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二階vs.安倍 五輪中止を巡る「最後の暗闘」

2021年06月28日 11時45分24秒 | 政治のこと
「急転直下、五輪を中止したとしても、二階さんと菅さんに、実はなんのダメージもない。  それどころか、『やっと国民の安心・安全を最優先にしたか』と、支持率が大幅にアップする可能性がある。 

『安倍案件』という語句が示す通り、五輪が中止になったり、党内紛争が激化したりして困るのは安倍さんのほう。 


幹事長をクビにしてやる




写真:現代ビジネス
 6月のある日のこと。自民党幹事長・二階俊博は、日本料理店での食事に同席した配下の議員にボソリとこう呟いた。 

 「俺はケンカも天ぷらも大好きなんだ。どういう揚げ方をしても変わらない。違うのは(天ぷらのほうが)衣を被っていることくらいだな」 

 謎かけのような、二階のこの呟きを伝え聞いた他の議員らの間には、ざわざわと動揺が走った。  (二階さんはやはり「やる気」なのか)  

自民党幹部の一人がこう解釈する。

  「二階は最近、『俺はケンカをしている』と話している。相手は安倍(晋三前総理)と、その一派だ。  

安倍の盟友・甘利(明・党税制調査会長)が、二階が発足させた『自由で開かれたインド太平洋』構想の実現を推進する議員連盟に、『(親中派とされる)二階で大丈夫なのか』とケチをつけた。 

 発言は、『安倍と手下がそう来るなら、ケンカを買って、天ぷらのように喰らってやる』という、二階流の宣戦布告だ」 

 議員たちは、息を呑んで見つめている。二階俊博と安倍晋三という、近年の政界を牛耳ってきた「二強」が、ついに手切れの時を迎えたからだ。 


 「二階を幹事長の座から引きずり下ろす」  

まず動いたのは安倍だ。その尖兵となっているのが、甘利である。 

 「安倍は健康状態が良くなってきた昨年末くらいから、キングメーカー扱いをされるようになって本人もご機嫌だった。 

 しかし、安倍が真のキングメーカーとして君臨するためには、党務と選挙を完全に掌握している二階を排除しなければならない。 

 そこで、二階のクビを獲って盟友・甘利にすげ替えるための布石を次々に打っている」(自民党ベテラン議員)  

4月12日、「最新型原子力リプレース推進議員連盟」が発足。顧問には安倍と甘利。  
5月21日、「半導体戦略推進議員連盟」発足、会長は甘利。  
6月8日、「日豪国会議員連盟」発足、安倍、麻生太郎副総理兼財務相が最高顧問で、甘利が顧問。  
6月11日、「新たな資本主義を創る議員連盟」、会長は岸田文雄、安倍・麻生・甘利が最高顧問―。  

「こうした議連はすべて、安倍が二階から幹事長ポストを奪い去り、甘利に与えるためのもの。同時に、9月の自民党総裁選を見据えた多数派工作でもある。 

 安倍・麻生・甘利の『3A』のもとに、毎度100人単位の議員が集まって気勢を上げる。『主導権はこちらが握っている』と、強烈にアピールできる」(同)

  安倍にとって二階は政権を支えてくれた恩人ではあるが、今では存在自体が害悪でしかない。 

 とは言え、あの大角栄を超えるまでに力を肥大させた二階は、正面から激突するにはあまりに難物ではある。 

そこで安倍は、「甘利推し」と同時に、二階の足元の切り崩しを始めた。それが、「菅義偉総理の籠絡」である。



「俺は負けたことがない」


photo by Getty images
 安倍は6月14日のラジオ番組で、菅について、「立派に政権を引き継いでいただいた」などと言って持ち上げた。 

 6月3日には英国でのG7サミットを控えた菅が安倍の事務所を訪れ、今年2度目の直接会談を行った。 

 「表向き、外交に疎い菅が安倍に助言を求めたことになっているが、実際には安倍のほうが、『二階と自分と、どちらに付いたほうが有利になるか』を菅に吹き込んでいる。  

安倍(細田派)と盟友の麻生派、さらに乱発している議員連盟に参集した面々を数えれば、安倍の後ろには軽く150人以上の自民党議員が控えているように見える。

 安倍は菅に対して、『長期政権を目指すなら最低100人以上の派閥を母体にする必要がある』などと言って二階からの離反を唆している」(自民党閣僚経験者)  ただでさえ菅は、政権運営に四苦八苦だ。

