詩とことば 荒川洋治 著 (岩波現代文庫)
2004年に刊行されたものをもとに2012年文庫となった。
荒川洋治は詩人だが、ラジオ(TBS)での話が詩から文学一般また言語一般にわたっていて、とても面白い。というところから読んでみた。
詩人でありながら、詩というものをこういう風にわかりやすく説明してみせるということはめずらしいだろう。
その一方で、昨今現代詩が話題になることが少ないことには無念というのだろうか、後半は書きたいこと書いているようだ。確かに詩よりは散文の方がものごとを客観的に正確に書くと考えられるのだが、著者も書いているように、それが案外とおりいっぺんの表現、自分が確信していない上すべりの表現だったりすることはある。それに比べると詩は、流れとしては無理があっても、何か絞り出したような凝縮したものがあって、読むうえでも、また普通の人が書くうえでも、もっと意識していいのではないか、ということを、今回読んで感じた。
また私と歳が近い著者は、1970年前後は評論の季節であり、それは政治の季節ということが背後にあったわけだが、多くの人が書かれるものに今より熱っぽい興味を持っていた。そう思うし、私もかなり読んでいた。そんな中で、現代詩、詩人についても今よりもっと知られ語られていたということは著者のいうとおりである。
そして、そういう現代詩の詩人たちの詩集は、刊行された形で入手が困難なものも多いらしい。図書館にいけばあるものではない。
それを発掘している人たちもいるようだ。今後それらを単にアーカイブすればいい? といってもある程度出て淘汰されてというのではないから、そう簡単な問題ではないかもしれない。