今度こそ、自民党を「ぶっ壊さなけれ」ば日本が「ぶっ壊れる!?」 米民主党の偏向イデオロギーに屈するようでは
大原 浩 によるストーリー • 4 時間前小泉純一郎は日本に何をしたか?
2001年4月に「自民党をぶっ壊す」という掛け声とともに発足した小泉純一郎内閣は、結局のところ2001年4月26日から 2006年9月26日までの5年5か月にわたる長期政権となった。
もちろん、この長期政権の間には色々な出来事があったが、自民党が「劣化」することはあっても、(世間が期待する「構造改革」=「改革・革命」という良い意味で)、自民党はぶっ壊れなかったと言えるであろう。
その小泉氏が首相就任前から声高に叫んでいたのが「郵政民営化」である。そして政権が終盤に差し掛かった8月8日の衆議院解散は「郵政解散」と呼ばれた。
小泉氏が「改革の本丸」として強力に推し進めていた郵政民営化関連法案が2005年8月8日、参議院本会議で否決されたため、それまで公言していた通り、衆議院を解散したのだ。法案が通過しないからと言って(さらには解散に反対する閣僚を罷免して)解散を行うことは、前代未聞であり、憲法違反に当たるとして、宇都宮市議が衆議院解散の無効確認を求める訴訟を起こしたほどである。
自民党は造反した議員を公認しなかった(逆に「刺客」候補を立てた)が、大方の予想を裏切り、296議席を獲得する大勝をおさめた(公明党の31議席とあわせて与党で衆議院議員定数の3分の2以上の327議席を獲得)。
その結果、郵政民営化法案は衆議院で10月11日に賛成338票、反対138票で可決、参議院でも10月14日に賛成134票、反対100票で可決され、法案は成立した。
要するに、「小泉氏の『ごり押し』」が勝利を勝ち取ったわけだ。この勝利には、衆議院選挙で小泉氏の「郵政民営化路線」を支持した国民も大きく貢献した。
だが、郵政民営化を強行したのには、小泉氏の政治的信念とは異なった、「米国の圧力」があったことは、「公然の事実」とされる。
それは、参議院第162回国会(常会)質問主意書「質問第三七号郵政民営化政策推進についてのアメリカ政府の要請に関する質問主意書」を見ればよくわかる。
そして、その後18年経過してどうなったであろうか? 3月25日公開「高市早苗が踏んだ虎の尾、いじめの震源・総務省自身の腐敗度はいかほどか」4ページ目「郵政事業はNHKになりつつある」および5ページ目「中途半端な民営化が癌」の通りだ。
かんぽ問題、M&Aによる多額の損失、土曜配達休止などの郵政事業の「劣化」はその後の運営の稚拙さによるところも大きいが、そもそも郵政事業を民営化することは「国民のため」であったのだろうか。「米国の国益」のためであったとは言えないだろうか。
実のところ、今回大きな騒動となりながら6月16日に成立したLGBT法案も同様の構図である。産経新聞5月18日「エマニュエル米駐日大使、LGBT法案巡り自公の『修正案』に『賛辞』」のような露骨な「圧力」がかけられたのは、郵政法案以上に大きな問題だ。
だが、問題はLGBT法案だけではない。安倍氏が首相を退任し、さらには<第2回・特別版>安倍元首相暗殺事件と迫りくるインフレ、年金・保険破綻で述べたように、卑劣な暗殺犯に命を奪われて以降、「日本は米国(特に民主党)にものが言えなくなり、言いなり状態」のようにも思える。
安倍氏の業績は素晴らしかった
2005年の「郵政法案ごり押し可決」の後、2009年に(日本の)民主党政権が誕生した。
自民党は良い意味では「ぶっ壊れなかった」。しかし、大いに劣化したこと、2008年のリーマンショックによる経済低迷、さらにはオールドメディアの「民主党推しのプロパガンダ」によって、自民党が政権政党の座から引きずり降ろされたと言える。
その後、2012年までの政治は「悪夢」と呼ばれるほどであり、国民はひどい目にあった。
だが、この民主党の「自爆」ともいえる稚拙な政権運営に助けられて、2012年に政権を奪還した自民党の議員たちは多くのことを学んだはずである。
そして同年末に誕生したのが第2次安倍内閣である。私自身は「アベノミクス」という政策そのものが優れているとは全く思わない。しかし、悪夢の民主党政権時代にどん底に陥った日本の経済を、「結果的に」復活させたことは誰にも異論が無いところであろう。また外交においても、世界各国の信頼を勝ち取り、他国が振り回されたトランプ大統領との蜜月時代を築いた。
