買い手がつかない空き家も「100均」で…100円で実家を売却、買い手はカフェ開業計画
10/6(木) 10:35配信
放置された空き家が全国で問題となるなか、長野県中野市は、買い手がつかない空き家を「100均」と銘打ち、売り手と買い手のマッチングサイト「空き家ゲートウェイ」で紹介している。老朽化などにより倒壊の恐れがある空き家を減らす試みとして期待されている。 【写真】100円で売られた民家、草木は茂るが見た目はきれい
同市中野の農業、湯本正博さん(74)は今年1月、市内にある実家を100円で売却した。1960年代に建てられたとみられる2階建ての一軒家で、10年以上空き家となっていた。
10・8・2022
空き家の売買や賃貸を支援する市の「空き家バンク」に登録しようとしたが、敷地に接する道路が狭く、重機が出入りできず断られていた。建物の荒廃が心配だが、取り壊しには150万円ほどかかる。更地にしても草木が生い茂り野生動物がすみつくのではないかと悩んでいた。
市の都市計画課と相談し、2021年6月に「空き家ゲートウェイ」に登録した。内覧に訪れた10組のうち4組から購入希望が寄せられ、川崎市の会社員の男性(56)を売却先に選んだ。湯本さんは「ゆくゆくは壊すしかないと思っていたが、空き家も捨てたものじゃない」という。
空き家の扱いに悩んでいた当時を振り返る湯本さん
一軒家は高社山の麓に位置し、善光寺平が見渡せる。修繕費や水道など生活基盤の整備費はかかるが、購入した男性は「景色が素晴らしく、建物も昭和の趣があり貴重です」と話す。来年4月にカフェを開業する予定という。
「空き家ゲートウェイ」は「あきやカンパニー」(東京都豊島区)と「YADOKARI」(横浜市)が共同運営する。「100均」を掲げ、100円か100万円で売買する。これまで掲載した84物件のうち半分が売却されたという。YADOKARIの川口直人さん(26)は「金額がつかず市場に上がらない空き家が多い。解体費用がかかる物件を売買できれば所有者のメリットだ」と強調する。
中野市は14年に「空き家バンク」を開設したが、老朽化などで扱えない物件もあった。放置すると、倒壊などの恐れがある「特定空き家」になりかねず、市は「空き家ゲートウェイ」を共同運営する2社や県宅地建物取引業協会長野支部と21年3月に協定を締結。同年5月に特設サイトを開いた。「空き家ゲートウェイ」が自治体と手を組むのは福島県国見町に次ぎ2例目。
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