チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

ブックハンター「となりの億万長者」

2013-04-05 08:29:52 | 独学

 42. となりの億万長者(斉藤聖美訳 1997年9月発行)

 The Millionaire Next Door (The Surprising Secrets of America's Wealthy)
 (アメリカのお金持ちの驚くべき秘訣)
by Thomas J.Stanley and William D.Danko copyright 1996
 (トマス・J・スタンリー & ウィリアム・D・ダンコ著)

 『 20年以上前、私たちは、人はどうやって金持ちになるかを研究しはじめた。最初、私たちは、誰もが考えるように、いわゆる高級住宅街に住む人々を対象に調査を行った。

 だが、そのうちどうも奇妙なことに気づいた。豪華な屋敷に住み、高級車に乗っている人たちは、実際にはあまり資産を持っていないのだ。そしてもっと奇妙なことに気づいた。大きな資産を持つ人々は、そもそも高級住宅に住んでないのだ。

 この小さな発見が、私たちの人生を一変させてしまった。トム・スタンリーは大学の教職を捨て、富裕層を対象としたマーケティングの本を三冊書き、富裕層向けにビジネスをする企業のアドバイザーになった。

またアメリカを代表する大手金融機関七社の依頼で、資産家についての研究調査を行った。この20年間、彼と私は、富裕層向けビジネスに関するセミナーを何百回と行ってきた。

 なぜ、こんなにも多くの人々が私たちの話に興味を示したのか? それは私たちが、本当の金持ちは誰かを探し当てたからだろう。そして、どうすれば普通の人が金持ちになれるかの法則を分析し発見したためであろう。

 たいていの人が、資産について間違った考えを抱いている。「資産」は「所得」と同じではない。毎年高い収入を得ても、それを全部使えば、いい暮らしをしているだけなのだ。

 どうしたら金持ちになれるか。この点でも、普通の人は勘違いしている。幸運、遺産、高学歴、頭の良さが条件ではない。勤勉、我慢、計画性などのライフスタイルから、資産は形作られていくのだ。そして自分を律する強い精神力を持つこと、これが何より重要なのだ。 』


 『 どういう人が金持ちになるか? たいていは、成人してから住み着いた町にずっと住むビジネスマンである。小さな工場やチェーンストア、サービス業の会社などを経営し、離婚せずに家庭を守ってきた人である。

 彼らは、自分よりはるかに少ない資産しか持たない人たちのとなりに住む、ごく普通の人だ。彼らは脅迫観念にとらわれたように貯蓄し、投資をする。独力で金を稼ぎ、金を貯める。アメリカの金持ちの8割は一代で富を築いている。

 資産家のライフスタイルは、お金が貯まるようにできている。私たちの調査から、次の七つのポイントが資産を築く成功の秘訣だということがわかった。

 1 収入よりはるかに低い支出で生活する。

 2 資産形成のために、時間、エネルギー、お金を効率よく配分している。

 3 お金の心配をしないですむことのほうが、世間体を取り繕うよりもずって大切だと考える。

 4 社会人となった後、親から経済的な援助を受けてない。

 5 彼らの子供たちは、経済的に自立している。

 6 ビジネスチャンスを掴むのが非常にうまい。

 7 自分にぴったりの職業を選んでいる。

 私たちは、アメリカの資産家がどのような人々で、彼らがどのような人々で、彼らがどうやって資産を築いたかを綿密に研究した。本書は私たちが20年間行って来た研究を基礎としているが、執筆に利用したデータのほとんどは、最近の調査結果である。

 私たちは500人以上の資産家にインタビューし、又一万一千人以上の資産家や高額所得者にアンケート調査した。 』


 『 お金持ちの第一の定義は、現在の資産額から負債額を差し引いた純資産額が、100万ドル以上持つ人を億万長者、お金持ちと呼ぶ。この定義によれば全米一億世帯のうち3.5%がお金持ちとなる。億万長者の95%は、100万ドルから1000万ドルの資産を持つ。

 お金持ちの第二の定義は「期待資産額」を基にするものである。資産額はその人の年齢と収入に大きく影響される。収入が多ければ資産も多いはずだし、働いた年月が長ければそれだけ蓄財もできているはずである。

  年間家計所得(税引き前)X 年齢 / 10 = 期待資産額

  期待資産額 < 純資産額 (この式の意味は、毎年年収の一割より、多くの資産を創ることが、出来た人は金持である)

 ボビンズ氏の場合、41歳の消防士と妻の二人の年収は5万5千ドルで,純資産額が46万ドルとすると、期待資産額は22万5千5百ドルで、彼らの純資産額の方が上回るので、お金持ちとなる。ボビンズ氏は、100万ドルにはるかに及ばなくてもお金持ち(蓄財優等生)とされる。 』


 『 ロシア系アメリカ人は全米に1.1%しかないのに、億万長者の中では6.4%もいる。ロシア系アメリカ人の22%は、億万長者なのだ。

 なぜロシア系アメリカ人はお金持ちになりやすいのか。それはロシア系に事業家の割合が非常に高いせいだと考えられる。

 スコットランド系アメリカ人は、全米に1.7%しかいないが億万長者では9.3%を占める。億万長者を輩出する人種は、所得も高いと想像される。

 実際、億万長者の3分の2以上は10万ドルを上回る年収を得ており、所得と資産には強い相関関係が見られる。

 ところが唯一の例外は、スコットランド系である。スコットランド系の高額所得者は全米に1.7%しかいないのに、億万長者となると9.3%に跳ね上がる。

 なんとスコットランド系では、6割の人が年収10万ドル以下で億万長者になっているのだ。スコットランド系は、倹約の美徳、自己管理の大切さ、経済的に成功すること、自立することの重要性を代々受け継いでいる。 』


