チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

ブックハンター「お金の法則」

2018-02-09 13:28:19 | Weblog

 157. お金の法則  (スージー・オーマン著 山根みどり訳 2007年8月)

   The Law of Money , The Lessons of Life  by Suze Orman  CopyrightⒸ2003

 著者は、イリノイ大学を出て、ウェートレスから、メリルリンチへ、その後、ベーチュ証券を経て独立。女性の公認ファイナンシャルプランナーとして、全米で4冊の著書は次々にベストセラーに、ラジオやテレビに、講演に、活躍中の第一人者です。

 本書は、お金には、五つの法則があると説いてます。これを守ることで、お金ばかりでなく、素晴らしい人生がおくれると書いてます。ではさっそく、五つの法則をみてゆきましょう。


 Low Number 1 Truth Creates Money, Lies Destroy It  (お金は真実から生まれ、ウソで失われる)

 Low Number 2 Look at What You Have  Not at What You Had  (過去ではなく、現状に目を向けなさい)

 Low Number 3 Do What Is Right for You  Before You Do What Is Right for Your Money

                 (お金にとって正しいことをする前に、自分にとって正しいことをしなさい。

 Low Number 4 Invest in the Known Before the Unknown   (invest:投資する、支出する)

        (不確実なものに投資する前に、確実に必要となるものにお金を使いなさい)

 Low Number 5 Money Has No Power of Its Own  (お金はそれだけでは何の力も持たない)


 『 本書に書かれている五つの法則を私がどうやって見つけたかというと、まさにあなたを見てわかったのです。

 23年間に何万人もの人を相手に取引した私の経験から、そして、お金のトラブルを抱えている人たち全員が、この五つの法則を破るという同じ過ちを犯していたということに気づいたことが発端です。

 法則の本質を理解すれば、お金から学ぶ教訓があなたの人生を前向きに変えてくれるでしょう。要するに、お金の法則はあなたを束縛するものではありません。

 あなたをトラブルから救い、安全な生活を約束し、あなたや他の人たちをお金の問題で苦しめることなく、もっと意味のある、経済的、情緒的、精神的な利益をもたらすためのものです。

 この法則を道しるべとして歩んでいけば、あなたはより大きな人間になり、より多くを手に入れ、より多くを生み出すことができるようになるでしょう。

 そのような形で、あなたの豊かな生活が実現するのです。あなたにはできます。これは空約束ではありません。法則なのです。 』


 『 私は、1973年にカレッジを卒業後、カルフォルニア州バークレーにあるバターカップ・ベーカリーで7年間ウェートレスとして働きました。

 その後、さまざまな偶然が重なった結果、メリルリンチで株式ブローカーの研修生となりました。この仕事に就いた当初、私は最高においしいオムレツの作り方を知っていましたが、お金や株式の知識は皆無でした。

 私は確実に仕事を覚えお金を稼ぐようになり、3年後、プレデンシャル・ベーチェから投資部門のバイスプレジデントとして誘いを受けたのです。こんな願ってもないオファーを断る理由はありませんでした。

 株式ブローカーになったとたん、私は自分が稼ぐお金に対して愛着を感じました。それは初めて自分の実力で稼いだお金だったからです。

 小切手を母に贈ることが最大の喜びでしたが、母は、私が月に三千ドルから一万ドルも稼いでいることが信じられないようでした。

 しばらくすると、私は地位の高い人たちを相手に仕事をするようになり、高級服を着て、以前は特別の機会にしか行けなかったような高級レストランでたびたび食事をするのが楽しくて仕方ありませんでした。

 当時私が使っていたお金は、私の成功を宣伝する勲章のようなものでした。

 プレデンシャル・ベーチェに入ってからしばらくすると、私は、顧客が望んでいるのは、株や債券や投資信託の仲介人ではなく、ファイナンシャル・アドバイザーによるさまざまなアドバイスだということに気づきました。

 そのために、私は、プレデンシャル・ベーチェで働きながら、公認ファイナンシャルプランナーの資格を取り、顧客の資産を守り増やす方法について学んだことを応用し、実践し始めました。

