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マスク不足の中、注目の「手作りマスク」 医師に聞いた効果は?作り方も紹介

2020年05月06日 21時06分30秒 | いろいろな出来事
マスク不足の中、注目の「手作りマスク」 医師に聞いた効果は?作り方も紹介

新型コロナウイルスの影響で、東海3県でも相次ぐマスク不足。「欲しいのに手に入らない!」そんな中、代用品として、また応急処置として注目されているのが『手作りマスク』です。
 デザインも豊富、子ども用にサイズも調整できるので、愛知県岡崎市の女性は、家族で愛用しているといいます。

「綿素材で肌に優しい感じで、付け心地が良いと思います。子どもたちは『自分の好きな柄で作ってほしい』と。女の子は花柄、男の子は車柄のリクエストが入ります。使った後は毎回洗濯して繰り返して使っています。夏に作ったものを今使っているんですが、半年以上は使っています」(手作りマスクを愛用している岡崎市の女性)
布地の専門店「大塚屋 車道本店」(名古屋市東区)        
 


布地専門店にはマスク用の生地を求め客が増加
 
 手作りマスクの広がりは、名古屋市内にも。5日、東区の布地の専門店「大塚屋」では…

「マスクが売り切れてどこにも売ってないので、作るしかないかなと」(布マスクを作ろうと来店した女性)

  大塚屋ではマスク用の生地や道具を求めて訪れる人が増えていると言います。マスクにはどんな生地が向いているのでしょうか…

マスクに適したダブルガーゼ        
 


 
「今売れ筋なのがダブルガーゼ。通気性がいいのと、素材が柔らかいので扱いやすいものです」(大塚屋スタッフ 長江彩さん)

 子ども向けから大人向けの柄まで、その数50種類以上。ウイルス対策として、抗菌加工がされているダブルガーゼも人気が高まっています。

  さらに…

簡単お手頃にマスクが作れる        
 


立体マスクの型紙は10円
 
「10円で提供しているマスクの型紙です」(大塚屋スタッフ 長江彩さん)

 立体マスクの型紙を10円で購入することができるんです。布とゴムあわせても全部で324円。20cm×110cmの布でマスク2個は作れるといいます。

 「ミシンを使えば早いです。慣れた方だと15~20分で作れます。初めての方は手縫いでやってもそんなに時間はかからない」(大塚屋スタッフ 上温湯文恵さん)

型紙に沿って布を裁断        
 


誰でも作れるマスク製作方法
 
 作るのはより顔にフィットしやすい立体マスク。まずは、型紙に沿って布を裁断します。左右対称にあわせて4枚の布を準備してください。


このマスクの中心となる部分を縫って布をつなぎ合わせます。同じものを、もう1枚作ります。    
生地を重ねて周囲を縫う        
 


 
 2枚を重ね、周りをぐるっと縫い合わせていきます。最後の1辺(画像の青い点線部分)は生地をひっくり返してから縫い合わせます。

サイドにゴムを付けたら完成        
 


 
「耳のところにゴムを入れるので、端にステッチを1cmくらい入れます」(大塚屋スタッフ 上温湯文恵さん)

 両サイドを折って、縫い合わせ、ゴムを通したら完成です。
 型紙から一回り大きくしたり小さくするだけでサイズを自由に変えることができます。

 「ハンカチガーゼなど家に眠っているものを利用してもいいかもしれないです」(大塚屋スタッフ 上温湯文恵さん)

マスクのワークショップを企画(岐阜県岐南町「シュ・シュ」)        
 


「薬局で買えなかった人を見て…」手作りマスクの作り方教室始めた親子
 
 岐阜県岐南町にある、雑貨のハンドメイド教室「シュ・シュ」。7日から急きょ手作りマスクの教室を始めました。マスク作りを教えているのが、小林房子さん・由果さん親子です。

 「薬局に小さい女の子を連れたお母さんがマスクが空っぽの商品棚を見て、ちょっと残念そうに帰っていく姿を見かけました。母(小林房子さん)に『みなさん困っているならマスクのワークショップをやらない?』と話したら、ちょうど母も一緒のことを考えていた」(小林由果さん)

