
京都大原・三千院・・・ちょっと歌のような響きがある。
天台宗のお寺である三千院は最澄の時代に比叡山に建立された庵・円融房が始まりで、
その後あちこちに移転して明治4年に現在の地で三千院という名前になった。
この際に隣接する極楽院(明治18年に往生極楽院と改称)を吸収したそうだ。
比叡山延暦寺の門跡寺院で、青蓮院、妙法院と並び三門跡とされる。

拝観は客殿から上がり宸殿へと回る。
室内は撮影禁止だったので、池泉鑑賞式庭園の聚碧園(しゅうへきえん)を鑑賞する。
ゆっくりするなら薄茶を頂きながらという事も出来る。

宸殿へ向かう廊下から中庭が見えた。「つくばい」が二つ並んでいて珍しい。
立て札には、「清浄水 佛法洗心」と書かれている。

御所の紫宸殿を模して作られたという宸殿から往生極楽院に向かう左手には有清園がある。
自然の傾斜を生かした池泉回遊式庭園で平らな部分には苔が広がっている。
紅葉の頃は違った趣があったことだろう。

有清園を見ながら歩いて行くと、三千院の中で最も古い往生極楽院がある。
寺伝では寛和2年(986)に恵心僧都が建立した極楽院がルーツであるとされている。
国宝・阿弥陀三尊像を安置し、建物は江戸時代に大改修されたものらしい。
明治時代になって極楽院が往生極楽院と改称されたそうだ。

数人の人たちが庭の手入れをしておられた。
紅葉の季節が終り、落ち葉を取り除いたりもしているのかもしれない。

弁財天の脇から紫陽花苑を抜けて上がっていくと金色不動堂がある。
護摩祈祷を行う祈願道場として平成元年(1989)に建立されたそうだ。

さらに奥に向かうと平成8年建立の観音堂がある。
その周りには、縁を結んだ人たちが奉納された小さな観音像が無数に安置されていた。

境内をぐるーっと回った締めくくりは、起源の名を残す円融房だ。
ここでは写経も体験できるらしい。
紅葉の頃は境内一帯が綺麗だったと思うが、人もいっぱいだったに違いない。
今回は静かに歩くことが出来て、これはこれで良かった。