ザンドナーイ:歌劇「フランチェスカ・ダ・リミニ」
指揮:マルコ・アルミリアート 演出:ピエロ・ファッジョーニ
エヴァ・マリア・ヴェストブルック(フランチェスカ)、マルチェッロ・ジョルダーニ(パオロ)、マーク・デラヴァン(ジョヴァンニ)、ロバート・ブルベイカー(マラテスティーノ)
2013年3月16日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 2014年9月 WOWOW
リッカルド・ザンドナーイ(1883-1944)の名前をきくのはこれが初めて。「フランチェスカ・ダ・リミニ」つまりリミニのフランチェスカはチャイコフスキーの曲などでは知っている名前だが、どんな話か調べたことはなかった。神曲(煉獄篇)をもとにダヌンツィオが書いたものを原作としているようだ。メトロポリタンではレナータ・スコットとプラシド・ドミンゴによる名演から30年ぶりとかである。1914年の初演だそうだが、原作がダヌンツィオということもあり、ムッソリーニとの関係から当初はなかなか大変だったらしい。
聴いてみると、これはいい歌手のアリアをじっくり楽しむものだろう。政略結婚で足が悪く粗野な長男と結婚するはめになったフランチェスカ、それをごまかすために使者として送られるのが美男の次男パオロ、この場面でバラが象徴的に使われるのは「バラの騎士」の使者オクタヴィアンを連想させる。そして想像されるように、長男の夫になじめずにパオロと逢瀬を重ねるフランチェスカ、そこにやはりコンプレックスを抱える三男がからんで、、、という進行となる。
場面が変わるとその間に物語はかなり進展していて、それは見るものに理解はできるようにはなっているのだが、話の動きよりは「場面」を味わうようにできている。つまりアリア、二重唱をたっぷりと、というわけだ。
音楽はヴェリスモ風、印象派風の美しいもので、すぐに覚えてしまうメロディーはないが、劇場で、好きな歌手で楽しむものだろう。イタリアの歌劇場、そしてメトロポリタンなどに向くものだ。
フランチェスカ役のエヴァ・マリア・ヴェストブルックは「ワルキューレ」(レヴァイン指揮、ルパージュ演出)でジークリンデだったようで、ジークムントのカウフマンが圧倒的だったから名前は覚えていなかったが、可憐でよかったという記憶はある。今回はそれより貴婦人という雰囲気が加わっている。三人の兄弟はキャラクターに合ったもの。
指揮のアルミリアートはいつものように手堅く楽しませてくれる。演出は場面に即してじっくり楽しめるもので、衣装はおそらく時代設定にあった、丁寧に作られたもののようだ。
ほかのオペラを連想させる(悪い意味ではない)といえば、「バラの騎士」のほかにフランチェスカの周りの侍女たちのところは「ラインの黄金」(ラインのむすめたち)、終幕はプッチーニの「外套」やベルクの「ヴォツェック」を思わせる。あとの二つと違って貧困という要素はないが、出来たのはこれらより後ではない。この時期はこういう雰囲気があったのだろうか。
指揮:マルコ・アルミリアート 演出:ピエロ・ファッジョーニ
エヴァ・マリア・ヴェストブルック(フランチェスカ)、マルチェッロ・ジョルダーニ(パオロ)、マーク・デラヴァン(ジョヴァンニ)、ロバート・ブルベイカー(マラテスティーノ)
2013年3月16日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 2014年9月 WOWOW
リッカルド・ザンドナーイ(1883-1944)の名前をきくのはこれが初めて。「フランチェスカ・ダ・リミニ」つまりリミニのフランチェスカはチャイコフスキーの曲などでは知っている名前だが、どんな話か調べたことはなかった。神曲(煉獄篇)をもとにダヌンツィオが書いたものを原作としているようだ。メトロポリタンではレナータ・スコットとプラシド・ドミンゴによる名演から30年ぶりとかである。1914年の初演だそうだが、原作がダヌンツィオということもあり、ムッソリーニとの関係から当初はなかなか大変だったらしい。
聴いてみると、これはいい歌手のアリアをじっくり楽しむものだろう。政略結婚で足が悪く粗野な長男と結婚するはめになったフランチェスカ、それをごまかすために使者として送られるのが美男の次男パオロ、この場面でバラが象徴的に使われるのは「バラの騎士」の使者オクタヴィアンを連想させる。そして想像されるように、長男の夫になじめずにパオロと逢瀬を重ねるフランチェスカ、そこにやはりコンプレックスを抱える三男がからんで、、、という進行となる。
場面が変わるとその間に物語はかなり進展していて、それは見るものに理解はできるようにはなっているのだが、話の動きよりは「場面」を味わうようにできている。つまりアリア、二重唱をたっぷりと、というわけだ。
音楽はヴェリスモ風、印象派風の美しいもので、すぐに覚えてしまうメロディーはないが、劇場で、好きな歌手で楽しむものだろう。イタリアの歌劇場、そしてメトロポリタンなどに向くものだ。
フランチェスカ役のエヴァ・マリア・ヴェストブルックは「ワルキューレ」(レヴァイン指揮、ルパージュ演出)でジークリンデだったようで、ジークムントのカウフマンが圧倒的だったから名前は覚えていなかったが、可憐でよかったという記憶はある。今回はそれより貴婦人という雰囲気が加わっている。三人の兄弟はキャラクターに合ったもの。
指揮のアルミリアートはいつものように手堅く楽しませてくれる。演出は場面に即してじっくり楽しめるもので、衣装はおそらく時代設定にあった、丁寧に作られたもののようだ。
ほかのオペラを連想させる(悪い意味ではない)といえば、「バラの騎士」のほかにフランチェスカの周りの侍女たちのところは「ラインの黄金」(ラインのむすめたち)、終幕はプッチーニの「外套」やベルクの「ヴォツェック」を思わせる。あとの二つと違って貧困という要素はないが、出来たのはこれらより後ではない。この時期はこういう雰囲気があったのだろうか。