2020年9月11日公開「十分ありうる『安倍首相大復活の日』これから何が起こるのか」冒頭ページの「安倍首相への感謝」を改めて述べたい。
だが、2020年に襲ってきたパンデミックへの対策を始めとする激務によって再び体調を崩し、8月28日に「難病治療に専念」するため退任した。そして2022年7月8日に卑劣な暗殺犯の凶弾に倒れた。
安倍元首相暗殺事件からまだ1年、首相を退任してからでも3年未満であるのに、その後の自民党を中心とする政治の劣化は目を覆いたいほどである。特に、バイデン民主党政権誕生以来、その言いなりになっている姿はあまりにも見苦しい。
もっとも、戦後史を振り返っても、米国にまともに「もの申せた首相」は、田中角栄氏と安倍晋三氏くらいしか見当たらない。だが、安倍氏退任後、特に岸田政権の米国(民主党)への弱腰ぶりは、歴代政権の中でも群を抜いている。
脱炭素は米民主党の重要なイデオロギー
まずは、菅義偉首相の2021年1月18日に始まった通常国会での施政方針演説である。「新車全て電動車の実現は2035年に…菅首相がより明確に提示」と報道された。
この時期はちょうど、疑惑まみれの2020年大統領選挙の結果、ジョー・バイデン氏が1月20日に第46代米国大統領に就任した時期と重なる。
大統領選挙に関する疑惑が沸騰している中で、早々と祝意を表明した菅政権が、バイデン大統領の就任祝いとして朝貢(贈呈)したようにも思える。
脱炭素は、5月14日公開「民主主義社会を破壊するESGの『不都合な真実』、脱炭素エネルギー危機の責任はだれがとるというのか?」で述べた通り、民主党が推進するESG(投資)の中の重要なイデオロギーである。
防衛費増額も
もちろん、「<第1回・特別版>大乱の八つのテーマと対処法」の4番目「地政学リスク」が高まる中での防衛費増額は、日本にとって必要である。
だが、日本経済新聞・昨年11月28日「岸田首相『防衛費GDP2%、27年度に」 財源は年内決着」のように、財源も明確にしないまま「慌てふためくように」強行したのは、米国(民主党)の圧力によるものと考えられる。
2月13日公開「米軍『米中は2025年に戦争する』発言は、実は『アメリカの都合』か? 選挙と半導体包囲網、2つの背景」のように、実は米国が「望んでいる!?」と思われる台湾有事に備えた戦力増強の要請ということだ。
しかも、現在の防衛予算の使い道を考えれば、(日本の防衛費増額によって)米国の軍需産業が潤うのは明らかである。
日韓関係への介入も
さらに、3月20日公開「尹錫悦韓国大統領来日で『日韓雪解け』? まず韓国が日本に謝罪すべきだろう」、同「韓国と米民主党には油断は禁物、GSOMIAがどうなったか忘れるな」で述べた、節操のない「日韓雪解け」も、米国民主党の圧力によるものだと考えられる。
なし崩し的に、「戦略的放置」という正しい対応を放棄させられたのは、やはり「(米国の都合による)台湾有事」の際の戦力確保という側面が大きい。台湾有事になれば、38度線でも動きがあることが予想される。
事実、民主党(バイデン政権)はGSOMIAに関する韓国の「横暴」に甘く、彼らを取り込みたがっている。だが「全く信頼がおけない」韓国は日本の同盟国としては足手まといだ。
さらに、韓国が「日本のセイダー、謝れ!」と連呼し続けることは米国民主党にも都合が良い。日本を悪者にすれば、過去民主党のフランクリン・ルーズベルト大統領が、非白人である日系人だけ財産を没収した上強制収容所に送り込んだ悪事の「言い訳」になる。
もちろん、日本版ゲルニカである(東京大)空襲などの幼児や子供を含んだ大量殺戮や、人体実験としか言いようが無い原爆投下を民主党のトルーマン大統領が行ったことなどの「悪行」も5月25日公開「ジャニー喜多川性加害、20年米大統領選、ノルドストリーム爆破、セレンスキー汚職……報道しない自由という社会的もみ消しの被害者たち」のような「社会的もみ消し」が容易になる。
LGBT法案は序章にしか過ぎない
6月16日に異例の形で成立した前述のLGBT法案は、第2の郵政法案なのであろうか?
