政策総務常任委員会は、1月23日から25日までの日程で、長崎市の公共施設マネジメントの取り組み、北九州スタジアム「ミクニワールドスタジアム北九州」の建設経緯や運営管理の状況を視察しました。まず、公共施設マネジメントについて掲載します。
本稿は、紙幅の関係で書ききれなかった内容を一部加筆しています。
地方自治体では、更新期等を迎える公共施設のため、多額な財政需要が生じかねないとして、公共施設の管理や統廃合に向けた計画づくりがすすんでいます。
本市でもこれまで、市民アンケートを受けて昨年2月に総合管理計画が策定され、現在、個別の施設の管理計画案を部ごとに策定しています。
視察した長崎市では、2015年度に公共施設等総合管理計画を策定・公開し、現在、地区別管理計画の策定をすすめていました。
■住民と市民対話重ね
長崎市は、2006年までに周辺7町と合併、市域は240㎢から約405㎢に2倍に広がりました。人口は約42万2,000人となっています。
合併は市域を拡大しただけでなく、それまでそれぞれの市町が保有していた公共施設も引き継ぐことになりました。市民1人当たりの公共施設の保有床面積は、4.31㎡となり、47中核市中5位という状況になりました。
しかも、約6割の施設は築30年を超え老朽化がすすんでいます。
一方人口は、2045年までに約11万8,000人にげんしょうするとみられており、公共施設を維持するためには2015年度から64年度までの30年間で879億円不足するシュミレ―ションとなりました。
長崎市は、こうした財源不足を解消するために、2029年度までに公共施設の保有床面積で約25%を削減する目標を定めました。
その手法としては、①施設整備費の選択と集中、②施設の複合化など保有床面積の削減と必要な新規整備は総量抑制の範囲内で行う、③民間活力の活用と手未利用等の資産の売却・貸付――として、これまでに各種計画を策定してきました。
「公共施設等総合管理計画」を具体化するものとして、「公共施設の用途別適正化方針」で分野別の公共施設の方向性を示し、「公共施設保全計画」で使い続ける施設のメンテナンスルールを定めてきました。
そして現在は、地区別管理計画の策定に向け、市内を17の地区に分け、個別に市民対話を開催しています。
対話のテーマは、①公共施設をめぐる状況、②地区の施設に対する市の考え方、③前回出された住民の意見に対する市の考え方、④前回出された意見等を踏まえた市の検討結果――と4回を基本に開催され、回ごとに集まった住民を班ごとに分け、意見交換を実施しています。集会が、市の方針の市民への伝達の場だけにされていないことが特徴と言えるでしょう。
■住民創意の反映も
対話では、旧炭鉱地区でほとんどの住居が市営住宅で風呂がない地区にある2ケ所の市営公衆浴場に関して、住民から市営の宿泊施設の風呂の活用で公衆浴場を1ヵ所にする意見が出されるなど、住民の意見が計画に活かされる動きがあったといいます。
■住民理解に課題も
一方、こうした取り組みの中でも、市と住民で課題の共有化が図られたかという視点から見ると課題が残っていると言い、個別の施設に対する住民の思いが強い場合もあり、考え方が理解されたとはいいがたい場合もあるといいます。
担当は、「市民対話では結論を出すことが目標ではなく、意見を広く聞き計画に反映させることにある。個別施設のあり方が具体的に検討される時に、改めて意見を聞くことになるので、その時に理解を得られれば良いと考えているので、少なくとも公共施設に関する一般的な課題の共有まではできていると思う」と話していました。
また、施設廃止への市民の不満に関しては、「現実に、合併でいいことはないし、今度は施設もなくすのかという声が出ることもあるが、市としては丁寧に説明して理解をしてもらうしかない」とも話していました。
■対話本市も参考に
本市では、個別管理計画策定後――すなわち、市の各施設の管理方針が明確になった後に市民の意見を聞く機会が設けられるようです。公共施設への住民の思いは千差万別であることを考えた時、大切な点は、市の方針を理解させることではなく、住民の意思を十分汲んだ計画にすることだと思います。
こうした観点から見た時に、長崎市の市民対話の取り組みを参考しながら、今後の本市の取り組みに活かすべきと思います。
