伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

地方創生に改良点は多い―前総務庁自治財政局長が講演

2015年08月18日 | 視察
 いわき市が都内で開いた「ふるさとセミナー」で前総務相自治財政局長で地域に飛び出す公務員ネットワーク代表の椎川忍氏の講演がなかなかおもしろかった。

 テーマは地方創生だが、政府のすすめる地方創生の課題を指摘するもので、先日参加した自治体学校で学んだことと共通する指摘がされていたことが、少し驚きだったのです。

 椎川氏は、地方創生の政策的方向性には大賛成だといいます。しかし改良すべき点は多いというのです。地方創生は何割かの自治体で成功する可能性があるというのですが、その要因としてあげるのが、住民自治と域内の経済循環構造ができていること、そして国のいいなりにならず、信念を貫いてやるべきことをやれる自治体にあるというのです。

 椎川氏の持論は、地方創生は人材育成、自立心の再生、そしてたいがい市町村止まりとなっている取り組みを住民自治とまでおろす住民自治と、さらに地域経済の循環構造の構築、つまり自給の仕組み作りから始めるところにあるということ。これがなければ、いくら地方創生の絵を描いても役に立たないという考えのようです。

 そして地方創生を始める原因となった自治体消滅論については、市町村が消滅るすることはなく、消滅する恐れがあるのは集落や地区で、人口が減ったとしても居住者を確保することができる構造を20年から30年で作ることが地方創生の目標だと指摘していました。

 その上で、まず考え方を変えようと提起しました。

 なるほどと思ったのが、地方を守らないと、日本の優秀な人材の確保はできず、企業も大都市も守れないという見方です。農山村から空気、水、食料、そして人材を年に供給してきた循環構造を守らないと日本の将来はないというのです。

 そのために国民消費支出300兆円のうち30兆円が海外へ流れている現状を変え、「国産外消(クールジャパン)」から「国産国消(Buy japanese)」に変え、日本にある良い物を買うようにしようというのです。ご自身はネクタイをやめ、各地の名産品を活用したループタイに変えているこということで、ユニークな実践だと聞いていました。

 地方創生で国が自治体に求めている総合戦略作りでは、国民運動とするために住民参加のプロセスが重要で、牧之原市では1000人規模の住民参加のもとで作成したことを紹介。また、山が多いという日本の国土の特徴から、一次産業、特に林産材の活用を図り林業を活性化させることの重要性を訴えていました。

 椎川氏の講演を全部書き留めることはできませんが、一つ一つの指摘は、今の国の政策と対峙するような内容を持っているように感じました。同時に、自治体学校で学んだ内容を、政治的にはおそらく立場を逆にする講師が補強した感じがしています。良い講演を聞くことができ感謝しています。

 ちなみに自治体学校で学んだ概要は次の議員だよりに掲載することにしており、原稿はできているのですが、旅先のためアップすることができません。次回アップしたいと思います。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