メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

バティアシュヴィリのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」

2013-01-21 15:52:31 | 音楽一般

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 作品77

クララ・シューマン:ヴァイオリンとピアノのための三つのロマンス 作品22

ヴァイオリン:リサ・バティアシュヴィリ

クリスチャン・ティーレマン指揮 シュターツカペレ・ドレスデン

ピアノ:アリス=沙良・オット

 

待望の彼女の新録音である。なにしろあのショスタコーヴィチ の印象、それもCDとその前のジンマン指揮N響のTV放送でひっくり返った彼女の協奏曲だから。

 

ポピュラーなレパートリーの中からブラームスというのは納得いく。美しいが第三楽章に向かっての盛り上がりは、激しい印象が強い。

が、しかし、その予想は見事に外れる、まあいい方向に。冒頭から繊細な音で、きわめてゆったりと(ゆったりとしたヴィヴラートをそなえ)、たっぷりと余裕ある器に音楽をたたえて進んでいく。だからフィナーレもちからが飽和したという感じではない。

それにはオーケストラも効いているのだろうか。すべてのパートがくっきりとよく聴こえ、全体としてソロによりそっている。指揮もいいのだろうが、ドレスデンのオーケストラは、西側に出始めたころのあのカラヤン指揮「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(ワーグナー)で驚かせたように、こういう性格を持っているし、録音もいいのだろう。

 

クララ・シューマンの「ロマンス」、ブラームスの曲にはクララへの憧れがあるのかもしれない、と勝手に想像させてくれる効果(?)は悪くない。

ピアノのアリス=沙良・オットは少し前からよくきく名前だが、実際に音を聴くのは初めて。いいデュオだった。

 

バティアシュヴィリはショスタコーヴィチのCDでも協奏曲にカップリングされた曲でエレーヌ・グリモー(ピアノ)と共演しているし、そのグリモーも先日カベッタ(チェロ)とデュオのアルバムを出している。

 

なにかこのところ音楽の「女子会」とでもいう動きが目立っている。面白いアルバムが出てくればこれは悪いことでなく楽しい。

そういえば彼女たちの2世代前くらい、今の音楽界の重鎮たちが気鋭のころ、なかよく公演したり録音したりしていて、「ロンドン・マフィア」と呼ばれていたことを思い出す。ロンドンがいいライブ市場で、いろんな出身国から集まってきていたからだが。


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