本稿は、紙幅の関係で書ききれなかった内容を一部加筆しています。
公共施設マネジメント・住民の声の反映を十分に
長崎市の地区管理計画策定に学ぶ
長崎市の地区管理計画策定に学ぶ
地方自治体では、更新期等を迎える公共施設のため、多額な財政需要が生じかねないとして、公共施設の管理や統廃合に向けた計画づくりがすすんでいます。
本市でもこれまで、市民アンケートを受けて昨年2月に総合管理計画が策定され、現在、個別の施設の管理計画案を部ごとに策定しています。
視察した長崎市では、2015年度に公共施設等総合管理計画を策定・公開し、現在、地区別管理計画の策定をすすめていました。
■住民と市民対話重ね
長崎市は、2006年までに周辺7町と合併、市域は240㎢から約405㎢に2倍に広がりました。人口は約42万2,000人となっています。
合併は市域を拡大しただけでなく、それまでそれぞれの市町が保有していた公共施設も引き継ぐことになりました。市民1人当たりの公共施設の保有床面積は、4.31㎡となり、47中核市中5位という状況になりました。
しかも、約6割の施設は築30年を超え老朽化がすすんでいます。
一方人口は、2045年までに約11万8,000人にげんしょうするとみられており、公共施設を維持するためには2015年度から64年度までの30年間で879億円不足するシュミレ―ションとなりました。
長崎市は、こうした財源不足を解消するために、2029年度までに公共施設の保有床面積で約25%を削減する目標を定めました。
その手法としては、①施設整備費の選択と集中、②施設の複合化など保有床面積の削減と必要な新規整備は総量抑制の範囲内で行う、③民間活力の活用と手未利用等の資産の売却・貸付――として、これまでに各種計画を策定してきました。
「公共施設等総合管理計画」を具体化するものとして、「公共施設の用途別適正化方針」で分野別の公共施設の方向性を示し、「公共施設保全計画」で使い続ける施設のメンテナンスルールを定めてきました。
そして現在は、地区別管理計画の策定に向け、市内を17の地区に分け、個別に市民対話を開催しています。
対話のテーマは、①公共施設をめぐる状況、②地区の施設に対する市の考え方、③前回出された住民の意見に対する市の考え方、④前回出された意見等を踏まえた市の検討結果――と4回を基本に開催され、回ごとに集まった住民を班ごとに分け、意見交換を実施しています。集会が、市の方針の市民への伝達の場だけにされていないことが特徴と言えるでしょう。
■住民創意の反映も
対話では、旧炭鉱地区でほとんどの住居が市営住宅で風呂がない地区にある2ケ所の市営公衆浴場に関して、住民から市営の宿泊施設の風呂の活用で公衆浴場を1ヵ所にする意見が出されるなど、住民の意見が計画に活かされる動きがあったといいます。
■住民理解に課題も
一方、こうした取り組みの中でも、市と住民で課題の共有化が図られたかという視点から見ると課題が残っていると言い、個別の施設に対する住民の思いが強い場合もあり、考え方が理解されたとはいいがたい場合もあるといいます。
担当は、「市民対話では結論を出すことが目標ではなく、意見を広く聞き計画に反映させることにある。個別施設のあり方が具体的に検討される時に、改めて意見を聞くことになるので、その時に理解を得られれば良いと考えているので、少なくとも公共施設に関する一般的な課題の共有まではできていると思う」と話していました。
また、施設廃止への市民の不満に関しては、「現実に、合併でいいことはないし、今度は施設もなくすのかという声が出ることもあるが、市としては丁寧に説明して理解をしてもらうしかない」とも話していました。
■対話本市も参考に
本市では、個別管理計画策定後――すなわち、市の各施設の管理方針が明確になった後に市民の意見を聞く機会が設けられるようです。公共施設への住民の思いは千差万別であることを考えた時、大切な点は、市の方針を理解させることではなく、住民の意思を十分汲んだ計画にすることだと思います。
こうした観点から見た時に、長崎市の市民対話の取り組みを参考しながら、今後の本市の取り組みに活かすべきと思います。
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