チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

海洋大循環

2012-06-29 21:07:43 | 哲学

4. 海洋大循環

 エントロピーの法則は、無秩序な状態に向かい元に戻るすなわち循環することはない。 この海洋大循環は、海水の密度の変化により駆動される地球規模の海洋循環である。

 表層水がグリーンランド沖と南極近くのウェッデル海で、冷やされて流氷を作るとき、真水部分のみ凍らせることによって、塩分は残され、塩分濃度の高い海水が比重が大きいため、深海に沈み込み、グリーンランド沖で形成された深層水は大西洋を南極まで南下し、南極起源の深層水と合流した後、南極大陸の周りを通って、インド洋と太平洋の中に流れ込み、北太平洋で上昇して、表層に戻ります。この表層水は表層海洋を運ばれて、再びグリーンランド沖に戻っていきます。

 この海洋大循環は、グリーンランド沖と南極沖の冷却された塩分濃度による海水の密度変化により、深海への沈み込みをエントロピー逆走エンジンとしている。この海洋大循環の周期は1~2千年といわれている。

 この熱塩循環と風成循環(表層数百m)によって、深海(4千m)のミネラル分を含んだ海水が表層近くに上昇する北太平洋は、プランクトンの大発生により大漁場となる。

 この海洋大循環は、海洋全体に膨大な量の水や熱、ミネラルを移送するシステムを形成しているため気候変動をコントロールする重要な要素の1つである。リンなどのミネラル分は、比重が大きいため一般に陸から海、表層から深層へと沈み込む。

 この深海(4千m前後)のミネラル分を多く含む海水が表層に於いて、プランクトンの栄養となり、そのプランクトンをニシンやイワシが食べ生長し、それを大型魚類、海洋動物、海鳥が食べ、サケや海鳥によって陸上へも運ばれ、ミネラル分の大循環にもなっている。北極の流氷が消える時、海洋大循環が止まり、地球上の気候は大きく変動する可能性がある。(第6回)


地球と太陽の絶妙な関係

2012-06-29 07:57:26 | 哲学

 3. 地球と太陽の絶妙な関係

 ハビタブル・ゾーン(生命居住可能領域)とは、その惑星の表面に液体の水が存在出来る領域のこと、太陽系のハビタブル・ゾーンは、0.7AU(金星の公転軌道)と1.5AU(火星の公転軌道)の間にある。地球の公転軌道が金星より近いと、地球上の水はすべて蒸発してしまう。さらに、火星より遠いと地球上の水はすべて凍って氷となる。すなわち、太陽の惑星でも、狭い範囲の金星と火星の間にしか地球は存在し得なかったのである。

 地球の重力が小さすぎると軽い元素は地球から逃げ出し、重力が大きすぎるとその重力に引かれて、隕石が地球に衝突する確率が高くなる。又1日の自転の周期によって、昼と夜があることによって、太陽が平均に地上に当たるため温度(気温)が平準化することができる。

 地球の表面積の2/3は海であり、その平均の深さは、3千7百mに達する。この熱容量のために、地球上の表面温度は安定し、ー20°C~40°Cくらいの範囲にキープされる。

 地球は、太陽からのエネルギーによって温度が上昇すると、蒸発熱540cal/gを吸収し、温度を下げようとして、0°Cと超えて凍る時、融解熱80cal/gを放出して、温度を下げようとする。すなわち、ハビタブル・ゾーンの中に地球があり、地球上の水が気化、固化する時に、吸収、放出する熱が、エントロピー逆走エンジンとして機能して、地球の表面温度を安定に保つ役割を果たしている。

 地球の自転軸が公転面に対して23度傾いているため、春、夏、秋、冬と四季が生まれ、温帯、寒帯地域の生物の可能性を拡大している。月の引力による潮の満ち欠けによって干潟の生物を豊かなものにしている。

 また木星は、地球の2つ外を地球の3百倍の質量で公転しているため、地球への隕石衝突確率を下げている。月も地球を回っているので隕石衝突確率を下げている。すなわち地球と太陽との関係は、絶妙のバランスによって、幸運にも緑の地球は存在している。(第5回)