  NHKが6月14日に公表した世論調査では、菅政権を「支持する」37%に対し、「支持しない」が45%。 

 不支持の割合は政権発足以来の最高に達しており、このままでは9月の総裁選での再選は覚束ない。 

菅にしてみれば、二階の後ろ盾で政権を運営してきたものの、それが行き詰まった以上、別のパトロンは喉から手が出るほど欲しいところだ。 

 安倍はそれにつけ込んで甘言を囁き、「二階を切ってこちらに来い」と、菅を誘引しているのである。  

さしもの大幹事長・二階も、菅に裏切られて安倍・麻生・甘利らの連合軍に寝返られては、ひとたまりもないはず―。 

 ただ、それでも二階は冒頭のごとく嘯く。「ケンカが大好きだ」と。



自民党中堅議員が、こう話す。  

「『俺は高校時代の選挙以来、一度も負けたことがない』。二階さんはそう言い放っています。高校(和歌山県立日高高校)の生徒会長選挙に立候補して以来、選挙は常に勝ち続けてきたのだと。 

 最近は、『国士が5人集まれば何でもできる! 』と、かつて旧保守新党の議員らを集め、『新しい波』(二階グループ)を結成した時('03年)に使っていたフレーズを、よく口にしている。 

 たとえ再び少数勢力に落ちようとも、最後まで徹底的に戦い抜くという宣言でしょう」 

 安倍との「ケンカ」に臨むにあたり、二階は二階らしい、二階にしか打てないような手を打った。



五輪は中止でいい

photo by Getty images

 議連を次々に起ち上げて勢力を誇示する安倍を見て、二階は前出の「自由で開かれたインド太平洋」推進議連を創立。それだけではない。なんとその最高顧問に安倍本人を迎えたのである。

  「台湾にアストラゼネカ製のワクチンを送るなどして反中国の姿勢を明確にし、中国寄りの二階との政治的な差別化を図ったのに、その二階が反中国路線を打ち出した。

  そのため混乱が少なからず起き、それが甘利の『二階で大丈夫か』という感情的な発言に繋がっている。

  当然、そうなることを二階は読んでいて、黒幕の安倍を崩しにかかった。  二階は安倍の元に、側近の林幹雄幹事長代理に和歌山名物の紀州梅を持たせて送り込み、『ぜひ最高顧問に』と頭を下げた。 

 中国の海洋進出に対抗する構想は、もともと安倍自身が総理の時にぶち上げたものなので、安倍は立場上、断れない。全面対決のはずが、気勢を削がれてしまった」(前出・自民党閣僚経験者) 

 ケンカを吹っかけるためまずは思い切りぶん殴ってみたところ、相手は満面の笑みでこちらの頬を撫でに来た……。相手から見れば、二階の行動は不気味極まりない。  

そして、安倍という誘蛾灯に引き寄せられる蛾のようにフラフラとした行動を取る菅に対し、フォローも怠っていない。  

「菅総理がメディアなどの目を避け、赤坂の議員宿舎内に側近らを集めて『裏官邸』を構築していることが取り沙汰されていますが、実は二階さんも、宿舎内で菅さんと会談を重ねています。  

そして同時に、菅さんに対して、『俺を切るつもりならそれなりの覚悟はあるんだろうな』と、釘を刺してもいる。その材料の一つが、東京五輪です」(前出・中堅議員)  

コロナ禍の中、「なぜやるのか?」という声が、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長からも上がる中、菅が五輪を強行しようとする理由として、安倍の存在がある。 

 周知の通り、五輪が昨年、中止でも2年延期でもなく、1年延期と決まったのは、それを自身のレガシー(政治的遺産)としたい安倍の強い意向があったからだ。

  菅はその意思を尊重して五輪を成し遂げることで政権を維持延長しようとしている。だから国民の約半数が五輪開催に疑問を持っていても、強行する姿勢を崩さない。 

 だがそんな菅に対し、「こだわる必要はない。状況次第で五輪を中止したってかまわない」と、耳元で囁くのが二階だ。 



 「最近、永田町では『安倍案件』という言葉が流布されている。

  五輪はもちろん、河井克行・案里夫妻の1億5000万円問題や、先日発覚した東芝と経産省の結託による『モノ言う株主への圧力』など、菅政権で続出する問題のほとんどは、安倍政権による負の遺産に他ならない。  