子どもたちでも作れる        
 


 
 ホームページなどで情報を発信した途端、問い合わせが多く来たといいます。そして早速、第1回目の教室に6人の親子連れなどが訪れました。

「新型コロナウイルスが流行ってきているので、いまもどんな感じなんだろうと。インフルエンザも心配なので」(ワークショップに参加した女性)

 さらに春先のことを心配する人も…

「花粉症なので常にマスクが必要」(ワークショップに参加した女性)

布地のデザインは好きなものを選べる        
 


約1時間で完成!オリジナル手作りマスク
 
 生地のデザインは、かわいらしいものから、シンプルなものまであり、ガーゼ生地の間には、特別な綿をはさんでミシン掛けします。作り始めて約1時間。自分の顔にぴったりのマスクが完成しました。

ワークショップは3月7日までの予定        
 


 
「皆さんが思っているよりもずっと簡単なので」(小林房子さん)
「初心者もどんどん来てほしいなと思います」(小林由果さん)

  教室は1カ月間限定ですが、今後の新型コロナウイルスの流行を見ながら延長も検討するということです。

洗剤で洗って再度使用可能        
 


医師も「一定の粒子をカットするので効果はある」
 
 手作りマスクの気になる効果ですが、愛知医科大学病院の三鴨廣繁教授に聞いたところ、人込みなどの環境の中では、一定の粒子をカットするので「効果はある」ということです。

 また洗い方については特別なことはなく、お湯と洗剤で洗うだけで大丈夫だといい、抗菌物質入りの洗剤であればより望ましいということです。


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新型コロナウイルスをの正しい対処方法。マスクよりも手洗い重視の理由とは?

2020年05月06日 19時30分22秒 | 医療のこと
新型コロナウイルスを正しく怖がる方法。マスクよりも手洗い重視の理由とは?

>。飛沫感染するウイルスは、感染者の咳やくしゃみで飛び散る唾液や鼻水の飛沫を直接浴びたり、電車のつり革やドアノブに付着した感染者の飛沫に直接、手を触れたりすることで広がる

手に付着したウイルスから感染する確立が高い→手洗いで洗い流すことが有効


国内外合わせて感染者数37万2110人、死亡者数1万6225人(3月25日時点)と拡大の一途をたどる新型コロナウイルス感染。政府による休校措置から各イベントの自粛要請。東京五輪の延期は決定し、先ごろ行われた小池都知事による会見では、週末の外出自粛要請もなされた。どの局面においても「感染拡大を食い止める重大な時期」と繰り返され、国民の不安は募るばかりだ。  

マスクは今なお売り切れ状態が続き、フェイクニュースやデマを含めた、玉石混淆の情報がネット上に踊る。「未知のウイルス」という言葉一つで、世界で4000万人以上の犠牲者を出したスペインかぜになぞらえるなど過度に恐怖心を煽る向きもあるが、改めてこのウイルスに対する正しい知識を持ち、冷静に対処したいところ。  

そんな中、感染症の問題を20年以上にわたって取材してきたジャーナリストの木村良一氏が、感染症対策の専門家である医師の岡部信彦氏を監修に迎えた新刊『「新型コロナウイルス」正しく怖がるにはどうすればいいのか』を上梓。 

<新興感染症については、個人レベルでも国家レベルでも「いかに正しく恐れるか」が求められる>と本書の冒頭で述べてあるとおり、新型コロナウイルスに対しては、怖がりすぎることも怖がらなすぎることもなく、正当に怖がることが肝心だ。早速、本書の一部を覗いていこう。
(< >は本書からの引用) 

新型コロナウイルスの感染力
  新型コロナウイルスの感染の仕方は「飛沫感染」が中心で、風邪や季節性のインフルエンザと同じだ。飛沫感染するウイルスは、感染者の咳やくしゃみで飛び散る唾液や鼻水の飛沫を直接浴びたり、電車のつり革やドアノブに付着した感染者の飛沫に直接、手を触れたりすることで広がる。 


<1人の感染者が何人に感染させるかという感染力は2人程度とみられている。これも2人~3人のインフルエンザとほぼ同じだ。新種のウイルスに対して私たちは免疫(抵抗力)を持たないので、新種の場合、感染力はかなり高くなる。それに未知の病原体だけに特有の感染ルートを持っている可能性もある。それを考慮したとしても、新型コロナウイルスの感染力は弱いと思う。 

