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黒川検事長は検察庁法改正で68歳まで検事総長をできると法務省~やはり「政権の検察支配法案

2020年05月12日 17時34分40秒 | 政治のこと
今トレンドの検察庁法改正について、きのう11日【“不要不急”の検察庁法改正が、安倍官邸と黒川氏には“必要至急”のワケ】という記事をハーバー・ビジネス・オンラインに出し、Yahoo!ニュースにも配信されました。 


この法案は「安倍官邸の、安倍官邸による、検察支配のための法案」であり、「政権の検察支配法案」と呼ぶのがふさわしい法案です。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200511-00218851-hbolz-soci


 黒川弘務氏は検察ナンバー2とされる東京高検検事長で、63歳の定年を迎える直前の今年1月、それまでの法解釈を覆す“超法規的”措置により、いわゆる定年延長(正式には勤務延長)された人物です。森友事件をはじめ政権に不都合な数々の事件を“闇”に葬ったとされ、“政権の守護神”と異名を取っています。違法性が指摘される定年延長は、黒川氏を検察トップの検事総長につけるためではないかと見られています。 
 その後、ツイッターで次のようなご質問が寄せられました。 
『法案応接団は「施行日の関係上黒川氏には無関係」と言い出していますが、まさに相澤さんの記事にもある通り、今法案を強行する理由は8月までに「再度の定年延長も不可能ではなくなる」ようにする事しか考えられないのです。この辺り、何か法案の抜け道があるのでは。相澤さんのお考え知りたいです。』 
「政権の検察支配法案」であることが問題
 そこで改めて問題を整理してみました。 
 今回の検察庁法改正案の主な内容は次の通りです。 
1)検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる。 
2)検事長、検事正などの幹部は63歳で役職を降り、平の検事に戻る。 
3)ただし内閣が必要と認めた場合、役職を続けることができる。
 
 「定年延長がなぜ問題なの?」と疑問に思う方にお伝えしたいのは、それだけであれば誰も問題にしないということです。1)と2)はもともと去年秋にこの法案が検討された段階で入っていました。それが今年になって急に3)が加わったのです。 
 これによってこの法案は、内閣の判断で、政権に都合の良い人物を検察幹部に残すことができるようにする仕組みに性格が変わりました。つまり、リンカーンの有名な演説「人民の、人民による、人民のための政治」になぞって言えば、この法案は「安倍官邸の、安倍官邸による、検察支配のための法案」であり、「政権の検察支配法案」と呼ぶのがふさわしい法案です。 

 従って、不偏不党が求められる検察の独立性が侵されることになり、民主主義の理念にてらしてダメですよとなります。これは黒川氏の定年延長に関わりなく言えることです。 

検察庁法改正案は黒川氏と無関係ではない
 では黒川氏との関係でいくとどうなるでしょう? 
 まず施行日の問題です。検察庁法改正法案は国家公務員法など複数の改正案の一部であり、附則で施行日は令和4年(2022年)4月1日と定めています。しかし但書に「必要な施行期日を定めるものとすること」とあります。これは検察庁法の施行日を早めて、黒川氏の退職前に間に合わせることを可能にする裏ワザかもしれません。 

 もう1点は施行日に関係なく、この改正案が検事長らのいわゆる定年延長を正面から認めているから、施行前でも延長正当化の根拠になりうる。つまり1月に行われた超法規的定年延長の再現がありえます。 
 いずれにせよ黒川氏の定年再延長に道を開くもので、「黒川氏には無関係」という主張はあたらないでしょう。 
 野党側はこの2点について、政府に「施行日を前倒しするのではないか?」「黒川氏の定年再延長をするつもりはあるのか?」と質問し、言質を取っておいた方がよいと思います。 
黒川氏は検察庁法改正で68歳まで検事総長を務めることができる、と法務省
 これについて検察庁法を所管する法務省はどういう見解でしょうか? 
 野党共同会派の小西洋之参議院議員が法務省刑事局に見解を尋ねました。「黒川氏が」と固有名詞をあげて聞くと答えないため、一般論として「今年2月に63歳の定年を迎える検事長がいた場合(黒川氏のこと)、今の法制度と改正される新たな検察庁法の規定により、検事総長を続けることができるのは何歳までか?」と尋ねました。回答は「68歳まで続けられる」というものでした。 

 まず大前提として、今の制度は検事の定年は63歳。検事総長だけが65歳で、定年延長の規定はありません。しかし今年1月に政府は、一般の国家公務員は定年を最大3年延長できるという規定を検察官にも適用するという、これまでにない“超法規的”解釈変更を行って黒川氏の退職を半年先の8月に延ばしました。 