ただ最近まで、皆わかっていても『安倍さんのせいだ』とは言い出せなかった。それを言えるようになったのは、二階さんが口火を切ったからです」(ある派閥の幹部)  河井夫妻の資金問題では、選挙の際に安倍の秘書らが頻繁に夫妻の地元・広島入りし、強力にバックアップしていたことが指摘されている。 

 二階はこの問題に対し、「総裁と幹事長に責任はある」と言い放ち、自民党議員としては初めて、「本当は安倍が悪い」と事実上、公言して見せた。

  「そんなことを平然と言えるのは、二階さんだけ。これで他の者も『あれは安倍案件』と言いやすくなった。 

 何より菅総理の気が楽になったようで、最近は自分でも、『それは安倍案件だから』と言って開き直るようになっている」(前出・派閥幹部) 

 多数派工作という数による「理」で菅を取り込もうとする安倍に対し、二階は「苦しんでいるのは誰のせいか」という「情」で揺さぶりをかける。 

 馬鹿正直に五輪を強行し、安倍にこれ以上、忠誠を誓う必要はない。エリートの安倍にとって、菅など使い捨ての雑草に過ぎない。  


二階は囁く。「叩き上げ」の菅よ、それでいいのか―。




二階の「最強カード」

photo by Getty images


 現政権の政務三役の一人は、こう話す。 

 「急転直下、五輪を中止したとしても、二階さんと菅さんに、実はなんのダメージもない。  それどころか、『やっと国民の安心・安全を最優先にしたか』と、支持率が大幅にアップする可能性がある。 

 『安倍案件』という語句が示す通り、五輪が中止になったり、党内紛争が激化したりして困るのは安倍さんのほう。 

 菅さんに接近しているのは、懐柔しておかないと自分の醜聞が、総理の一存で蒸し返されるからです」  

安倍は各議連の会合に出た際、自身の健康不安を払拭するためか、「あと少し治療を施せば、青天白日の身になる」などと繰り返しているという。  

それを聞いた、別の自民党ベテラン議員はこう苦笑する。

  「『青天白日』の使い方が間違っている。それは健康不安ではなく、自身の疑惑が晴れた際に使う言葉だ。 

 穿った見方をすれば、『潔白だ』と無意識に連呼しなければならないほど、『安倍案件』が気になっているんだろう」 

 果たしてこの大暗闘は、どんな結末を迎えるのか。

  「幹事長を甘利、総裁候補に岸田、加藤勝信官房長官に茂木敏充外相らを取り揃えて力を誇示する安倍に対し、二階の切り札は、河野太郎だ。 

 河野はモノをはっきり言いすぎる性格が災いして、最近は菅との関係が悪化している。安倍や麻生も、コントロール不能で何をしでかすかわからない河野について、総理総裁候補としてはNGを出している。 

 そんな河野を担ぎ出せるのは、実は二階しかいない。

  引き続き菅を支える姿勢を見せつつ、二階の真の狙いは『河野カード』を手元に手繰り寄せ、逆転の一手とすることだ」(前出・閣僚経験者) 

 決戦の夏、緊張の夏。その熱さで燃え尽き、消滅するのはどちらなのか。(文中敬称略)  

『週刊現代』2021年6月26日号より




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「小室圭さん問題」>必要なことは眞子内親王殿下に、小室氏との結婚を諦めて頂くこと

2021年06月28日 09時00分51秒 | 皇室のこと
 「小室圭さん問題」、多くの人が気づいていない「深刻すぎる意外な盲点」


今、必要なことは眞子内親王殿下に、小室氏との結婚を諦めて頂くこと。それが、できないなら、秋篠宮殿下が親として、「結婚は認めない」とハッキリ仰ることです。  

眞子内親王殿下が小室氏との結婚を断念することは、皇室が「生きていくために必要な選択」ではないでしょうか。

小室氏の説明など必要ない

〔PHOTO〕Gettyimages

 小室圭氏は公の場できちんと会見を開き、説明をすべきとの声がありますが、とんでもないことです。会見など必要ありません。小室氏が発言をすればするほど、皇室の威厳に傷が付くだけです