~中略~  

今回の新型コロナウイルスは、飛沫核感染する麻疹(はしか)の感染力(10人~20人)と比較すると、その感染力がさらに弱いことがよくわかる。> 

 世界中で爆発的に増えていく感染者数と志望者数を見ていると、物凄い感染力があるように思えてしまうが、実際の数字自体はそれほど脅威的ではない。 


マスクより手洗い

  個人で行う対策は<手洗いとうがい、それに十分な睡眠と栄養摂取で抵抗力を付けること>とは、本書で再三書かれているが、多くの人が感染予防のためにしているマスクについては<「付けないよりは付けた方がましだ」ぐらいの感覚でいるべきだ>としている。マスクは正しく着用すれば、感染者の飛沫(咳やくしゃみで飛び散るしぶき)を防ぐことには効果的で、無数のウイルスを含んだ飛沫の大半は封じ込められるが、感染するリスクを避けるためのマスクの効果は疑問視している。


 <鼻や喉の乾燥を防いで水分を保つという利点もある。ウイルスの付着した手を無意識に口や鼻に持っていってもマスクをしていれば、接触感染は防げるかもしれない。しかしこれも外すときに感染者の飛沫が付いている可能性のあるマスクに直接触れれば、結局は接触感染してしまう。  それに目はマスクでガードできない。ゴーグルが必要になる。飛沫を浴びれば、頭髪や衣服にも病原体が付着する。その髪の毛や洋服を手でさわれば、同じように感染する。>

特効薬のない未知の病原体?

  現在、新型コロナウイルスに対する特効薬やワクチンは開発されていない。そのことから「人智の及ばない殺人ウイルス」などと誇張されることもあるが、著者は<最近の新聞やテレビの報道ぶりを見ていると、騒ぎ過ぎのように思えてならない。>と断じる。 <新型コロナウイルスの病原性(毒性)は弱い。80%の患者・感染者が軽症で治癒している。人が免疫(抵抗力)を持たない新型ウイルスだけに、それなりの感染力を持っているのは確かだが、その感染力もより多くの人が感染して多くの人が免疫を持っていくうちに弱くなる。

 ~中略~  

そもそもウイルスなどの病原体は、自分が生存するために必要な宿主を滅亡させるようなことはしない。これはウイルスに聞いてみないと分からないことだが、少なくとも人間サイドから考えていくと、人間の細胞の中で増殖して子孫を増やしていくウイルスは宿主の人間をすべては殺さない。人間を絶滅させれば、自らも滅ぶからだ。>  


新型コロナウイルスは分からないところも多い未知のウイルス。このウイルスの性格について注意しておくべき点が以下の3つ。 

1 感染してから発症までの潜伏期間が1日~12.5日と長いという特徴を持つ。潜伏期間中、本人に感染の自覚がないから外を元気で歩き回り、感染を広める危険性が常にある。 

2 高齢者や心臓病、高血圧、腎臓病など基礎疾患(持病)のある人、いわゆる健康弱者は重篤になるケースがあるので注意しなければならない。 

3 風邪やインフルエンザよりも熱や咳、倦怠感の症状が長引くことが多い。新種だけに免疫ができ難い面があるのかもしれない。  

その他、本書では新型コロナウイルスに対して、パニックにならないための方策を、過去の感染症拡大の事例や最新データと照らし合わせながら解説。妙なデマや陰謀論に振り回されることなく、正しく怖がることが大切なのだ。


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GWに感染拡大」で外出自粛は6月以降もダラダラと続くはずだ

2020年05月06日 19時00分27秒 | 日々の出来事
の動きを制限しても、地方にコロナは広がってしまう

 新型コロナウイルスの感染防止に向けた「緊急事態宣言」の効力は、現時点でゴールデンウィーク(GW)最終日の5月6日までです。政府は経済への打撃を最小限にするため、この日で緊急事態宣言を終わらせ、感染者を減少方向に向けるように対策を急いでいます。

【写真】桜の下で新型コロナの終息祈願

 その中で重要なのがGWに人の移動を全国的に抑制することです。すでに交通機関は移動自粛を前提に動いています。航空会社ではJALがGWの国内線を6割、ANAが8.5割の減便を行います。JRは特急列車の減便を計画しており、高速道路会社はGWの休日割引をしない方針です。