 この解釈変更が通用するなら、今の法制度のもとでも8月に再び定年延長し、最大で3年、2022年2月に65歳になるまで定年を延ばせます。それまでに検事総長になっていれば、そこからさらに定年延長ができます。そして2022年4月に改正検察庁法が施行されれば、その規定に基づき検事総長の定年は内閣の判断で68歳まで延長できるため、めでたく68歳までの“長期政権”を維持できる。そして“官邸の守護神”としての役目を存分に果たすことができるというわけです。 

「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートが500万件超
 政権のため事件を握り潰してきたとささやかれる“官邸の守護神”を最強の捜査機関トップに据える。そんなことを正当化する法案が、コロナ問題の真っ只中に、最優先で審議されようとしています。 

 そのことを「さすがにヤバイ」と感じた、これまであまり政治的発言をしてこなかった著名人が、続々と声を上げています。 
 例えば俳優の井浦新さんは、妻が自民党の山本有二衆議院議員の娘ですが、こんな投稿を。 

「もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい。#検察庁法改正案に抗議します」 
https://twitter.com/el_arata_nest/status/1259235523056431105
 そしてキョンキョンこと小泉今日子さんは、9日から10日にかけて7連投し、大きな話題となりました。 

「もう一度言っておきます!#検察庁法改正案に抗議します」 
「1.000.000 超えました。この目に焼き付けました。おやすみなさい #検察庁法改正案に抗議します」 

https://twitter.com/asatte2015/status/1259181644356829185
 しかし、こうしたツイートに対し「勉強不足だ」「政治的発言をするな」という投稿で圧力をかける人たちが大勢います。 

 歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんも「#検察庁法改正案に抗議します」と投稿していましたが、コメント欄で激論が繰り広げられて削除してしまいました。 

https://twitter.com/pamyurin/status/1259647790604447746
 それでも「#検察庁法改正案に抗議します」というツイートは500万件を超え、反対の意思表示が急速に広がっています。 

 しかし安倍官邸にとっては「必要至急」の法案ですから、与党側は抗議の広がりにおかまいなく、あす13日に衆議院内閣委員会で1日だけの審議で採決を行い、14日には衆議院本会議で可決させる構えだとみられています。 

ツイッターだけでは動かない 有権者の声が政治家を動かす
 これに対し、直接国会議員に抗議の声を届けることで流れを変えようという動きが出ています。 

 選挙で選ばれる国会議員は、地元選挙区の有権者の動向に敏感です。そのもとに「#検察庁法改正案に抗議します」というメッセージが有権者から大量に届くだけでも効き目があります。まして「賛成するなら次の選挙で対立候補に投票します」などと書かれていたら、平静ではいられないでしょう。 
 弁護士有志が呼びかけているのは「国会議員いちらんリスト」(下記にリンク)というサイトを使って内閣委員会や地元選出の議員を探し、メールや電話、ファックスなど、どんな手段でもいいので、できる方法で国会議員に直接意見を届けましょう、という方法です。 

https://democracy.minibird.jp/
 また「国会議員を探すのが難しい」という方には、もっと簡単な方法があります。与党、自民党・公明党のウェブサイトから意見を届けることです。党のウェブサイトに市民のご意見を受け付けるページがあります。 

自民党 https://www.jimin.jp/voice/
公明党 https://www.komei.or.jp/etc/contact/
「#検察庁法改正案に抗議します」をさらに継続
 この問題については、あす13日(水)発売の週刊文春でも、公文書改ざんで命を絶った赤木俊夫さんと妻、雅子さんのお話にからめて記事にします。 
 その上で、15日(金)20時からユーチューブで配信する「メディア酔談」で、高校新聞部仲間でメディアコンサルタントの境治と一緒に、このテーマについてきっちりお話ししたいと考えています。 
【相澤冬樹&境治 メディア酔談「検察庁法改正の問題に迫る! #赤木さんを忘れない」】 
https://www.youtube.com/watch?v=yqwOCFiQLC0
#検察庁法改正案に抗議します 
#赤木さんを忘れない 


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絶望…安倍晋三のコロナ経済対策は「大大失敗」に終わる

2020年05月12日 17時15分09秒 | 政治のこと
絶望…安倍晋三のコロナ経済対策は「大大失敗」に終わる

日本を未曽有の大不況に突き落とす原因は一体何であろうか。もちろん、新型コロナウイルスの存在が問題であることは言うまでもない。しかし、政府の対応自体が輪をかけて経済的な問題を引き起こしている。