「小室圭さん問題」を完全にスッキリ終わらせるたった一つの解決方法

  今、必要なことは眞子内親王殿下に、小室氏との結婚を諦めて頂くこと。それが、できないなら、秋篠宮殿下が親として、「結婚は認めない」とハッキリ仰ることです。  

小室氏はアメリカのフォーダム大学ロースクールを5月に卒業したとのことで、いつ帰国するのかということに注目が集まっていますが、どうでもよいことです。いつ帰国しても彼の勝手ですが、これ以上、公に発言しないで頂きたいものです。 

 宮内庁も、小室氏に滅多なことを言わせないよう、事前の危機管理に充分配慮すべきです。宮内庁はこれまでも、まったく危機管理がなっておらず、その怠慢さの故に、皇室の威厳が著しく傷付けられました。 

 4月に、小室氏は28枚にわたる膨大な文書を発表し、そこには、一方的に自分たち親子を正当化する内容が書かれていました。文書発表は小室氏にとって、最後のチャンスだったかもしれませんが、そのチャンスを自ら、あのような形でぶち壊して、世間の反感を買ったのです。  

もうこれ以上、説明は必要ありませんし、眞子内親王殿下のことを思う気持ちが少しでもあるならば、自ら身を引くべきでしょう。

  小室氏は皇室に、これほど迷惑をかけたのだから、天皇陛下に謝罪すべきだとする見解がありますが、馬鹿げた話です。そこらの巷の大将に、詫びを入れるのとは訳が違います。どのような形であれ、小室氏のような人間が陛下に関わるようなことなどあってはならないことです。 

 そして、眞子内親王殿下は皇室のことに、もっと思いを馳せて頂かねばなりません。上皇陛下や天皇陛下は長い歳月をかけて、国民との信頼を築き上げて来られました。たった一人の行動が皇室全体の信頼を損ね、危機に陥れます。

  眞子内親王殿下は小室氏との結婚を「生きていくために必要な選択」と述べられました。その悲痛なお気持ちはわかりますが、皇室にお生まれになり、その歴史と血統を背負っていくことは避けることのできない運命です。眞子内親王殿下が小室氏との結婚を断念することは、皇室が「生きていくために必要な選択」ではないでしょうか。

  時間が経過すればするほど、皇室が被る傷が深くなるばかりです。眞子内親王殿下や秋篠宮殿下の一刻も早い決断にかかっています。

以下はリンクで


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新型コロナ、最大の敵は肥満 本人のみならず他者へのリスク要因になる恐ろしい研究結果

2021年06月28日 09時00分40秒 | 社会のことなど


今後のグローバル経済の回復を主導するのは、アジアではなく欧米になるだろう」  このような見方を示すのは3月2日付ウォールストリートジャーナルである。 



 中国、タイ、豪州などのアジアの国々は、国境を遮断するなどの強硬な対応を行うことにより新型コロナウイルス感染の勢いを抑え、経済に深刻な打撃を受けることなく、国民はほぼ正常な生活を送っている。

しかし、初期対応に成功したことで、欧米諸国がワクチン接種によりパンデミック以前の生活へと回復したときに、アジアの国々でのワクチン接種が欧米に比べて遅れ、引き続き封鎖措置を維持しなければならない状況が起きるのではないかというわけである。

  英誌エコノミストも2月下旬「欧米諸国におけるワクチン接種による集団免疫は早ければ今年中盤からできるが、日本や中国などのアジア先進国での集団免疫は来年末になる」との予測を示していた。 

 非常に有効性が高いワクチンが開発されたことで楽観論が足元で広がりつつあるが、南アフリカ型やブラジル型などの新型コロナウイルスの変異種の出現が「水を差す」という展開になりつつある(3月3日付ロイター)。変異種に対応できるワクチン開発も始まっているが、このウイルスがどれだけ急速に変異していくのかはわからない。

新型コロナウイルスは、一度ワクチンを接種すれば根絶できる「はしか」のようなものではなく、毎年世界で何百万人もが感染するインフルエンザのようなものになるとの認識が強まっている。  


世界保健機関(WHO)は3月1日「ワクチン接種が開始され、新型コロナウイルスの危険性を減らしていくことはできるだろうが、年内の終息を考えるのはあまりにも非現実的な期待だ」との見解を明らかにした。新型コロナウイルスは今後数年間、特に冬季に大きな被害をもたらすとの懸念が生じている最中に興味深い論文が公表された。

