「バックマン家の人々」(Parenthood, 1989, 米、124分)
監督:ロン・ハワード、脚本:ローウェル・:ガンツ、音楽:ランディ・ニューマン
スティーヴ・マーティン、メアリー・スティーンバージェン、ダイアン・ウィースト、リック・モラニス、トム・ハルス、マーサ・プリンプトン、キアヌ・りーヴス、ジェイソン・ロバーズ、リーフ(ホアキン)・フェニックス
本当にアメリカの人たちは、代々の家族、とりわけ父と子の話がすきだなあと思う。最近見てここに書いたものでも、「ホテル・ニューハンプシャー」(1984)、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」(2001)などがある。
しかしこれはあのロン・ハワードが作ったものだから、ロマンティックではあるが、時に出てくる想像の世界もこの2作ほと突飛なものではない。
1989年からこれまでの間に、ここに出てくるいくつものエピソードは今では他の国にもありそうなものになっている。
一家の長ジェイソン・ロバーズには2男2女があり、長男のスティーヴ・マーティンその妻メアリー・スティーンバージェン一家、離婚した長女と2人の子供、次女と夫、行方不明から帰ってきたギャンブルか足を洗えない末っ子の次男、ジェイソンの母も健在。
四人の彼らの彼女らの子供達は皆問題を抱えているが、その問題は最後には、無条件に子供を子供と認めるか、というところに行く。
そして予想通りではあるのだが、それでも認めるのか、問題は残るもののやはりそうか、というところにいく。それを見るものにどう共感させるか、苦さを多少、残しながらも納得させるか、というところではまずまず成功しているといえるだろう。
ちょっとはじけ方、外れ方が、コメディとしては足りないのではあるが。
それでも、一番関心したのは、終末の場面での2男(トム・ハリス、「アマデウス」のモーツアルト役)と父のやり取りと結末、こういう残し方をしたことで、話としてより作品として救われているといえよう。
アメリカの細かい風俗は楽しめるが、他の映画ならまだしもこの映画でここまでセックスや避妊について生々しく扱う必要があったかどうか。アメリカも30~40年前は日本より硬かったときいているほどだから、これは意外だ。
ジェイソン・ロバーズとメアリー・スティーンバージェンは、「メルビンとハワード」で協演している。同じ場面には出てないけれど。ジェイソン・ロバーズはこのハワード・ヒューズや「ジュリア」(1977)でのダシール・ハメットなど実在の有名人役しか見ていなかったが、この映画でなんとも微妙な瞬間の台詞と表情がとてもよくて、やはりなかなかの役者だ。メアリー・スティーンバージェンは「メルビンとハワード」同様ここでも際立って輝いている。
あと長女の娘の相手が当時25歳のキアヌ・リーヴスでうまいということはないがまだどうしようもない20歳過ぎくらいの若者にぴったりである。「から騒ぎ」(1993)の凛々しさはまだ想像できない。