矢継ぎ早に経済対策を打ち出す、米トランプ大統領

 新型コロナウイルスに関連した経済対策として、ドナルド・トランプ米大統領と米連邦議会による「第4弾」の財政支出の調整がつき、米国政府は巨額の経済対策を矢継ぎ早に打ち出してきた。米国政府は3月6日の第1弾、3月18日の第2弾、3月末に成立した第3弾・約220兆円の追加予算に加えて、第4弾の主な内容は中小企業の給与肩代わりをメインとした予算を組み上げた。これらの追加予算には企業存続・雇用維持に全力を注ぎ、米国の産業競争力を保ってV字回復を狙う、というトランプ政権の強い意志が色濃く反映されている。第1弾から第4弾の合計予算額は約300兆円に迫る超大型の補正予算群となっており、金額面からもその本気度を推し量ることが可能だ。

【この記事の画像を見る】

 トランプ大統領は公約である200兆円の巨額のインフラ投資予算を上記の第4弾に盛り込もうとしていたフシもあり、今後第5弾の財政支出を検討する段階では巨額のインフラ投資が組み込まれてくる可能性がある。また、11月の大統領選挙の結果として、仮に民主党大統領・連邦議会が誕生したとしても、このインフラ投資政策に対する政権の意欲は変わらないことが予測される。そのため、インフラ投資による巨額支出は、米国政府内ですでに立案されており、遅かれ早かれ公表されることになると看做すことが妥当だ。 
■日本の経済対策は「Too little, Too Late, Too Fake」

 米国が巨額の追加予算を次々と組み続ける理由は、間もなく未曽有の経済不況が各国経済を直撃することを理解していることにある。IMFが4月15日に発表した「World Economic Outlook」によると、2020年の世界経済はマイナス3%と急激に縮小することが予測されており、米国のGDP見通しはマイナス5.9%の大幅減という数字となっている。失業者数も歴史上の最大に達することが予想されるため、今このタイミングで適切な経済対策を断行しなければ、米国の経済・社会が大混乱に陥ることは想像に難くない。同レポートでは来年には各国ともにV字回復が予想されているものの、それも年内で新型コロナウイルス問題が収束し、金融機関のシステミックリスクなどが起きず、その産業競争力が維持されている、という希望的観測を前提としたものに過ぎない。したがって、トランプ政権と米連邦議会が尋常ならざる覚悟を持って経済対策に臨んでいることは必然的なことだ。

 一方、米国と比べて日本の経済対策は「Too little, Too Late(少なすぎる、遅すぎる)」の典型と言ってもいいだろう。さらに「Too Fake(偽物すぎる)」を付け加えたほうがより適切かもしれない。

■与党内の事前調整すらままならない政権運営のグダグダぶり

 米国は国内でパンデミックが発生している大混乱の中、連日のようにホワイトハウス・共和党・民主党が必死になって予算折衝を実施し、前述のような補正予算を次々と組み上げてきた。日本は米国のようなパンデミックによる混乱状態に陥っていないにもかかわらず、4月末になって第1次補正予算がようやく組み上がりそうというありさまだ。IMFのレポートによると、2020年の日本のGDP見通しもマイナス5.2%となっており、安倍政権の危機感のなさはあまりに異常すぎる。その上、閣議決定された補正予算が公明党からの一喝で組み直しになるなど、与党内の事前調整すらままならない政権運営のグダグダぶりは尋常ではない。

  新型コロナウイルスの感染拡大に伴う補正予算の事業規模は約117兆1000億円とされている。政府はこの事業規模の数字を強調して説明するが、一般会計からの歳出(真水)は26兆円前後だと推量される。当初の補正予算案で16兆円前後とされていた真水の金額に比べれば一律給付金の追加分が上乗せされたことで若干増額したものの、第2四半期でマイナス25%(前年比)とされる日本経済を下支えする経済対策としていかにも心もとない。安倍政権は日本経済に襲い掛かる経済危機の波を正確に認識できていないのではないかとさえ心配になる。

■政府の対応が輪をかけて経済的な問題を引き起こす

 また、修正された補正予算では国民の大半の人が受給できない30万円給付金は削除されることになり、全員が一律10万円の給付を受けられる形となった。これ自体は評価したいところであるが、米国ではすでに国民一人頭12万円の給付金が既に4月12日から配布され始めている。日本では早くても給付金の受け取りは5月中とされているのに比べ、日米では給付金を人々の元に支給するスピードも雲泥の差だ。経済対策は必要な時期を逸すれば途端に有効性が落ちてしまうものだ。日本政府の政策は、一事が万事、少なすぎる、遅すぎる、偽物すぎる、を地で行く状況となってしまっている。