 安倍首相はGW中は実際に帰省するのではなく、ビデオを使った「オンライン帰省」で済ますよう呼びかけています。実際に4月16日時点で、GWの東海道新幹線の予約数は例年の1割弱にとどまっているそうです。

  このように人の動きを抑えることで、首都圏、関西圏、福岡圏から地方への感染拡大を防ごうとしているのです。しかしそれでもGW中に感染が拡大してしまう恐れがあります。ここではコロナ対策の「3つの死角」について指摘したいと思います。 
■地方の宿泊施設ではキャンセル料が発生

 1つ目の死角はキャンセル料です。大手航空会社や大手旅行会社の多くは、GWの旅行に関しては特例的にキャンセル料を取らないという対応をしています。一方で、地方のホテルのように新型コロナで大打撃を受けている宿泊施設では、通常通りのキャンセル料を請求せざるを得ないところも多いようです。

 実は私もGWに軽井沢への旅行を予定していました。自家用車で関越自動車道を経由して現地に向かうつもりでホテルだけ押さえていたのです。予約した時点では当然のようにいいホテルはGWの割高料金で、宿泊先を探すのにそれなりに苦労もしました。

 その予約をキャンセルしたのは3月14日だったのですが、その時点でのGWの新型コロナの見通しはまだ不透明でした。ギリギリまで待って、という考え方も「あり」の時期ではありました。しかし私自身の経済予測でコロナ自粛は長期化することを織り込んでいたこともあり、かなり早めに旅行中止を決めたのです。

■旅行客7割減でも、700万人が日本列島を行き来する

 もし私がそこでキャンセルを決めていなければどうなっていたか。政府の態度は、3月中旬まで「新型コロナはまだ日本ではたいした広がりを見せていない」というものでした。思い出してください。この時点まではなんとしても7月のオリンピックを開催したかったので誰もそんなことを言い出せなかったのです。

 空気が一変したのは3月24日にオリンピックの延期が正式に決まって、その直後に感染者数が急増してからです。3月末ごろには緊急事態宣言の発令がなされるべきだという声も多かったのですが、そこで政府がなかなか決断をしなかった。結局、緊急事態宣言を発令する意向を固めたのは4月6日でしたが、その段階でGWまで30日を切っていました。キャンセル料の発生期間に入ってしまったわけです。

 そのためホテルを予約した側からすれば「多額のキャンセル料がかかるのであれば、旅行に出かけたい」という気持ちが働くようになります。国や自治体としてもキャンセルの強制や補償が難しい。おそらく例年と比べて6~7割近く旅行客は減ると思います。それでも一定規模の人数が予定通りGW中に、地方の観光地に移動することになるでしょう。

  JTBの調べによると一昨年のGWの国内旅行人数は2375万人でした。つまり旅行客が7割減ったとしても実数としては700万人以上が日本列島を行き来することになる。ここが1つ目のリスクです。


以下はリンクで>

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ドイツの市民が「コロナ対策」に、こんなに満足しているワケ>

2020年05月06日 16時30分55秒 | 国際情勢のことなど
ドイツの市民が「コロナ対策」に、こんなに満足しているワケ

>市民と同じ目線で語りかける

満足している」が72% 
 世界中を揺るがす新型コロナウイルス感染症。緊急事態を前に各国のトップは前例のない中での素早い決断を迫られている。危機的な状況下、各国が抱える様々な問題があらわになり、国や政府とそこに住む人々との関係性までもが剥き出しになっていくように思える。

【写真】新型コロナへの愚策…日本だけが「世界の常識」と違う道を走っている

 そんな中、政府に対する満足度が急上昇している国が、ドイツである。

 ドイツ公共放送連盟ARDが4月2日に実施した世論調査によれば、メルケル首相率いる連立政権に対する満足度は、2017年10月に発足した今期の政権では最高の63%となった。また、コロナ禍の危機管理に対しては、満足している、非常に満足している、という答えが72%という結果になっている。

 先月行われた同様のアンケートでは、連立政権への不満度が65%という結果だったが、逆転した形だ。

 ドイツでは新型コロナウイルスは、2月までは感染経路もはっきりしていて、あくまでも「外から来たウイルス」のイメージだった。しかし、イタリアにほど近い南ドイツでは、3月頭から連日報道されるニュースにも「もう、すぐそこまで近づいている」という焦燥感が見られるようになった。

