メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト

2015-09-07 14:33:35 | 映画
パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト(The Devil's Violinist、2013独、122分)
監督・脚本:バーナード・ローズ 音楽:デヴィッド・ギャレット、フランク・ファン・デル・ハイデン
デヴィッド・ギャレット(パガニーニ)、ジャレッド・ハリス(ウルバーニ)、クリスチャン・マッケイ(ワトソン)、アンドレア・デック(シャーロット)、ヘルムート・バーガー(バーガーシュ卿)
 
パガニーニというひとは、作曲家のなかでは映画の題材として向いていると思う。これまでにも何度か取り上げられているようだ。
ただこの映画、本職ヴァイオリニストであるギャレットが演奏ばかりでなく音楽全般にも加わり、力を入れたわりには、面白みに欠け、ちょっと残念だった。
 
パガニーニの天才ぶりが評判にになりはじめたとき、いち早くそれに目をつけマネージャーを買って出たのがウルバーニ、この人はメフィストフェレス風であり、内面の「魔」が天才の「魔」を見抜くといった感じである。その売出しに応じてロンドン公演を思いついた指揮者・呼び屋のワトソン、そして理解しない新聞記者、社会運動家などを交えたドタバタが前半で、期待とは違い退屈する。
 
ワトソンの娘で声楽を習っているシャーロット(この人チャーミング)は、パガニーニのわがままぶりに最初はあきれて誘いを拒否していたが、その才能に気づき好きになっていく。ちょっところっとなるのが簡単で、早すぎる感はあるが。
それからの後半は、楽曲・演奏の実力中心の騒ぎで、映画としてまずます。
 
パガニーニ作の他、なかなかうまい使われ方をしている曲いがいくつかある。特にウルバーニの「魔」を象徴しているシューベルト「魔王」、そしてシャーロットが練習していて、乙女が内面から何かにつき動かされる不安を象徴している同じシューベルトの「糸を紡ぐグレートヒェン」。あれっ、時代がかなりあとのラフマニノフ?と思ったが、クレジットにはラフマニノフ作曲でも「パガニーニの主題による狂詩曲」、なるほど。
 
さてクレジットの出演者になんとヘルムート・バーガー、卿の役で見ていて気がつかなかった。ヴィスコンティ晩年の作品から後、ほとんど見てないが、ともかく無事(失礼)にやっていてなにより。


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