 『 毎日ジョギングする人たちって、そんなことをしなくてもいいようなスタイルの人たちじゃありませんか? でも、あの人たちは毎日走るからこそ、引き締まった身体でいられるんですよ。

 お金持ちも、経済的に心配のないように努力しているからお金持ちなんです。経済的にゆとりのない人は、自分の生活を変えようとしないからゆとりができないんです。

 誰だってスマートになりたいと思う。そのために何をしなければならないかも知っている。なのに、なかなかスマートになれない。

 それは、実行する強い意志の力がないからだ。計画を立てて運動する時間を作り出そうとしないからだ。金持ちになるのも同じこと。

 お金持ちになりたい気持ちはあっても、守りの姿勢ができあがっていないのだ。お金を使う前に、時間をかけてきちんと計画を立て、予算を組み、出費をコントロールしなければお金は貯まらない。

 ルール夫人は、自己管理が上手で、じっくり時間をかけて計画を立て、予算を立てる。ルール夫人の家計収入は年によって大きくぶれる。5年間の平均年収は9万ドルだった。

 収入が不安定であるにもかかわらず、ルール夫妻の資産は毎年増加している。現在、ルール家の資産は200万ドルを超えている。予算に関する私たちの四つの質問に、すべてイエスと答えている。

 1 あなたの家庭では毎年予算を立て、それに従って支出しますか?

 2 食費、衣料費、住宅費にいくら使ったか把握してますか?

 3 あなたは人生設計を立て、毎日、毎週、毎月、毎年の目標を立てていますか?

 4 将来のために時間をかけて資産運用計画を立てますか? 』


 『 ドクター・ノースは、今乗っている車を買ったのは6年前だと誇らしげに話してくれた。新車を買って6年間乗り回しているわけではない。

 六年前に、三年経った中古のメルセデス・ベンツ300を3万5千ドルで購入している。ドクター・ノースは大いに気に入っている。

 値段も手頃だったし、ディーゼルなので燃費もいい。何十万キロ走ってもオーバーホールの必要はない。そのうえ、スタイルが時代遅れになることもない。

 新車は中古より2万ドルも高かった。そこで考えたんです。「新車を持つプライド」に2万ドルかける価値があるだろうか、ってね。

 車はそんなに違わないんだから、あとはプライドの問題だけでしょ。プライドのためだけに2万ドル払うことはない、というのが私の結論でした。 』


 『 私たちが取材した起業家で成功した人々は、一人残らず、仕事を楽しんでいる。みんな独立したことにプライドを持っている。

 ある数百万ドルの資産を持つ金持ちが、私たちにこう話してくれたことがある。

 最近は、仕事がおもしろくない、というサラリーマンが多いようだ。だが、こう言ってはなんだが、仕事で成功するヤツというのは、仕事が大好きで、朝起きて会社に行くのが待ち遠しいと思うような人種なのだ。

 少なくとも私はそうだし、昔からずっとそうだった。今でも、朝起きて仕事にとりかかるのが待ち遠しいよ。

 彼には子供がなく、妻を亡くしている。彼が事業を始めたのは金のためではない。彼にとって、金は二の次の問題でしかない。

 彼は死後、遺産を出身校の奨学金に寄付することにしている。彼はどのようにして事業分野を選択したのだろうか。彼は理工学部で学んだ。

 学部には、自分で会社を持って事業をしている教授がたくさんいた。この教授たちが、彼のお手本だった。

 事業で成功する人は、自分で会社を始める前に、何らかの形で、その分野の経験や知識を持っている。

 たとえばラリーの場合、彼は十年以上、ある印刷会社で営業をしていた。彼は常によい成績をあげていたが、会社がつぶれるのではないかと心配しながら仕事をするのではなく、自分で印刷会社を始めることを考えるようになった。

 そこで、彼は私たちにアドバイスを求めてきた。私たちはラリーに簡単な質問をした。「印刷会社で一番重要なものは何ですか?」

 彼はすぐさま「たくさんの注文、売上、顧客」と答えて、自分で問題の回答を見つけ出した。彼は自分で事業を始めたが、印刷会社ではなく、印刷会社の営業代理店を始めたのである。

 彼は大手印刷会社数社の営業を代行し、注文を受けるたびに手数料をもらい受けている。このビジネスでは、間接費がほとんどかからずにすむ。

 ラリーは自分で会社を始める前に、起業家になる勇気がないと私たちに話していた。独立することを考えただけで、不安にさいなまれたという。

 ラリーは、起業家は怖いもの知らずの勇気ある人だと思い込んでいた。私たちはラリーに、あなたの定義する勇気は間違っていると話した。

 私たちの定義では、勇気とは、漠然とした不安感をはっきりと具体的な形に置き換えることを指す。

 勇気ある人々、起業家たちも、不安になることはある。だが彼らは不安感をどう扱えばよいのかわかっている。だから成功できたのだ。 』


 私(ブログの筆者)が、この本から、学んだことを列挙します。
 
 1 自分を生かすべき職業を持つ(自分で工夫し天職にする)

 2 利益を生む優良企業の株を保有する(成功した起業家はその株で富を得ている)

 3 利益を生む利用価値のある不動産を保有する(発展する都市を事前に予測する)

 4 価値を生む文化財(骨董)、利益を生む特殊な生産財を保有、活用する

 5 知恵を授けてくれる人々をもつ、または多くの人に知恵を授ける

 6 ある分野に特化した知識、技術を持ち、その分野を克明に観察する

 7 自分の現在の状況に於いて、小さな価値あるものを発見して、育て上げる

 8 自分の種銭を丁寧に使い (期待資産額 < 純資産額) を目指す(第43回)