 南ドイツ、バイエルン州の州首相、マルクス・ゼーダー氏は3月2日、連邦政府にこのウイルスの危険を警告し、景気対策を呼びかけている。学校の閉鎖、外出制限も真っ先に提案、実行した。

 しかし、ベルリンを含む北ドイツでは、感染者数が圧倒的に少なかったこともあって温度差があり、「パニックを煽るべきではない」という論調で、ドイツ全土では足並みが揃わなかった。

 ドイツで初めて新型コロナウイルスによる死者が出たのは、3月10日。感染者数も瞬く間に1500人を超え、感染者数が2日で倍増することもあった。この頃から強い危機感がドイツ全国で共有され、3月13日から大半の国立博物館・美術館や劇場は閉館、イベントは中止になった。

 食料品や日用品を売る店以外は閉店を余儀なくされ、3月16日から、学校や保育園も閉鎖、3月23日からは外出制限と接触禁止によって仕事の形態も急激に変わった。誰もが日常生活に大きな制約を強いられ、今後の経済状況への不安もあるはずだ。

  ドイツの経済対策の規模は7500億ユーロ(約90兆円)だ。国内総生産に対する割合でみると日本とあまり変わらないという。しかし、ドイツの政府への信頼、満足度は前述の通り急激な右肩上がりを見せている。その理由は、いったいどこにあるのだろうか。

市民と同じ目線で語りかけるメルケル
 
 まずドイツの政府やメディアが取り組んだのが、場所や年代などによって違いが大きい危機感を、国民で共有することだ。

 メディアは、正確なデータや詳細な情報の、視覚的にわかりやすく、かつ素早い発信に努めている。これはフェイクニュースを封じるためにも重要な取り組みだ。
ベルリンの新聞Berliner Morgenpost紙などのメディアは、インタラクティブなインフォグラフィックを次々と出しており、集中治療ベッド数の空き状況がわかる図なども公開している。

 また北ドイツ放送は、2月26日から、欧州最大級の大学病院、シャリテのウイルス学研究所所長、クリスティアン・ドロステン氏によるPodcast「コロナ・アップデート」をスタート。

 ウイルスの専門家であり、政府のアドバイザ-でもある人物(日本で言う「専門家会議」のメンバーに当たるだろうか? )が、現状を伝え、現時点でわかっているデータを元に、何を注意すべきかを語る。「前のデータを元に以前私はこう発言したが、間違った見解だった」と、アップデートすることも忘れない。視聴者からの質問にも答えてくれる。3月からドイツ中で最も人気のPodcastだ。

 アンゲラ・メルケル首相は、そういった数字や情報を伝えるだけでなく、人々の「気持ち」に訴えかけた。3月18日、メルケル首相が行ったテレビ演説だ。

 そもそも、首相は15年間に及ぶ任期の中で、新年以外に国民に向けてのスピーチを行ったことはない。テレビ演説が行われるというだけで、今回の事態の緊迫度が国民に伝わる。

 「戦争」「みえない敵」などの言葉で煽ることもなく、「Mutti(おかん)」の愛称を持つ彼女らしさを強調し、大きな信頼感を得た。

 「たくさんの人が仕事に行けず、子どもたちは学校に行けず、劇場や映画、お店も閉まっています。何よりも辛いのは、これまで当たり前だった、人との出会いがないことかもしれませんね。そんな中で誰もが、今後どうなるんだろうと、たくさんの疑問や悩みを抱えていると思います」と、まず問題を共有した。

 その上で、なぜ様々な制限をする必要があるのか、全ての人を保護して、経済的、社会的、文化的な被害を少しでも減らすために、いま必要なことは何かを説明する。

 「医療崩壊が起こってしまったら何が起こるか。これは単なる統計上の抽象的な数字(の話)ではなく、お父さんやおじいさん、お母さんやおばあさん、パートナーなど、人(の話なの)です」

 「大企業だけでなく、中小企業、レストラン、フリーランスにとってすでに厳しい状況で、来週はさらに大変になるでしょう。しかし、わたしは断言します。連邦政府は、経済的な影響を緩和するため、そしてなによりも職を維持するために、できることは全てします。私たちは、企業や働く人たちがこの大変な試練を乗り越えるために必要なものは、全てを投入できますし、またそうするでしょう」