 それから、顧客と私自身にとって最善の仕事をしていくために、1987年に自分の会社を設立したのです。

 会社設立後、数週間も立たないうちに、事業は軌道に乗り始めました。私は、短期間でそれまで以上のお金を稼ぐことが出来たのです。しばらくの間、大金を手にして、私は誰よりも幸せな人間になったと思っていました。 』


 『 ところが、私の幸福は長くは続きませんでした。会社設立後ほどなくして、それまで経験したことのない悲惨な出来事によって、壊滅的ともいえるダメージを受けたのです。

 私は、会社を起こす際に手伝ってもらえるよう、元同僚だった女性をアシスタントに採用していたのですが、彼女はある日、夜中の一時半にオフィスに侵入し、顧客名簿全部とその他の書類をコピーしたのです。

 翌日、彼女はまったく事実無根のことで私を非難し始めたのですが、それは、彼女が私を破滅させて私の顧客を全員横取りしようとしたのだと思います。彼女がなぜそのようなことをしたのか、今でもはっきりとはわかりません。

 ある業務検査で、私はCFP資格の更新手続きが正しく行なわれていないとの指摘を受けました。そのことで罰金を科せられましたが、私は直ちに無実を勝ち取りました。

 ところが、問題が法的に解決しても心は晴れず、検査のあいだもそれが終わってからも、顧客にまた会おうという気が湧きませんでした。そこで私は会社を一時休業することにしました。

 その結果、できるだけ慎重に、質素に生活しなければならないはずなのに、私は今までと同様に、まるで流行から取り残されるのを恐れるかのようにお金を使い続けました。

 今思い起こせば、私はあの時、あたかもお金持ちであるかのように見栄を張り続ける道を選んだのです。実際に自分自身に起こったことを、ほとんど誰にも話しませんでした。

 心の中では狼狽していたのに、外向きにはその状態を深く考えず、経済的に何の心配もないかのように振舞ったのです。ついに貯金は底をつきました。

 クレジットカードローンは、私が以前利用しなかった分、借り入れ枠が拡大していたため、安易に借りてました。その結果、借金はとてつもなく大きく膨れ上がったのです。

 毎月送られてくる複数のクレジットカードの請求額は増え続けました。私は一つの請求書の最低返済額さえも支払うことが不可能になっていました。

 たとえば、友人たちと一緒に夕食に出かけた時なども、私が払うわ、と言って全員の分を払っていたのですが、それは、成功したファイナンシャル・アドバイザーとしてのイメージを他人と、そして私自身に対して保ちたかったからなのです。

 お金がなくなれば、誰も私を好きになってくれず、そばに来たがらなくなると思っていました。その当時、私が好かれている理由は、私自身がどういう人間かではなく、私の持っていたお金であると信じていたからです。

 そのころ、私には好きな人がいました。彼は相当な金持ちでしたが、私は彼に対してもウソをついていました。

 高価なメキシコ旅行の二人分の代金を私が支払い、実際にはとても払いきれないような贅沢な贈り物を交換し、私が稼いでいたお金についてウソだらけの会話をしていました。

 ほどなくして、私は自分の退職金口座に手をつけるようになっていまいした。税金も罰金もまともに払えないのに、実際よりも金持ちに見えるよう、ウソで固めた生活を続けたかったのです。

 その一方で、私のお金は、急速になくなり始めていました。ある日、サンフランシスからオークランドへ車を走らせていた時のことです。ベイブリッジを渡っていた時、ついに、ウソで固めた私の生活すべてが崩壊したのです。

 そこで起こったことは、そのころの生活の大変さと比べたら単純で些細なことでしたが、私にとっては最後の一撃でした。スピード違反の切符を切られたのです。罰金はわずか40ドルでした。

 私にはその40ドルがありませんでした。それどころか20ドル、いえ、10ドルさえ手元になかったのです。支払うには、クレジットカードでまた借金をするしかありませんでした。

 リースで借りた高級車に乗り、クレジットカードで買った8千ドルの腕時計とデパートのクレジットで買った2千ドルのレザージャケットを身に着けてベイブリッジを後にした時、今までのウソの大きさが、ようやく現実となって私に覆いかぶさってきました。

