メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

サンシャイン・クリーニング

2009-07-24 22:06:08 | 映画
「サンシャイン・クリーニング」(Sunshine Cleaning 、2008米、92分)
監督:クリスティン・ジェフズ、脚本:ミーガン・ホリー
エイミー・アダムス(姉ローズ)、エミリー・ブラント(妹ノラ)、アラン・アーキン(父)、ジェイソン・スペヴァック(ローズの息子)、クリフトン・コリンズ・Jr(雑貨屋)、スティーヴ・ザーン(ローズの元彼)
 
未婚の母親であるローズと父親のもとでごろごろしていて仕事も定まらないノラ、この姉妹があるきっかけで犯罪をはじめとする血まみれのわけあり現場の清掃という、我慢すれば収入のよい仕事を見つけて始める。うまくいきそうになり、問題児の息子、いんちきくさい仕事ばかり狙っている父親も含め、それこそこの家族の問題クリーニングも、と思いきや、歯車は狂い始める。
 
今のアメリカ社会情勢、その細部がわかってないから最初の30分あまりは、画面やエピソードの解釈に戸惑うし、ちょっと疲れる。しかしそれを過ぎると、この脚本、監督は見事というほかない。
 
何度もうなずき、膝をうち、それも時々笑いながら、、、
そう、待っているだけで、映画とはいえ、驚嘆する展開など訪れるはずはないのだ。まして現代の、典型的な問題を抱えた家族である。クリーニングの実作業のように、最初はおそれ、途方にくれても、小さいことから一つ一つ発見し、方法を考え、必要なものは身に付けながら片付けていかなければならない、それも自分自身で。
 
それを映画は説教がましくなく、気がついてみればそうだね、という形で見せていく。終盤に思わずほろりとさせていく力は最近なかったもの、そして最後にまた笑いが、、、
 
姉妹はいいコンビ、中でも姉役エイミー・アダムスのエネルギッシュだが大げさでない演技は出色。
アラン・アーキンは歳を考えてといっては失礼だが、省エネ名演技の典型だろう。子どもと雑貨屋のやりとりもいい、例えば「双眼鏡はやっぱりツアイス」とか。
 
タイトルから誰でも想像するようにこの製作は傑作「リトル・ミス・サンシャイン」(2006)のプロデューサーによるもの。とはいえ、監督、脚本は別で、俳優も共通なのはアラン・アーキンくらいである。
見て快哉というのは「リトル・ミス・サンシャイン」かもしれないが、じわっと感動が残るのはこっちだろうか。

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