  世界肥満学会は3月3日、「米ジョンズ・ホプキンス大学やWHOのデータ(160カ国以上)を分析したところ、肥満者が成人の半数以上を占める国は、そうでない国と比較して、新型コロナウイルスによる死亡率が10倍高く、世界の新型コロナウイルス死者約250万人のうち、9割近い220万人が肥満者の多い国々に集中していることがわかった」ことを明らかにした。

肥満者が40%未満の国はすべて、新型コロナウイルスによる人口10万人当たりの死者が10人以下にとどまっている一方、肥満者が50%を上回る国の死者は人口10万人当たり100人を超えていた。世界で最も死者数が多い米国における肥満者は人口の4分の3近くを占めている(米疾病対策センター(CDC))。 

 世界肥満学会の報告を受けて、肥満の割合が世界で6番目に高い(26・9%)英国では、政府が約150億円規模の肥満対策を打ち出した。 

 肥満が新型コロナ感染症のリスクファクターであることは広く知られているが、そのメカニズムが徐々に解明されてきている。  


肥満者は糖尿病を患っている割合が高いが、ロシアの研究者は今年2月、糖尿病患者の死亡率の高さの原因を解明する論文を発表した。それによれば、赤血球(へモグロビン)は通常4つの酸素と結合しているが、糖尿病患者のヘモグロビンはグルコースと結合することが多く、多くの酸素を体内の各細胞に供給できないことから、新型コロナウイルスに感染すると低酸素症に陥りやすいという。 

前述の世界肥満学会は「肥満者は優先的にワクチン接種を受けるべきである」と主張しているが、イタリアの研究によれば「肥満者はファイザー社製のワクチン接種後の抗体反応が弱い」ことが判明した。優先接種を受けたとしても肥満者の死亡リスクは高止まりするのである。 

 肥満という属性は自らだけではなく、他者へのリスク要因にもなる。米ハーバード大学等が2月中旬に公表した研究結果によれば、「多くに感染を広げる『スーパー・スプレッダー』は小さな呼吸器飛沫を大量に吐き出す性質を持っており、肥満者、特に高齢の肥満者にその傾向が強い」としている。「高齢」は「肥満」とともに新型コロナ感染症のリスクファクターだが、感染拡大の原因にもなっているのである。 

 ドイツ・ハンブルク大学病院付属の法医学研究所の新型コロナ関連死亡者の解剖結果によれば、「元気だったのに、コロナのせいで亡くなった人は、一人もいなかった」という(3月5日付現代ビジネスオンライン)。死亡者の平均年齢は83歳である。 

 これらの事実からわかることは、肥満者と高齢者が多い先進国で新型コロナ感染症の被害が大きいということである

  一方、発展途上国では不思議な現象が生じている。新型コロナウイルス感染者が世界で2番目に多いインドでは今年2月に入り、1日当たりの感染者数がピークを付けた昨年9月に比べて約90%も減少している(2月15日付ブルームバーグ)。生活はほぼ平常に戻っているのにもかかわらず、新型コロナウイルス用の病床は落ち着いており、「若者が多い人口構成などが幸いして、インドはワクチン接種なしで集団免疫を獲得した」と推測する専門家もいる。昨年4月頃から「若い年齢層の比重が高い発展途上国では集団免疫が獲得しやすい」との説が出ていたが、インドはこれを証明したのかもしれない。 

 ワクチンを始め医療資源が乏しいことから、発展途上国の新型コロナウイルスによる被害は甚大となるとの懸念は杞憂に終わり、医療技術の水準が高い先進国で新型コロナウイルスの脅威は当分の間続くという展開になりそうである。コロナ後の世界経済についての不透明感が高まっていると言わざるを得ない。 

藤和彦 経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。 デイリー新潮取材班編集 2021年3月17日 掲載


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五輪成功後に国政復帰狙う小池百合子都知事 菅首相と「悪魔の同盟」へ

2021年06月28日 08時30分22秒 | 政治のこと

五輪成功後に国政復帰狙う小池百合子都知事 菅首相と「悪魔の同盟」へ


 小池百合子・東京都知事が過労で緊急入院したことに、政界では揣摩憶測が飛び交っている。折しも、入院した6月22日は東京都議選(定数127。7月4日投開票)の告示日直前、東京五輪開会式の1か月前と政治的に重要なタイミング。しかも、都議選では小池氏の率いる都民ファーストの会が大苦戦している。 