 私は、経済生活の破滅に向かってハイウェイを突っ走っていたのです。その日、家に着くと、真実が止めどなく流れる涙となって、私の中からあふれ出てしまいました。

 私は、泣き続けました。その時、かって、ある博識の教師に言われた言葉を思い出しました。「神は、あなたを許す時に涙を使われる」。

 そこで、私は自分自身を許すことのできる唯一の方法は、真実を語って生きてゆくことだと悟ったのです。それ以降、私が言葉を発するたびに、それをいちばん注意深く聴いていたのは、私自身でした。

 私は真実を話す一方で、自分の言葉を聴く必要があったのです。真実に従って、生活を始める必要がありました。それまで世間に対してウソをついていた私でしたが、そのウソで破滅させようとしていた相手は、実は私自身だったのです。 』


 『 ウソをやめて真実に生きるようになると、驚くばかりの変化が表れました。ウソの印象で自分を金持ちに見せたいという願望がなくなり、本当の自分の姿を見せるようになったのです。

 これができるようになると、気持ちが楽になりました。力が出て、元気になったように感じ、エネルギーが湧いてきたのです。エネルギーが高まってくると、自分の望みを叶えるためにさらに努力することができました。

 つまり、過去の傷を乗り越えて、まともな生活と仕事を続けるために努力することができたのです。あの時、ベイブリッジで交通違反の切符を切られていなければ、私は経済的に破滅していたかもしれません。

 結局、私はそこで、当時のせっぱ詰まった暮らしをやりくりする方法よりも、それ以上に価値ある、ゆるぎない人生の教訓を学んだのです。真実とウソの本質についてのごく基本的なことが、やっと理解できたのです。

 つまり、どれほど変化を望んでも、また隠そうとしても、真実は変わらないということです。私は、真実とはある事実を指しているのではなく、むしろ道であると悟りました。

 その道は、自分で選択し、踏み外さないと心に決めて歩いてこそ、初めてほんとうの豊かさに導いてくれるのです。

 ウソとは、すべきことをせずに済ませたい時の口実よりも悪質だということにも、私ははじめて気づきいることを実際に行うという意味で、ウソは悪質なのです。

 ウソは真実を覆い隠し、ウソをつく人から力を奪います。また、お金と人生がコントロールできなくなる最初の一歩となります。この意味では、ウソも道、つまり破滅へと続く道であると言えるでしょう。 』


 『 私には、自分が不適切な行動を取り始めた時に、いつも方向転換の勇気を与えてくれる大好きな格言があります。「間違った道を歩んでいる時、神はUターンを許してくださるということを思い出せ」

 それを初めて聞いた時、私は「すばらしい言葉だけど、その具体的な方法がわからない」と思いましたが、後になって、その意味が理解できました。

 では、どのようにしてUターンをすればよいのでしょうか。いちばん重要な最初のステップは、過去のついたウソや犯した間違いについて自分自身を許すことです。

 現状を他人のせいにせず、自分自身も責めないでほしいです。責任を取ることと、自分を責めることを混同してはいけません。

 過去の経験を振り返れば、人生の教訓を学んで、そこから前進できることがわかります。前進のためには、罪悪感や非難は何の役にも立ちません。

 かって通った道をずっと後戻りして、お金に関してウソをついた地点に着いたら、そこで立ち止まってください。ウソをついた地点にたどり着くたびに、どんなにそれがつらくても、ウソを正す努力をしなければなりません。

 今あなたが抱えている問題の根源を直視しなければならないのです。簡単なことではありませんが、これをちゃんと行ってください。 』


 次の話から、”第2の法則の”過去ではなく、現状に目を向けなさい”の中からです。

 『 投資家の多くは、私に言わせれば、バックミラー・ドライバーです。お金に関するあらゆる意思決定は、バックミラーを見て、つまり過去の経験に基づいて行われますが、投資については、過去が直接的に影響を与えるのです。

 投資の目的は、現在のお金の状況をより良くする方向に持っていくことです。前進するための簡単な方法とは、自分の現在位置と周囲の状況を確認し、その地点から行き先を決めることです。

 後ろを見ていては簡単に前進できません。「過去ではなく、現状に目を向ける」ことが、重要なお金の法則です。これを理解して自分のものとし、人生で活用していかなければならないのです。 』