 では、日本を未曽有の大不況に突き落とす原因は一体何であろうか。もちろん、新型コロナウイルスの存在が問題であることは言うまでもない。しかし、政府の対応自体が輪をかけて経済的な問題を引き起こしている。

 日本の緊急事態宣言は、欧米のような強制力を持った都市封鎖を行うものではなく、国民に自粛を求める仕様となっている。しかし、それでもメディアによる私刑と組み合わさった政府の「要請」は、事実上の強制力を持っていることは自明のことだ。たとえば、大手企業であれば自らのブランドイメージを保つため、政府に率先して協力せざるをえないことは大人なら誰でもわかる。

■無能ぶりを世間に晒し続けている安倍晋三

 一方、資金繰りに余裕がない中小の店舗では営業を継続するところもあるかもしれないが、こちらは政府に大義名分を与えられた“正義マン”による事実上の摘発活動が盛んになっている。たとえば、4月20日まで大阪府ではコールセンターに、特措法の休業要請の対象となっている店が営業しているという通報が500件以上寄せられており、テレビメディアも自粛に必ずしも十分に応じていない商店街や行楽地などを槍玉にあげる報道を継続している。このような動きによって自治体が「要請」に従わない施設の名称を公表し、SNSなどでの私刑を実質的に推奨する結果を招きかねない状況も生まれている。

  東京都などが独自の補償措置に動き始める中、安倍政権は補正予算の一部を地方自治体が補償に使用することを渋々認めた。しかし、家賃の補填については、いまだに政府案を作るのか、与党案を作るかさえも定まらず、その無能ぶりを世間に晒し続けている。危機に際して民間に責任をほぼ丸投げにするなら、政府に支払う税金など溝に捨てるのと同義だ。

今のままでは民間企業の負荷があまりに重すぎる

 本来、政府が実施するべきことは、民間企業が営業活動を再開・継続していくためのガイドラインを示し、可能な限り平時の環境に近い状況を維持することだ。現在の環境下で個々の民間企業が世間の批判にさらされることを覚悟し、その営業活動を再開・継続する負荷はあまりにも大きすぎる。したがって、政府が身体を張ってその責任を引き受けることは当たり前のことだと言えるだろう。



 安倍政権はいつ終わるとも知れない戦いに国民を巻き込んでいる。仮に緊急事態宣言が成功裏に解除されたとしても、「はい、今から通常通りの営業活動に戻ってください」と言ったところで、失われた産業や雇用が簡単に元通りになるはずがない。

 米国ではすでにトランプ政権がロックダウンを継続する州知事に対し、ロックダウンの解除を要請し、社会機能を復帰させるための経済人の会議を招集し、その復帰プロセスについてのガイドラインを示している。政府としての能力だけでなく、その意思決定の責任を取るという覚悟の差は著しい。

■安倍晋三が日本経済のためにやるべきこと

 したがって、筆者はすでに安倍政権の新型コロナウイルス問題に対する経済対策について、危機意識、能力、覚悟の全ての面で期待することを半ば諦めている。しかし、安倍政権には日本経済のためにやるべきことがまだ1つだけ残っている。

 それは同政権が5%から10%まで2回の増税を通じて引き上げてきた消費税率を元通りに戻すことだ。この際、百歩譲って新型コロナウイルスは予期することができなかったアクシデントで対応ができなかったとしても良い。ただし、消費税増税によって昨年10~12月期に記録したマイナス7%超のGDPマイナス(前年比)は、安倍政権自体の経済運営の失政そのものだ。新型コロナウイルス問題で曖昧になっている感もあるが、消費税増税が日本経済に与えた影響は大きく、確実にその回復に向けた動きの足枷となるだろう。

 安倍政権の新型コロナウイルスに関する経済対策への期待は既になくなった。ただし、最低限のこととして、消費税減税を実現することで自らの政権が日本経済に与えたダメージの尻ぬぐいをしてから政権を退陣するべきだろう。



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渡瀬 裕哉(わたせ・ゆうや)
早稲田大学招聘研究員
国内外のヘッジファンド・金融機関に対するトランプ政権分析のアドバイザー。米国共和党保守派やトランプ政権と深い関係を有する。