【写真】観客席は誰もおらず、閑散とした国立競技場


 本誌・週刊ポストが入手した自民党東京都連の情勢調査では、前回都議選で大勝(55議席)した都民ファは13議席へと「42議席減」の大惨敗、逆に、前回大敗した自民党は23議席から51議席に躍進し、公明党(16議席予測)と合わせて自公で過半数を超えると予測している。 



 小池氏にとって自公に過半数を握られれば都議会運営が困難になり、4年間苦汁をなめてきた都議会自民党が五輪後に小池叩きの動きを強めるのは間違いない。  


自民党二階派幹部は、知事公務復帰後の小池氏の動きをこう見る。 

「小池が悪あがきしても都議選の劣勢は簡単に覆せそうにないし、都民ファの候補を応援すればするほど都議会自民党の恨みを買う。  

転んでもただでは起きない小池は、この際、体調がすぐれないことを理由に都議選から距離を置き、都民ファ惨敗のダメージを最小限にするつもりではないか。五輪が終われば小池は都知事の地位に未練はない。都政で苦労するより、五輪成功の実績を手に国政復帰を窺っている」

  驚くのは、小池氏の国政復帰の橋渡しをするのが、“犬猿の間柄”とされてきた菅義偉・首相その人だと見られていることだ。


 菅首相は第2次安倍政権の官房長官時代、野心家の小池氏を警戒して重要ポストから干し上げ、2人の関係は極度に悪化した。  


だが、小池氏はその菅氏が首相に就任した直後の昨年9月に官邸に出向いて“手打ち”の会談を行ない、その後も昨年12月と今年5月に官邸で会談、小池氏が入院する直前の6月19日には初めてプライベートな空間である「首相公邸」で約1時間にわたって五輪の運営について話し合った。 


「総理の小池に対する評価が変わったのは最近です。パフォーマンス好きの小池が国民の五輪批判に便乗して“五輪中止をぶち上げるんじゃないか”という心配があったが、小池は軽挙妄動せずに総理の開催方針についてきた。

いまや2人は五輪では運命共同体。警戒心の強い総理は小池を決して信用はしていないが、利用できるカードと考えている」(菅側近)


 菅―小池の関係が「政敵」から「運命共同体」に変質したという指摘だ。

  国政転出を窺う小池氏に都合がいいことに、次の総選挙では東京に自民党の空白区ができた。公選法違反で議員辞職した菅側近の菅原一秀・元経産相の東京9区だ。小池氏の衆院議員時代の選挙区(東京10区)の隣で、地盤も重なる。 

 菅原氏は「3年間の公民権停止」処分が確定して次の総選挙に出馬できないため、公認権を持つ菅総裁と、小池氏と関係が良い二階俊博・幹事長のOKさえあれば自民党公認で出馬できる状況だ。


安倍や麻生より小池頼み


 では、一方の菅首相にとって小池氏を利用する目的は何か。

  かつて自民党幹事長だった野中広務氏は、小渕政権の危機に臨んで「悪魔にひれ伏してでも」と政敵だった当時の小沢一郎・自由党党首との連立に踏み込み、自自連立で政権を安定させた。 

 菅首相にも、政敵の小池氏と同盟を組まざるを得ない事情がある。首相の生存戦略は、五輪をなんとしても成功させ、9月の自民党総裁選を実施せずに「無投票再選」に持ち込むことだ。

  自民党では目下、総裁選をにらんで安倍晋三・前首相、麻生太郎・副総理、甘利明・党税調会長の3Aトリオと二階幹事長が、それぞれ次々に議員連盟を立ちあげて議員を囲い込み、勢力拡張に火花を散らしている。

 「昨年の総裁選では二階氏の支援で総理の座についた菅首相は、今回は数の力に勝る3Aに接近することで無投票再選に持ち込みたい。だが、3Aの狙いは政権運営の主導権を二階氏から奪うことにあり、菅政権を支えるつもりはない。 

 陣営に有力な総理・総裁候補がいないからやむを得ず菅首相を傀儡にして一時的に“無投票再選させてやる”と菅首相に甘くささやいているだけだ」(麻生派議員)