 この言葉に続いて、「めったに感謝されない人たちにも、お礼を言わせてください」と、スーパーマーケットのレジで働く人にも心を配るのも忘れない。通りいっぺんの演説とは違う、首相の心からの言葉だと感じさせる。

 「メルケル首相は、そして連邦政府は、この国に住む全ての人を助ける!」という力強いメッセージが伝わってきた。

 メルケル首相の15年間の任期の中で、最大の人気を集めたこの演説は、具体的な経済支援対策の提案が行われる前に、あらゆる職種の人に、大きな信頼感を与えたと言えるのではないだろうか。

 前述のアンケートによれば、ドイツ全体の経済状況の悪化に対する不安は75%で、自らの経済状況への不安を感じているという人は34%。自らの職を失うのではーという不安を持つ人は18%だ。

  しかし、そんな中にあって、保健・医療機関や医師への信頼度は77%と高い。そして、実に93%が、3月23日からの「接触制限」措置を支持している。

ベルリン「即時支援金」の背景
 
 では、経済政策のほうはどうだろう。

 3月末、ベルリン州政府が行った、ドイツが国として行ったのとはまた違う新型コロナ経済対策が話題を呼んだ。日本のSNSやメディアでも、数多くのニュース(? )が飛び交ったので、覚えている方も多いかもしれない。

 ベルリンに住むフリーランスたちに、申請から2~3日で5000ユーロ(約60万円)が口座に振り込まれた、というものだ。

 ●申請から振り込みまで平均2日というその対応の早さ、●金額、●納税者番号を持っていてフリーランスで、コロナ危機によって困窮状態に陥った状況であれば誰でもという「無差別性」が注目を浴びたのだろう。

 この即時支援(Soforthilfe)には、数多くの受給者からの感謝の声が集まり、またベルリン芸術家職業組合などからも、「ベルリンの政治家が、まちの芸術家たちの窮状を理解しているということを証明した」と高く評価されている。

 筆者自身、実際に受給したこの補助金の内容や背景から、その満足度の理由を考察してみたい。

 まず、筆者が住むベルリンは、ドイツの首都でありながら、「ドイツではない」と言われることが多い街だということを理解しておいてほしい。

 連邦制をとっているドイツでは、16ある州の権限が大きく、教育制度や文化政策などについては州にも立法権がある。地方色も豊かだが、それ以上に、「ベルリンは、典型的なドイツと違う」点が多く、またそれを誇りにしている節がある。

 東西ドイツの再統一から今年で30年。まだ首都になって(返り咲いて)から日が浅い。第二次世界大戦の前から自由と芸術の街であり、東西が分断されていた時代も、反体制的でパンクな気風があった。現在もそうした雰囲気が残っている。

 現在は、政府・行政の機能はおかれているものの、ベルリンの連邦議事堂で話し合われていることが、実際に強い影響力を持ってその外で反映されているかは……微妙なところだ。市内に大企業は少なく、経済的な中心は他州、特に南側にある。

 ドイツは現在、アンゲラ・メルケル首相が属するキリスト教民主同盟(CDU)と、ドイツ社会民主党(SPD)の連立政権だが、ベルリンの州政府は2016年から、ドイツ社民党(SPD)と左翼党(LINKE)、同盟90/緑の党(Bündnis 90/DIE GRÜNEN)が率いている。

 こうした特徴を頭に入れた上で、連邦政府とベルリンの経済政策を見てみよう。

 ドイツ全体での経済対策の規模は、前述の通り7500億ユーロ(約90兆円)だ。事業者、企業向けには、融資や救済基金などが準備されており、また「操業短縮手当」(休業を余儀なくされた労働者の給与を国が助成する)の支給要件が緩和された。

 家賃や、様々な条件はあるものの電気・ガス・水道、電話やネット、所得税の前払いなどの月々の支払いも7月まで一時的に停止することもできる。

 社員5人までの零細企業や、自営業、筆者のように一人で仕事をしているようなフリーランスには、ドイツの連邦による「即時支援金」として、3ヶ月分の運転資金に使える9000ユーロ(約107万円)の申請が可能となった。これも、申請から数日で支払われる。

