「呼びに行かせた覚えは全くありません」とけげんそうな顔をしています。そこへ猫の「白」が入ってきました。
とっさに、九郎左衛門は持っていた弓でこの白猫を射殺しました。
女房はびっくりして呆然としていましたが、九郎左衛門は何も言わずに、元の池の草にとって返しました。
いよいよ、21日目の夜、願も明けると思うと、張り詰めていた気分も弛み、日が暮れて間もないのに、すごく眠くなってきました。どれ位たったかわからないが、異常な殺気を感じて目が覚め、池の面をすかしてみると、大きな鹿が3頭並んで立っています。両脇に雌鹿を従えた中の雄鹿は巨大な角を振りかざして、今にも飛びかかりそうなようすです。九郎左衛門はすばやく弓に矢をつがえました。
しかし、「大蛇を退治に来て、鹿を射ることもあるまい。大事の前の小事、小事」と矢を元に戻しました。
改めて大鹿を見ると、確かに異様に目が輝いている。持っていた魔王見(菱形の矢の先に穴が開いており、この穴から覗くと化身しているものを見破ることができる)で覗いて見ると、まさに大蛇が鹿に化けています。
九郎左衛門は、すかさず豪弓をとり直し、雄鹿の頭をめがけて矢を放ちました。
ピカ、ゴロゴロ、ピカ・・・・・・・・・・・・
百雷が一時に落ちたかと思われるほどの大音響とともに、雄鹿も雌鹿も倒れましたが、そこには大蛇がのたうち廻っていました。大蛇が吐き出す毒気で九郎左衛門はその場に倒れてしまいました。
そのあとは、いつ、どこを、どうしたのかわからないまま、手探りでたどり着いたのは、白砂村のある民家でした。ここで1ヶ月あまり寝たきりの生活が続きました。3ヶ月がたって、ようやく歩けるようになったので、迎えを呼んでやっと我が家に帰りました。
黒谷の我が家に帰ってからも3年間、寝たきりで身体は衰弱する一方でした。さすがの九郎左衛門も死期を悟り、枕元に妻子を呼び寄せ、
「今まで黙っていたが」と猫の白を撃ち殺した話しを始めました。
「猫は魔物といって、年をとると化けるというが、あの白猫は年をとっていなかった。しかし、千年もの甲を経た大蛇は、身の危険を感じ、魔力で猫を使い、わしを池の草から遠ざけようとした」「あの時、わしがあの猫を殺さなかったら、大蛇を討つ前にあの猫によって命をなくしていただろう」「使いをした白猫のたたりが恐ろしい。したがって、今後我が家では白猫だけは飼ってはならぬ」と言って、間もなく九郎左衛門は息を引き取りました。
それからの黒谷は、幾たびかの豪雨・洪水に見舞われましたが、何の災害を受けることなく、平穏な暮らしが続いています。
湯来の民話「阿弥陀ケ峰物語(三部作)第3話・山川家に伝わる話」です。お楽しみに。
今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
来週は、「ホラー館」についての情報をお伝えしたいと思います。
週末は天気も回復傾向にあるようですから、久々のお出かけ日和になりそうです。
私の場合は、盆前の草刈り作業になるんでしょうね。
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楽しい週末をお過ごしください。
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