ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」
指揮:ジェイムズ・レヴァイン、演出:エライジャ・モシンスキー
プラシド・ドミンゴ(ナブッコ)、リュドミラ・モナスティルスカ(アビガイッレ)、ジェイミー・バートン(フェネーナ)、ラッセル・トーマス(イズマエーレ)、ディミトリ・ベロセルスキー(ザッカーリア)
ヴェルディの三作目のオペラ(1842年初演)である。このところロッシーニ、ドニゼッティになじんでいて、後者などはヴェルディにつながるところもあるなと思っていた。ただこのナブッコはむしろ力強いところが目立つから、これはこれ。
バビロニア王ナブッコがイエルサレムを攻め落とし、ヘブライ人をバビロンに連行する。いわゆるバビロン捕囚である。ヘブライのイズマエーレはナブッコの娘フェネーナと恋仲になっておりヘブライは彼女を人質にして対抗しようとしている。ところがナブッコには奴隷に産ませた娘アビガイッレがいて、彼女もイズマエーレを射止めたいのだが拒否され、ナブッコとの軋轢もあり、自分が王になろうとする。
最後は稲妻に撃たれて変わってしまいことをおさめようとするナブッコとアビガイッレの争いになるが、、、
ドラマの要素は一応そろっているのだが、ナブッコが稲妻に撃たれてというきっかけは流れとしては不自然。演出上の効果としてはあるけれど。
それと、二つの国が戦争をしている中で、親族内争いがあり、力関係が刻々変わっていく。それが狭い舞台で次々とというのはどうも違和感がある。メトロポリタンでも数十年ぶりというのは、そういうところもあってかもしれない。
まあここは音楽を聴くしかない。レヴァイン指揮のオーケストラは序曲から流麗なところと気合が入って盛り上がるところなど、さすが楽しめる。
またメト売り物の合唱はあのイタリア第二の国歌ともいわれる「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」はもちろんとして(ここだけはなんとその場でアンコールされた)、舞台全体を盛り上げる。
今回はドミンゴあっての企画らしいが、それはもうピッタリの姿かたちとともに、歌唱をたっぷりと味わえる。
が、この公演で一番の歌唱はモナスティルスカのアビガイッレで、ドミンゴにも負けない強さもさることながら、高音で歌うときのきれいな口跡で、一つ一つの音が周囲の音に埋没せずはっきり聴こえた。これは出色で、カーテンコールもドミンゴに劣らなかった。
指揮:ジェイムズ・レヴァイン、演出:エライジャ・モシンスキー
プラシド・ドミンゴ(ナブッコ)、リュドミラ・モナスティルスカ(アビガイッレ)、ジェイミー・バートン(フェネーナ)、ラッセル・トーマス(イズマエーレ)、ディミトリ・ベロセルスキー(ザッカーリア)
ヴェルディの三作目のオペラ(1842年初演)である。このところロッシーニ、ドニゼッティになじんでいて、後者などはヴェルディにつながるところもあるなと思っていた。ただこのナブッコはむしろ力強いところが目立つから、これはこれ。
バビロニア王ナブッコがイエルサレムを攻め落とし、ヘブライ人をバビロンに連行する。いわゆるバビロン捕囚である。ヘブライのイズマエーレはナブッコの娘フェネーナと恋仲になっておりヘブライは彼女を人質にして対抗しようとしている。ところがナブッコには奴隷に産ませた娘アビガイッレがいて、彼女もイズマエーレを射止めたいのだが拒否され、ナブッコとの軋轢もあり、自分が王になろうとする。
最後は稲妻に撃たれて変わってしまいことをおさめようとするナブッコとアビガイッレの争いになるが、、、
ドラマの要素は一応そろっているのだが、ナブッコが稲妻に撃たれてというきっかけは流れとしては不自然。演出上の効果としてはあるけれど。
それと、二つの国が戦争をしている中で、親族内争いがあり、力関係が刻々変わっていく。それが狭い舞台で次々とというのはどうも違和感がある。メトロポリタンでも数十年ぶりというのは、そういうところもあってかもしれない。
まあここは音楽を聴くしかない。レヴァイン指揮のオーケストラは序曲から流麗なところと気合が入って盛り上がるところなど、さすが楽しめる。
またメト売り物の合唱はあのイタリア第二の国歌ともいわれる「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」はもちろんとして(ここだけはなんとその場でアンコールされた)、舞台全体を盛り上げる。
今回はドミンゴあっての企画らしいが、それはもうピッタリの姿かたちとともに、歌唱をたっぷりと味わえる。
が、この公演で一番の歌唱はモナスティルスカのアビガイッレで、ドミンゴにも負けない強さもさることながら、高音で歌うときのきれいな口跡で、一つ一つの音が周囲の音に埋没せずはっきり聴こえた。これは出色で、カーテンコールもドミンゴに劣らなかった。