日本経済新聞2007年8月18日(土)の「アート探求」は「木下晋の鉛筆画」というもので、最後の瞽女(ごぜ)と呼ばれた小林ハルを描いた話が書かれていた。
はて、木下晋(すすむ)は記憶にある名前であり、しかも新潟との関連でいくと、と考えているうちに思い出した。あの洲之内徹「気まぐれ美術館」の中でも印象深い「美しきもの見し人は」で、田畑あきら子(1940-1968)を洲之内に教えた若い画家として出てくる。
おそらく出合ったのは1970代後半であろうが、木下はパン職人をしながら絵を描いており、田畑あきら子の遺作展や新潟県立近代美術館に遺作をまとめて収蔵することなどに奔走したそうだ。田畑の姉とパン屋で一緒だったことがあるとも書いてある。
この小林ハルとの縁も偶然だったようだが、そこから始まって行き着くところまで行ってしまうものがこの人にはあるようだ。
田畑あきら子の作品は昨年秋ひさしぶりに新潟県立近代美術館でまとめて公開されたが、長岡まで日帰りで見に行き、その時のことはここにも書いた。考えてみれば、それは洲之内のおかげであり、さらにたどれば木下のおかげである。
目黒区美術館で木下晋が小林ハルを描いた作品などが見られる(9月9日まで)そうだから、行ってみようと思っている。