 一方の菅首相もそれを重々承知している。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。

 「3Aはコロナの感染がさらに拡大したり、総選挙に負ければ容赦なく菅首相に全責任を押し付けて退陣させるでしょう。 

 菅首相は3Aに依存することの危険性をわかっているから、良くも悪くも知名度の高い小池氏を陣営に取り込みたい。“オレを引きずり下ろすなら、子分の河野太郎・行革相、小泉進次郎・環境相を小池と組ませて対抗するぞ”と小池カードで3Aを牽制して政権の延命を図ることを考えている」  

小池都知事は菅首相が望む「五輪強行開催」と引きかえに都民ファーストを切り捨てて国政復帰し、菅首相はその小池氏を利用して政権延命を図る。国民の安全安心を犠牲にして互いの「政治生命」を保つワクチンを打ち合う―まさに“悪魔の同盟”のシナリオではないか。 

 退院後の小池氏の動きに要注意である。 ※週刊ポスト2021年7月9日号

https://news.yahoo.co.jp/articles/68334812589a3169607eb2cb953993fa02fb8726
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日本企業はなぜ没落したのか。“チマチマ病”という悪弊/アマゾン元幹部に聞く

2021年06月28日 06時00分16秒 | お金のこと
日本企業はなぜ没落したのか。“チマチマ病”という悪弊/アマゾン元幹部に聞く

 日本企業はなぜこんなに凋落してしまったのだろうか?  世界時価総額ランキングTOP20のうち、平成元年(1989年)には日本企業が14社も入っていたのに、令和元年(2019年)はなんと0社だ。  

現在の時価総額TOP20を占めるのはGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの米国IT企業や、アリババなどの中国IT企業である。

  これらの企業と日本企業を分けたものは一体、何なのか? アマゾンジャパン元経営会議メンバーで、『amazonの絶対思考』の著者である星健一さんに、話を聞いた。 

決めない、挑戦しない、チマチマ病の正体
――星さんは2008年にアマゾンに入社され、10年間、アマゾンの急拡大を“中”で体感されたわけですが、やはり、日本企業と外資系企業は違いますか? 星健一氏(以下、星):日本企業と外資系企業、どちらが正しいというものではありませんし、私がお話できるのは、あくまで「アマゾン」との比較ですが、経営・経営層、人材のマネジメント、ビジネスモデルという部分で、やはり違いを感じます。 まず経営・経営層でいうと、求められるもの自体が違うのではないでしょうか。 

――経営に求められるものとは? 星:日本企業の場合、一部のオーナー社長を除けば、内部昇進したサラリーマン社長が多いですよね。60歳代に就任し、任期はだいたい数年。一般社員よりは高給ですが、高いインセンティブがあるわけではない。限られた年数の中で「失敗しない経営」を貫き、任期を勤め上げようとする方が多いように感じます。 

――アマゾンは違うのでしょうか? 星:これについては外資系全般と言っていかもしれませんが、外資企業のトップに求められるのは「挑戦」です。日本企業ではたとえば「営業利益前年度数%増」といった目標が掲げられますが、伸張している外資では「前年比数十%増」のような高いターゲットが設定されます。それにチャレンジすることが経営者の仕事。だからこそ、成功報酬も含めたリターンとして高額なインセンティブがあるわけです。 

『TIME』の表紙に何度もなっているジェフ・ベゾス氏。画像は2013年12月、ドローン配送の構想を発表した頃


――でも、挑戦して大失敗したら、それこそ大ごとでは? 星:アマゾンなんて、ジェフ・ベゾスが創業した1995年から数年間、毎年何百億円もの赤字を出し続けていました。それでも莫大な資金を調達し、9年後にはやっと黒字化して、その後、目標だった「売り上げ1000億ドル(約11兆円)」も2015年に実現し、さらに、そのわずか3年後の2018年には20兆円を超えたんです。 

これは経営だけでなく投資スタイルも関係しています。日本は投資額が海外に比べたら小さいし、すぐにリターンを求められてしまう。大きな仕事ができず、短期の戦略にならざるを得ない。 しかし、海外では大きなチャレンジによって投資家を呼び込むことができるし、投資家も結果を待てる。 ――規模感がぜんぜん違いますね。 星:ひとことで言えば、日本は企業も投資家も「チマチマ病」に陥ってしまっているように感じます。 ――「チマチマ病」……感覚としてよくわかります……。



4/13/2020


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