  この支援プログラムに対しては、ドイツは3月30日から、500億ユーロ(約5.92兆円)を確保している。

州のプログラム
 
 このドイツ連邦による「即時支援金」に加え、各州が独自の「即時支援金」のプログラムを提案、実行した。

 ベルリンでは、3月27日から、社員5人までの零細企業や、自営業、個人フリーランスに対して、5000ユーロ(約59万円)の補助金の申請がスタートした(4月12日の時点で、約14万件の申請があり、州銀行傘下のベルリン投資銀行から13億ユーロ(約1540億円)を支払い済み。現在は、資金切れのため申請はストップしている)。

 ベルリン市の市長の一人で(ベルリン市には3人の市長がいる)、文化・欧州担当官のクラウス・レーデラー氏に話を聞いたところ、ドイツ連邦(国)からの即時支援金9000ユーロ(約107万円)と、ベルリン市・州政府による即時支援金5000ユーロ(約60万円)の、最も大きな違いは、後者が生活を保つために使うことが許されている点だという。

 たとえば、州が給付する後者は家賃や買い物の支払いにも使うことができる。一方、国が給付する前者は、ビジネスマネジメントに関連したものにしか使用が認められていない。例えば、仕事場の家賃や資材経費などがこれに当たる。

  なぜ、国レベルではなく、それぞれの州が独自の支援プログラムを出す必要があったのだろうか。
     
ベルリン国立歌劇場〔PHOTO〕Gettyimages        
 


国の政策からこぼれ落ちる人を助ける
 
 「ベルリンでは、ドイツ連邦政府からの援助金がカバーしきれない分野が多いということが、まずひとつありました」とレーデラー氏は言う。

 確かに、筆者のような自宅をオフィスとして仕事をしているライターやデザイナー、翻訳家、ミュージシャンなど、固定経費が少ない仕事に従事している人にとっては、国が給付する即時支援金はあまり意味がない。しかし、仕事がキャンセルされれば補償もなく、即座に収入がゼロになるのもフリーランスの宿命だ。

 「そしてまた、連邦共和国は、州の権限が大きく、文化は州それぞれの問題という原則を持っています。ベルリンだけでなく、数多くの州が、国が対象としていないグループ――その中にアーティストも含まれますが――彼らのための様々なプログラムを行いました」

 ちなみに、日本ではアーティストへの支援が注目を浴びたが、これはドイツにおいて文化が生活の中に根付いているというだけでなく、「文化芸術」が重要な「産業」の1つであることにも由来している。博物館・美術館の数は全国で約6800。世界中で開催されているオペラ公演の約3分の1がドイツの舞台で演じられ、全国80以上のオペラ座がある。

 特に首都であり、人口約380万人を抱えるベルリンには、劇場、博物館・美術館、図書館やギャラリーなど、市内に810以上もの文化施設が存在する。それに加え、クラブなどは数ははっきりしないものの、ベルリンのクラブ委員会によると2019年は14.8億ユーロ(約1754億円)もの収益をあげており、9000人以上もの人が働いているという。

 大企業は少ないかわりにフリーランス人口の割合も、ドイツ平均の9.9%より高く、11.9%となっている。

 3月18日、個人フリーランスなどを対象に、即時支援金が決定。当初、申請の数は2万人と想定されていた。金額以外はその詳細がわからないままに、3月27日12時よりオンラインの申請がスタート。その瞬間にサーバーが落ち、再開まで1時間がかかった。申請の処理速度は遅く、初日の申請処理は約1万人弱。

 「この調子では、お金をもらうのは1ヶ月後か」「サイトの説明が不十分」などの不満も見受けられたが、翌日からは担当スタッフを増員、処理速度をアップし、サイトも更新した。そして申請受理からわずか2~3日で、指定の銀行口座に5000ユーロのお金が振り込まれたのである。

  月末ということもあって、とにかく早さを重視したとレーデラー氏はいう。詳細な審査は後回しにして、現時点では無作為審査のみだという。

ここで暮らす人」たちの目線で信頼を勝ち得る 
 州の規模も異なるので簡単に数字を比較するのは難しいが、ドイツでも3本の指に入る大きな負債を抱えるベルリンという州、街が、なぜ、どうして、このような早い決断をすることが可能だったのだろうか。

 「可能だった」のではない。「可能にした、そうしなければいけなかったのだ」とレーデラー氏は言う。

 「もちろん、最終的にどこかにツケが回ってくることはわかっています。でも、今まさにその存在自体が脅かされているような人たちがいるならば、まず、何よりも早くそうした人々を助けなければいけないでしょう。

