
現在計画中の建物の外壁に焼き杉を使おうと思っています・・・。当然、本物の焼き杉で墨付きの焼きっぱなしのものです。(バーナーで焙ったものとか、塗装したものではありません。)
計画中の建物は、ちょっと特殊な用途の建物なので日本建築の伝統文化でもある「焼き杉」を使って、退化しつつある「寂び」(侘び、寂びの寂びです・・。)という感性をこれからの世代の人たちにも触れてほしい(感じとってほしい・・)と思ったからです。
本来の焼き杉とは、杉板の表面を火事の後のように真っ黒に炭化させることで、耐久性、断熱性、吸湿性、難燃性、吸臭性などを向上させるものです。現在では、日本古来の伝統文化の残る街並みに使われたり、潮風が当たる沿岸地域や日本海側の降雪地域などの厳しい環境下で使われているのが殆んどのようです。
前述しましたように、墨付きの焼きっぱなしという独特の風合いがあるわけですが、私がサンプルをちょっと持っただけで手が墨で真っ黒になるという材質です・・。使用するにあたっては、特に出入り口などの開口部周辺に何らかの対策が必要で、触れたり擦ったりすると、体や衣服が汚れたり、また開口部の建具も汚れる可能性があります。(現在いくつかの対策を検討中で、何とか解決しそうです・・。)
数年経てば炭化層が風雨にさらされ落着いてきて、そんなに汚れないようになり・・、さらに数十年経てば表面の炭化層は風化して下の木肌がうっすらと顔を出し、「寂び」が感じられるようになる筈です・・・。
以上のような事をお施主さんにも十分に説明し理解を求めたところ、私の想いを前向きに検討してくださり、概ね使用することを了解してくださっています。(というのも最終確認のため、来週に実際に焼き杉が使われている建物をもう一度見られてから決定する事になっているのですが、ほぼ使うつもりでいるとおっしゃっているので・・。)
これから実施設計に入っていくので、建物が完成するのは来年の祇園祭りの頃になる予定です・・・。