香南市の山北地区にある、泰山窯の前に常設展示してある作品。バックの古い壁と屋根の前で、ひと際目立っていました。聞けば風雨にさらされて行くと、どう言う風に風化するか、実験していると言う事でした。地元の土で作品を作って行きたいと、夢を語ってくれた御主人は、定年退職されてもうだいぶ経っている、大先輩でした。60~70代になっても、夢を語れる人がいるのは、勇気ずけられます。山北の土は、収縮率が高く難しいのだけれども、顔料を塗らなくても水漏れしない物が作れて、土その物の色や、風合いが出て面白い作品になるそうです。まだ試作段階で、後3~4年は、作品とするには掛かるそうですが、いきいきと語ってくれました。楽しみです。私も負けてはいられません。新しいチャレンジをして行き、丸太の可能性を探って行きます。
四国中央市のs邸、段々作業も進んで来ました。週末施主さんが、栗の丸太を柱にするために、自分で削っている所を写真に撮りました。栗の木は腐りにくく、昔線路の枕木や、土台に良く使われていました。山に切り倒されて、周りが腐り、残った中心部分を、今回デッキの柱に使おうと思い、施主さんの、思い出になるように、柱の美装をして見ませんかと提案しました。斧や、鉈、チョウナ、ドローナイフ、電動反りガンナ色々試して、今回は電動工具を使わずに、手作業で、斧とドローナイフで仕上る事となりました。最初は少し息が上がり、手作業でやる事に少し後悔した素振りでしたが、集中してくると、リズム感が出て来て楽しそうに、体が動いていました。「明日は絶対筋肉痛やな」と笑いながら、楽しそうに言ってくれました。家の家主が、建築に係わる事は、大切な事だとアイビーログ工房は、思っています。家は、建って終わりではなく、始まりなのです。作業に係わる事により、愛着が持て、大切にする気持ちが出来ると思います。長く住める家は、愛着の持てる家でなくてはいけないと、確信しています。汗を流して作業する事は、思い出として、家のある限り残ります。きっと、壊せない、壊したくない家となるでしょう。その事は、とても大切な事だと思うのです。Sさん、頑張って仕上て下さいね。
梼原町の新庁舎は、負ける建築で有名な、隈さん設計のモダンな建物です。隈さんと梼原町は、案外古くから付き合いがあり、梼原座と言う芝居小屋を見て、ありふれた粗末な素材で、大空間を作っているのをヒントに、雲の上のホテルを設計。今の隈さんの原点になっているそうです。夢の丸太小屋に暮らす等の取材で、泊まった方の感想は、「なんでこんな四国の山奥に来て、東京や大阪にあるような所に泊まらなくちゃいけないんだ。しかも夕食に、鰹が出て来たよ。しかも、大空間なので寒い。」とさんざんでしたが、今回の庁舎も、マスコミの受けは良いのですが、高知の気候風土の事は、考えていないようです。庇の無い建物は、いったい何年持つのだろうと、心配します。隈さんの建築は大好きで良く見ますが、共通するのは素材の持つ危うさ、弱さを逆にアピールし、とんでもない使い方を提案して来る事です。この庁舎も、全て梼原産の木で作られています。雨に弱い木は、外装に使わない常識を、ひっくり返して使ったのでしょうか。ただ高知県で、庇を設けずに作られた建築で長く持った建築を、私は知りません。梼原座のように、この庁舎が建っている事は無いと思います。しかし、私のこの常識を覆してもらえれば、木は新しい建築の素材となり、広く一般に使われ、山に手が入り、豊かな森、里、海の循環が始まるきっかけになります。負ける建築が勝てば、隈さんの建築では無いような気がしますが、長く建ち続けて欲しいと思います。負けてもその間のデーターは残せるのが、梼原町の狙いだとしたら、凄い町です。
高知平野は、あまり知られていないのですが、夕陽が美しい所です。近頃は、あまり気にして見ませんが、たまに改めて美しいと、しみじみ思って眺めます。写真は家の庭から、三宝山に沈む夕陽を撮りました。雲の動き、形が面白くて、飽きません。少し前に、夕陽評論家と言う、肩書きを持った人が、雑誌に良くでていましたし、愛媛県双海町の、夕陽を使った町興しは有名です。それ程夕陽には、人を引き付ける何かがあります。夕陽を見ると、その日の自分の行ないを、反省したり、人生を考えたりしてしまいます。自分の内面を見つめ直さす力が、夕陽にはあるのかも知れない。工房の作業が終わる頃、見る夕陽がまた美しく感じるのは、その日一日の仕事が終わり、心地よい疲労と、仕事を終えた満足感があるからかも。夕陽を眺める余裕を持って生活したい物だと、反省しました。
日曜日、風が強かったのですが、午後久しぶりに、バイクで安田町の方へ行って来ました。土佐を代表する酒蔵があったり、小さな小さな映画館がある、ユニークな町です。こんまい映画館、大心劇場の横にある、喫茶店、豆電球を目指してのんびり、行って来ました。この映画館は、町から4~5キロ上流の、安田川の東岸に在り、周りには人家も何も無い所に、建っていました。本当に映画館なのか、看板が無ければ、ただの古い民家だと、言われたら納得してしまいそうです。フォークシンガーの豆電球さんの、熱い映画に対する情熱と、地域の人の理解が有ってこそ、存在出来るもので、その存在自体、奇跡のような映画館です。喫茶店は客は一人、店内も、一時代前の雰囲気で、漫画本や週刊誌がたくさんあり、時間がゆっくり流れていました。豆電球さんの、熱い情熱に触れに、安田川まで、ドライブして見てはどうでしょう。土日の映画上映は、午後1時と七時です。今は最新版の座頭市を上映していました。続ける事の大切さ、難しさ、情熱、一途な心、安田の文化を感じれる、コンマイ映画館に一度足を運んで見ては。