エマニュエル駐日大使の発言などを考えれば、明らかに米民主党・ESG投資の圧力である。
前記、「民主主義社会を破壊するESGの『不都合な真実』、脱炭素エネルギー危機の責任はだれがとるというのか?」で述べたようにLGBTQは、民主党が推進するESG投資の目玉の一つだ。
また、6月17日公開「マイナンバーカードは新たな『税金』徴収に都合が良い、これが政府がこだわる理由」のように、マイナンバー(カード)は、さらなる税金徴収を目的としているが、国民を厳しい監視下に置くことも目的としている。要するに共産主義中国の「社会信用システム」と同じ役割を果たすのだ。
米国では、すでにマイナンバーに相当する社会保障番号という「社会信用システム」が普及している。9.11テロの後「テロ対策」を名目に、事実上一般市民に対しての自由な盗聴が可能になるなど国民が厳しい監視下に置かれているのだ。
近年民主党が力を蓄えたのも、この「国民監視システム」を上手に活用しているという側面が大きいと考える。
日本に対しても、このような監視システムの導入を、米民主党が望んでいるのであろう。LGBT法案の「ごり押し」はその第1歩にしか過ぎない。
自民党をぶっ壊すべきか?
米国では共和党と民主党という二大政党制度が一応機能している。しかし、日本では自民党の中に、「政権政党に所属したい」という願望を持つ「多種多様」な人々が存在する。
だから、米国の共和党と自民党は全く異なる。言ってみれば、自民党は結局のところ「(米国の)共和党と民主党の寄り合い所帯」という性格を持つ。要するに、寄らば大樹で目先の利益で動く議員が多数を占めるということだ。
少なくとも、米民主党の圧力に屈するというよりも「迎合」しているとさえ言える現在の自民党を見る限り、そのようにしか思えない。
つまり、自民党を支持する人々は米国の共和党的政策を望んでいるのに、実のところ自民党内でセットになっている米民主党の政策を心ならずも支持することになるのだ。
したがって、両者を明確に区別するためには自民党をぶっ壊す必要があると言える。
もちろん、自民党がぶっ壊れれば、前述の「悪夢の民主党時代」が再来する可能性もある。
だが、2024年11月5日に行われる予定の大統領選挙まで1年半を切った。バイデン民主党政権がいつまでも続くと考えるべきではない。6月10日公開「いい人が立派な政治家であるわけではない、今は戦国時代、紳士は無用の長物」冒頭「『小物』が米国の政治を仕切っている」で述べたように、「バイデン氏は再選すべきではない」と米国民の7割が考えているのだ。
トランプ氏やデサンティス氏などの共和党候補が勝利すれば、米国の政策は「反転」といってよいほど様変わりする。
2024年の米大統領選挙の結果は日本にも大きな影響を与える。民主党と組むのか、共和党と組むのかは、重要な分岐点になる。
今のように、バイデン民主党政権のいいなりになっている岸田自民党政権が続くくらいであれば、大きなりスクを背負っても「自民党をぶっ壊す」方が、日本にとって好ましいと思う。
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EV苦戦
中古市場が映す
電気自動車(EV)の中古車が市場に出回り始めた。売買情報サイトのデータを分析すると、EVはガソリン車やハイブリッド車(HV)より走行距離が短く、新車に比べた値下がり幅も大きいことがわかった。充電設備の少ない不便さなどから早めに手放す傾向が見られ、中古車市場がEVの苦戦を映している。