伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

自治体学校

2015年08月19日 | 視察
 昨日のブログでふれた自治体学校についての議員だより記事をアップします。



国お仕着せの分権やめさせ住民自治の徹底と域内循環型経済の確立を

 日本共産党いわき市議団の伊藤浩之、高橋明子、溝口民子の各議員は、7月25日から27日まで金沢市で開かれた第57回自治体学校に参加し、諸課題について学んできました。紙面を通じて報告します。



全体会

 第57回自治体学校は、「戦後70年、憲法が輝くほんものの地方自治を学ぶ」をメインテーマに掲げ、石川県金沢市内の金沢大学などを会場に開かれました。

 初日と最終日は開会式と閉会式をかねた全体会で、初日には地方自治のあり方について記念講演とパネルディスカッションで学びました。

 記念講演では大阪市立大学の宮本憲一名誉教授が「地方自治の危機と再生への道」と題して、憲法と沖縄問題から地方自治のあり方を論じました。

 現在、沖縄の反対にかかわらず辺野古沖に基地移転を強行する動きは地方自治の破壊につながりかねないとして宮本教授は、国が言っている地方分権論は、中央統治の分権論であり、国の承認のもとに地方自治が決まるものになりかねないと、その危険性を指摘しました。

 続くパネルディスカッションは京都大学の岡田知弘教授をコーディネーターに、金沢大学の武田公子教授、長野県阿智村の岡庭一雄前村長が報告しました。

 岡田教授は、平成の大合併は、当時推進する側だった地方分権推進委員会の西尾勝氏が「結果を見ると大失敗」と参院の調査会で述べたように、政治的失敗は明白だったとして、道州制導入の動きは「戦争できる国」づくりに向けて地方自治を変質するものだと指摘。

 現在の憲法体制はその体制づくりに不向きなため国→道州→市町村という垂直的な体制を定める明治憲法型の体制作りが考えられていると批判。

 さらに地方創生は大資本や外国資本が地域の産業資源を活用してもうけを上げようとするものだとして、新潟市のローソンファームなどの実例を紹介しました。

 武田教授は、石川県白山市の合併の事例研究を発表しました。

 合併の後も、山麓部と呼ばれる村を中心とした地域では過疎化が止まらず、公共施設も集約される状況が広がっている一方、旧市を中心とした地域は人口は横ばいになり、公共投資も集中していることを紹介し、合併が地域の問題解決につながっていない実態を訴えました。

 また岡庭元村長は、自治体消滅論など市町村淘汰の動きに抗して、地域の経済的資源を利用した発展を促そうとするのが「小さくても輝く自治体フォーラムの会」の活動だとして、福島県大玉村の宅地開発と子育て支援の充実で、人口の拡大をはかっている例などを紹介しました。

 最終日は、金沢大学特任教授が世界農業遺産を活用した地域再生の取り組みについて報告しました。

 里山と里海の破壊がすすんでいる現状のもとで、能登を世界農業遺産として登録。これを保存し活用するために「能登里山里海マイスター育成プログラム」(当初は「養成プログラム」)として研修制度を設け人材育成を図り、能登の里山と里海を保全する活動を展開している紹介しました。

分科会
「地域循環型経済と地域づくり」


 中央大学の矢幡一秀教授を助言者としてすすめられました。

 矢幡教授は、中小企業が、大企業には果たしえない地域の潜在的需要を掘り起こしサービス等を提供する役割を果たしているとして、ヨーロッパでは小企業憲章の制定で、各国が職人などを保護・育成する施策を展開していることを紹介しました。

 また日本では中小企業振興条例がこの役割を果たし、近年、特段に小規模事業者や、金融機関の役割を位置づけるなど、条例が充実する傾向にあることを紹介しました。

 また金沢大学の佐無田光教授は、石川県七尾市での産業連関の分析と産業活性化策の検討状況を報告。

 同市は一次産品を直接流通に乗せるために、地域産品による域内での生産誘発効果が低いとして、農産物や水産物の六次産品化の検討がすすめられていると説明しました。

 京都府与謝の町は、産業振興条例の制定について説明。

 地域の中心産業は織物と農業であるために、条例が対象とする中小事業者に農民を含めるなど特性をだし、現在、産業プロモーションの一環として「織りなす人」というウェブサイトを活用したPR戦略をすすめていることを報告しました。

 現在、TBS系列で舗装中の「ナポレオンの村」のモデルとなった石川県羽咋市職員の高野誠鮮さんも講演しました。

 ドラマのエピソードはだいぶフィクションが混じっていますが、人間像はだいぶ近い印象でした。

 過疎地である羽咋村神子原地区のコメをローマ法王に献上することに成功し、ブランド米に仕立て上げるなど、農業所得を上げることと、当地に伝わる烏帽子親の伝承を利用して、学生を村に呼び、住民と交流をはかることで活性化させているなどの事例を紹介。現在、同地区で自然農法に取り組み農産品のブランド化を図っていることなどを紹介していました。

 いわき市は、今年度中に中小企業振興条例の制定に向けて検討をすすめていますが、全国の先進例にも学びながら、より良い条例となるよう、学び、意見を届けていくことが当面の課題になっています。

 またその条例後の産業振興に向けた具体的な行動の中で、行政がどのような役割を果たすのかも、高野さんの講演の中で方向性が示されているように思います。

 行政と住民の関係のあり方など考えていくことが引き続き必要です。


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