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コロナで自宅待機の80代男性が死亡 入院待ち207人、保健所「病院見つからない」遺族「放置されたも同然だ」

2020年05月12日 16時00分20秒 | 医療のこと
コロナで自宅待機の80代男性が死亡 入院待ち207人、保健所「病院見つからない」遺族「放置されたも同然だ」


新型コロナウイルスに感染した埼玉県内の80代男性が4月中旬、病院に入れずに自宅待機となっている間に急変し、搬送された病院で死亡した。男性の遺族は早期の入院を望んだものの、埼玉県では当時、感染者約200人が入院待ちの状態で、保健所から「重症者から入院させる。順番がある」と説明されていた。遺族は「しゃべれないほど重い状態だった。放置されたも同然だ」と県の対応を批判している。  

遺族によると、男性は80代の妻と2人暮らしで、4月上旬から発熱やせきなどの症状があり、近所の病院を受診。処方された解熱剤を飲むなどして自宅療養していた。同13日に症状が悪化して同県所沢市の病院に救急搬送された。しかし、入院の必要はないと判断され、PCR検査(遺伝子検査)を受けて帰宅した。  

男性は15日に狭山保健所(同県狭山市)から電話で陽性を告げられた。妻は「頼むから早く入院させてほしい」と依頼したが、保健所からは「重症者を優先して入院させている」などと返された。夜に再び保健所から「病院は見つからなかった」と連絡があったという。  

男性は16日に自宅で呼吸困難となり、再び所沢市の病院に救急搬送された。だが、重篤な状態だったためその日のうちにより高度な治療ができる県内の別の病院に運ばれた。集中治療室で人工呼吸器を付けたが27日に死亡した。妻も男性の入院後に感染が判明し、現在は別の病院に入院している。  

厚生労働省は高齢の感染者は原則入院との指針を示している。埼玉県は男性の陽性が確認された4月15日時点では「感染者は全員入院させる」と決めていた。しかし、当時、入院先が調整できない自宅待機者が207人おり、順番待ちの状態だった。保健所はその間、電話問診で症状を把握し、必要があれば医療機関につなぐ態勢をとっていた。  

男性の長男(55)は「状態を目で見ず『電話で』というシステムは無責任。症状が軽くみられたのではと思う」と憤る。男性の孫(24)も「最初の救急搬送の翌日に祖父に電話したが、せきがひどくて話もできない状態で、食事も取れていなかった。保健所の判断には疑問がある。もっと対応が早ければ違ったのでは」と不信感を口にする。  

埼玉県の大野元裕知事は今月1日に男性の死亡の経緯を報道陣から質問され、「陽性が判明したのは夕方で、夜に再び連絡した際は男性が就寝中だったため、翌朝に調整することになった。調整は適切だったと思う」と述べた。狭山保健所は個別の感染者については答えられないとした上で、「通常はまず医師が入院の必要性を判断している。現在は自宅待機の解消に向けて病院やホテルに入れるよう調整している」とコメントした。【椋田佳代、島田信幸】  


◇男性が亡くなるまでの経過 

4月上旬 発熱などの症状が出る 

13日 症状が悪化して救急搬送されるが、入院の必要はないと判断され帰宅 15日 陽性が判明。入院を求めた家族に対し、保健所は「重症者を優先して入院させている」と回答。入院はできず 
16日 呼吸困難となり救急搬送される。重い状態で高度な治療ができる病院に入院

 27日 集中治療室で死亡
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野党が定年延長で修正案 「検事総長3年」削除求める 「政府案では忖度発生>内閣の裁量で延ばしたり延ばさなかったりが許されれば

2020年05月12日 08時51分14秒 | 政治のこと
野党が定年延長で修正案 「検事総長3年」削除求める 「政府案では忖度発生

立憲民主党などの野党は11日、検事総長や検事長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案を含む国家公務員法改正案に関し、「政権による恣意(しい)的な検察人事が可能になる」として、修正案を出す方針を決めた。全検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる規定は残すが、検事総長の定年を特例的に68歳まで3年間延長できるようになる部分などの削除を求める内容。12日の衆院内閣委員会の理事懇談会で示す。

【動画で解説】検事長定年延長、問題ないの?