 『 法則3の教訓 ”お金にとって正しいことをする前に、自分にとって正しいことをしなさい”

 ・ お金に関する決心をする時は、まずあなた自身のことを優先的に考えることが必要です。

 ・ お金の目標とは、お金を増やすことだけではありません。あなたがもっと安心して暮らし、もっと自由になり、自分の生活をもっとコントロールできるようになることです。

 ・ この法則で重要な点は、お金は鏡だということです。あなたは自分にとって正しいことをする時、それがお金に映し出されるのです。自分にとって正しいことをしなければ、それもあなたのお金に反映されます。

 ・ このことは絶対に忘れないでください。人の生命は、この世でもっとも大切なものです。あなたの世界にあなたがいなければ、他のすべてが無に帰するのです。

 ・ 人は皆、それぞれに自分のお金の優先順位を持っています。あなたと同じ指紋を持つ人が誰一人としていないのと同様に、あなたとまったく同じ生活を送り、お金を扱い、決心をする人は一人もいないのです。皆、それぞれに違うのです。

 ・ あなたが、他人と自分を比較するのをやめると、あなたのほんとうの姿をもっと楽に受け入れることができます。そして、自分のほんとうの姿を受け入れてしまえば、自分の基準に基づいてお金に関する決定を行うことができるでしょう。

 ・ 自分のほんとうの姿がわかってしまえば、正しいことを行なうのは簡単です。でも、自分のほんとうの姿が見えなければ、お金を扱うたびに不安に駆られるでしょう。 』


 『 不安要素尺度の目安 これは、各投資商品を保有していてどのように感じ、この投資商品をどうするかの尺度です。

 レベル1 絶対に大丈夫。何の問題もない。 〔対応] 全部を保有しておく。

 レベル2 大丈夫だが、少し不安はある。  〔対応〕 25パーセントを売却する。

 レベル3 自分がどう感じているか、はっきりわからない。 〔対応〕 50パーセントを売却する。

 レベル4 この投資商品について考えると、たいてい気分が悪くなる。 〔対応〕 75パーセントを売却する。

 レベル5 この投資商品を保有しているのが本当に怖い。 〔対応〕 全部売却。(損失に関係なく) 』


 ここから、法則4の”不確実なものに投資する前に、確実に必要となるものにお金を使いなさい”の中からです。

 『 法則4は、基本的に、生活に必要なもの、または債務の返済などにまずお金を使うべきであると教えて居ます。例えば、食品、住まい、交通、借金の返済そして退職後の生活資金です。

 このように、必要なものにお金を使った後に残ったお金で、より大きな家、不動産投資、退職口座以外での株式投資など、不確実なものに投資すべきです。

 私は、この法則を、モーセの十戒の8番目、「汝、盗むなかれ」に通じると考えてます。なぜでしょうか。確実に必要となるものにお金を使う前に不確実なものに投資するということは、あなた自身からお金を盗んでいることになるからです。

 あなたの安全、幸福な生活、将来の生活を盗むことを意味してます。同時に、それはあなたの家族の安全や幸福も盗んでいることになるでしょう。

 さらに、これまでに学んだ三つの法則にも違反しているのです。つまり、お金ともっとも必要なものについて真実を話していない。現状を直視していない、そして、あなたにとって正しいことをしていないということです。 』


 『 最後に、法則5の”お金それだけでは何の力も持たない”の教訓です。

 ・ お金に生命を吹き込み、力を与えるのはあなたです。

 ・ お金の力はすべて、あなたを通して発揮されます。あなたが源泉なのです。

 ・ お金をどれだけ持っているかにかかわらず、あなたには力が備わっていることを理解する必要があります。

 ・ 人生の伴侶はまたはパートナーには、お金の法則に従っている人を選ぶべきです。お金の法則を破る人と生活を共にすれば、結局、その選択を後悔することになるでしょう。

 ・ どんな状況でも、またどんな人間関係でも、それを力強いものにするか弱々しいものにするかは、あなた次第です。

 ・ お金に関して人生でいちばん重要なことは、まず人、お金はその次、モノは最後という順序であるということ。それをいつも忘れないでください。 』 (第156回)