クセ強の「天然パーマ」は人類の脳を進化させるために必要だった可能性 - ナゾロジー (nazology.net)
2023.06.09 FRIDAY
2023/06/12(月) 21:26:06.
クセ強の「天然パーマ」は人類の脳を進化させるために必要だった可能性
「天然パーマ」は、人類の進化を支えた立役者だったかもしれません。
私たち人間は他の霊長類とは違って、頭部に集中的に毛髪を生やしている点でユニークです。
中でも人類発祥の地であるアフリカでは、今日でも「クセの強い縮れ毛」が一般的な髪質となっています。
そこで米ペンシルベニア州立大学(Penn State)の研究チームは、頭髪の進化的な利点を明らかにすべく、髪質ごとの熱防御性を調査。
その結果、クセの強い縮れ毛は最も頭部を涼しく保ち、水分の蒸発を抑える効果があると実証されました。
目次
- 天然パーマは太陽熱から頭を守るのに最も優れた髪質
- 脳の進化に「天然パーマ」が必要だった?
天然パーマは太陽熱から頭を守るのに最も優れた髪質
研究主任で人類学者のニーナ・ヤブロンスキー(Nina Jablonski)氏は、本研究のきっかけについてこう話しています。
「初期の人類は一年中、太陽が頭上にある赤道直下のアフリカで進化してきました。
その環境下で直立二足歩行をするようになった人類は、頭部に一定レベルの強い太陽熱を受けるようになります。
そこで頭髪の進化が人類の体温調節にどんな役割を果たしたかを知りたいと考えました」
今回の実験では、サーマルマネキン(人体の温熱特性と発汗作用を再現できるヒト型装置)と毛髪のウィッグを使い、さまざまな髪質が頭部への太陽熱にどう反応するかを調べています。
まず、マネキンを人間の皮膚の平均的な表面温度に近い35℃を一定に保つようプログラムし、温度と湿度が管理された室内にセットしました。
次に、スキンヘッド・ストレートヘア(直毛)・緩やかなカールヘア・クセの強いカールヘアの4つの条件で、マネキンの頭に熱ランプを当てて太陽光線を模擬的に照射します。
4つの条件で熱ランプを頭部に照射 / Credit: Tina Lasisi et al., PNAS(2023)
チームは、マネキンの体温を一定に保つために必要な電力量をモニタリングすることで、頭部や体の熱損失量を測定しました。
それから発汗を模倣するために頭皮を濡らして、水分の蒸発による熱損失量がどう変わるかもシミュレーションしています。
その結果、スキンヘッド以外のすべての頭髪で頭皮への日射量の減少が見られましたが、中でも「クセの強いカールヘア」が太陽熱から頭部を最も保護し、頭皮を涼しく保つ効果が高いことが示されました。
その次に効果が高かったのが「緩やかなカールヘア」で、次が「ストレートヘア」です。
さらに発汗シミュレーションにおいても、クセの強いカールヘアは涼しさを保つために汗をかく必要性を最小限に抑え、過剰な水分の損失を防いでいます。
一方で、ストレートヘアはカールヘアに比べて、頭皮への日射量の流入が多いため、涼しさを保つために発汗による蒸発量も増えていました。
実際のマネキン。左がクセ強のカールヘアで、右がストレートヘア / Credit: PennState – Life before air conditioning: Curly hair kept early humans cool(2023)
以上の結果から、クセの強いカールヘアは頭部を太陽熱から守る上で最も優れた髪質であることが証明されました。
その理由について研究者らは、きつく巻かれた縮れ毛が髪をかさ増しすることで、頭髪のトップから頭皮までの距離を広げ、太陽熱が頭皮に届きにくくなるのだと考えています。
(以下略、続きはソースでご確認ください)
ナゾロジー 2023.06.09