 政府の改正案は、検察官の定年を一律65歳に引き上げる。そのうえで国家公務員法で3年以内の定年延長を1年ずつ認める規定を検察庁法にあてはめ、「内閣が定める事由があると認めるとき」は、検事総長や一般の検事の定年を段階的に68歳まで延長できる。施行は2022年4月とする。

 検察トップの検事総長が1年ごとに内閣の判断で「1年を超えない」期間の定年延長が認められることになる。これに関し、国民民主党の玉木雄一郎代表は11日、「時の内閣の裁量で(定年を)延ばしたり延ばさなかったりが許されれば、延長できる検察官とできない検察官が生まれる。忖度(そんたく)が発生して検察の中立性、独立性が大きく毀損(きそん)される」と記者団に語った。

 与野党は11日に国会内で国対委員長会談を開き、野党側が検察官への特例的な3年間の定年延長部分の削除を要求したが、与党は応じなかった。立憲の安住淳国対委員長は記者団の取材に対し「(与党が採決を強行した場合は)徹底的に戦う。採決をさせない。『3密』と批判されるかもしれないが、物理的抵抗はしたい」と明言した。

 一方、安倍晋三首相は11日の衆参の予算委員会で「検察官も一般職の国家公務員」だとして、国家公務員法の定年延長規定が検察官にも適用されるとした今年1月の解釈変更の正当性を強調。「改正案の目的は、高齢期の職員の豊富な知識、経験を最大限に活用する点などにある。恣意的な人事が行われるとの懸念は全くあたらない」と繰り返し答弁した。与党は13日の内閣委で採決し、14日の衆院本会議でも可決して参院に送付し、会期内の法案成立を図る。

 森雅子法相も3月23日の参院予算委員会で「一般の検事と検事総長は理論的には68歳まで(定年延長が)可能だ」と認めている。質問した社民党の福島瑞穂党首は「内閣が言えば1年おきに定年延長できる。自分の職業生活の最後がどうなるか、天国か地獄かが内閣に委ねられる」と問題点を指摘していた。

 野党は、政府が今年1月に黒川弘務東京高検検事長(63)の定年延長を閣議決定した問題と重ね、この裁量を法制化するものだとして問題視していた。【宮原健太、飼手勇介】

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潰す」「干される」検察庁法改正反対の著名人への中傷続々

2020年05月12日 08時34分04秒 | 政治のこと
国会で審議されている検察庁法改正案への反対運動の勢いが増している。内閣の判断で、本来なら定年を迎えるはずだった検察幹部の任期を延長することができる本法案。判断基準が曖昧なことから検察の独立性を揺るがしかねないとして、野党からは批判の声が相次いでいる。

5月9日にはTwitter上で「#検察庁法改正案に抗議します」というタグが生まれ、たちまち拡散。タレント、漫画家、ミュージシャンなど様々な著名人にも広がりを見せ、同タグは500万件以上(5月11日15時時点)も呟かれる事態に。

俳優の城田優(34)は《大事なことは、ちゃんと国民に説明してから、順序に則って時間をかけて決めませんか? そんなに急ぐ必要があるんですかね》と違和感を綴った。ハマカーンの神田伸一郎(43)、くるりの岸田繁(44)、声優の緒方恵美(54)、漫画家の羽海野チカなど多くの著名人が反対の声をあげていた。

こうした著名人の意見表明に《声を上げてくれてありがとうございます》《尊敬します》といった称賛の声が上がるいっぽうで、批判する声も寄せられている。

《もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい》と投稿した俳優の井浦新(45)には《悪いことは言いません 干されますよ。 もうここまで広がったんで取り消しようはありませんが》《本当に法律をよく読んで言ってか?》と、批判の声が。複数回にわたって同タグを投稿した小泉今日子(54)にも《鬱陶しいわ 歌も上手くないんだから黙ってれば良いのに》と、中傷する声も見られた。

さらに、同タグを投稿した『映像研には手を出すな!』で知られる漫画家の大童澄瞳(27)に対して《次は「映像研には手を出すな!」の大童を潰す!》と脅迫めいた投稿をする者も。この投稿に対して大童は《ワシ今名指しで「潰す」って言われておりますが、これって脅迫ですかね》と綴っていた。

なお同法案は、昨年秋に内閣法制局で審査されていた時のものに条文が追加されている。昨年秋時点の内容は「検察官の定年を65歳に引き上げ、次長検事及び検事長は、63歳に達した翌日に検事になる」というシンプルなもの。しかし今年2月末に改正された内容では前述した「検察幹部の定年延長を内閣が決めることができる」といった条文が追加されている。コロナ禍によって日本中が不安な日々を送っている真っ最中に、政権にメリットのある条文が追加されているのだ。

そんな状況に声をあげた著名人たちへ心ない声を浴びせることは、議論の芽を摘む行為ではないだろうか?


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