 また事実として、ベルリンはドイツの中でも最もフリーランス、個人フリーランスの密度が高い街です。その多くが、アーティストですが、それだけでなく美容師やタクシー運転手、配管工でも同様です。資金繰りに大きな余裕がなく、即時支援金が必要となる職業グループも多い。ですから、ベルリン州政府は、非常に早く、この援助プログラムに合意しました」

 また、この「フリーランス」には、職業の限りがないところも重要な点だ。例えば、セックスワーカーが含まれていることも忘れてはいけない。

 3月16日から、性風俗施設は閉鎖されている。3月31日、ベルリン=ブランデンブルク放送のニュースでは、性的サービス職業組合のスポークスマン、ヨハンナ・ヴェーバー氏がインタビューに答え、「ほかの職業の、個人フリーランサーと全く差異なく、同じように即時支援金を申請することができた」と語った。

 また、東欧などから来て性風俗産業に従事している人たちに対しては、ドイツの連邦家族省は、この危機的状況に際し、売春保護法で制定されていた「性風俗施設での宿泊を禁止する」という一節を廃止し、そこに住むことを許可している。

 この即時支援金に関しては、今後、提出された納税者番号などの情報をもとに申請の真偽については審査を行っていく予定だというが、申請の時点では、「コロナ危機によって、存在が危機的状況にある」ことだけを、確約する必要があるだけだ。

 レーデラー氏はしかし、まだ足りないと言う。

 「日々の収入で成り立っている、小規模な民間の文化施設などは、国からの融資では助けることができません。この状況がコロナ以降も続けば、返済は困難になります。資金繰りに困っていた人が、借金を抱えるような、さらに悪い状況にしてはいけない。ここには返済不要な補助金が必要です。すべての問題に聞く解決策はありません。ですから、できるかぎりバリエーションを考えなければ」

  レーデラー氏への上記のメールインタビューは、4月8日に回答されたものだが、翌4月9日、同氏は「ベルリンは、現在存続が危ぶまれる民間の文化施設に対し、3000万ユーロ(35.5億円)の即時支援を行う」と、新しい即時支援金(Soforthilfe IV)を発表した。

全ての人を救う」 
 「ドイツはすごい、それに比べて日本は……」というような、単純な比較は意味がないと思う。

 こういった支援、対処が生まれる中には、感染の広がりや国境を接する国での惨状を見ての危機感の違い、政治制度や歴史、それぞれの産業の貢献度など、様々な背景がある。

 ベルリンの即時支援を実際に目の当たりにし、メルケル首相の演説などを聞いていると、国を、州を率いる政治家たちが、「ドイツで暮らす人たち全て」を、可能な限り救おう」という姿勢が、あらゆる形でアピールされ、それが信頼を勝ち得ている大きな要因になっているという実感がある。

  市民――あえて、国民ではなく、ドイツに暮らす全ての人という意味を込めて、メルケル首相がテレビ演説で使った言葉を選びたい――が、主権者として、政策を決める政治の仕組み、「民主主義」が、しっかりと機能している。これが、ドイツの満足度の高さの理由ではないだろうか。


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長期戦を覚悟していきましょう☆>”無敵な” 新型コロナ、夏に終息の公算小 高温多湿でも活発

2020年05月06日 15時30分06秒 | 医学と生物学の研究のこと

新型コロナ、夏に終息の公算小 高温多湿でも活発=欧州当局

ブリュッセル 25日 ロイター] - 欧州疾病予防管理センター(ECDC)は25日、新型コロナウイルス感染拡大が夏に終息する公算は小さいとの見通しを示した。研究結果によると、シンガポールのような高温多湿の熱帯地方でも、ウイルスの活動が弱まらないという。

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ECDCは、この分析が「感染者の隔離や職場でのソーシャル・ディスタンシング(社会的距離戦略)、学校閉鎖など一連の措置の重要性を浮き彫りにした」と指摘した。

さらに、迅速に対応しなければ、欧州では4月半ばまでに集中治療室の病床が不足すると警鐘を鳴らした。

また、新型コロナが空中で最長3時間生存するほか、銅に付着した場合は最長4時間、段ボールは最長1日、プラスチックやステンレスは2─3日生存するというデータも示した。




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