「ラフ」(2006年、東宝、106分)
監督: 大谷健太郎 原作: あだち充
長澤まさみ、速水もこみち、阿部力、市川由衣、石田卓也
原作のコミックをまったく知らないため、長澤まさみを見ることしか頭になかったが、同じ原作者の「タッチ」より映画としては丁寧に出来ている。水準には達した青春映画。
親の代には敵同士の和菓子屋だった長澤と速水が、水泳部では飛び込みと自由形で一緒になる。長澤には幼馴染で兄のような婚約者のような大学生阿部がおり、長澤のライバル市川が速水を好き、というよくある構造。
若さゆえに相手に正直になれないもどかしさと、競技に集中出来るか出来ないか、これらがからんでいく。
原作がコミックだからかどうかはわからないが、話の進行、場面転換は唐突だったり淡白すぎたりする(「タッチ」はドラマの筋としては盛り上げやすかったが)。そうなると個々の場面がどうかが映画としての決め手だが、これはきれいでよく出来ている。特にこんなに水泳を正面から撮った映画があっただろうか。
長澤まさみはより力が抜けて自然体、そして男から見た時の女のどうにも動かせないところがしっかりある。水着姿、特に高飛び込み台の上に立つ姿はきれいだが、他の作品同様、主演女優でこんなに走る姿が美しい人は他にいない。
冒頭のタイトル場面、競泳が始まるところでいきなり「君といつまでも」(加山雄三)が流れる。東宝ではじめて撮る大谷監督によれば、東宝マークへのオマージュだそうだが、上の世代としてはすぐになんとなく感じた。
スキマスイッチの挿入歌もよくマッチしている。