izumishのBody & Soul

~アータマばっかりでも、カーラダばっかりでも、ダ・メ・ヨ ね!~

「ヌヌ〜完璧なベビーシッター」・・・深い孤独と哀しみに満ちたサスペンス

2018-07-30 10:30:26 | 本と雑誌

2016年にゴンクール賞を受賞した、モロッコ生まれのフランス人作家レイラ・スリマニの「ヌヌ 完璧なベビーシッター」(松本百合子訳・集英社文庫)。

 

パリ10区のこじんまりしたアパルトマンに住むマッセ家で、幼い長女とミラと、赤ん坊の長男アダムが、ヌヌ(ベビーシッターのこと)であるルイーズに惨殺された。。

その事件から遡って、マッセ家がヌヌを雇い入れるまでの夫婦の葛藤、ルイーズがこの家のヌヌになるまでとなってからの状況が無駄のない文章で淡々と(調書のように)描かれている。

ルイーズは子守りだけでなく、料理も掃除も手を抜かずにこなし、ワンルームのアパルトマンはブルジョア家庭のように変わった。一方で、気難しく抜け目のないミラの我慢できないワガママや、手のかかる赤ん坊のアダム、口では感謝を言いながらもどこかヌヌに対して壁を作っているマッセ夫妻。。。文章を読みながら、その時その時の情景を想像しながら、この悲劇の伏線が普段の日常に潜んでいることを察していく。

 

何故ルイーズは子ども達を殺したのか。。。。?

「人は同時に、虐待者にも犠牲者にもなれるという事実を暴き出している」という仏 ロブス誌の書評が帯に紹介されているが、普通に暮らしている日々がこんなにも脆くあやふやなことは、どこの国でもあること。

時にはマッセ家の立場になったり、時にはルイーズの目で感じたり、角度を変えて読むと受け取り方も違う。

最後まで目を離せない物語でありました。

 

 

 

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「経絡はまじょ会」夏休み特別体験レッスンのご案内

2018-07-28 13:45:03 | 教室と講習会のお知らせ

毎月1回、経絡と太極拳運動に基づくストレッチをしている「はまじょ会」。「ヨコハマで、女子だけ」という安易なネーミングではあります。。。

 

太極拳は、”意によって気を導き、気をもって(身体の隅々まで)勁を運ぶ”ことを目的としている。

”気”とは”生命エネルギー”のとこ。”気”は経絡ラインを通って流れるとも言われ、太極拳と経絡は密接な繋がりがあるのだ。

経絡エクササイズを行うことで気が流れやすい身体が出来、それにつれて身体の滞りが解消されて不調が整い、肩や首の凝りがなくなり、関節の可動域が広がると共に、太極拳を違った角度から見られるようになった(と思う。自分では)。。。

 

そんなこんなで友達や太極拳仲間を集めて『経絡はまじょ会』と称して、月1回のストレッチ。

何がいいって、(太極拳と違って)順番を覚えなくていい!しかも、その場ですぐに身体が軽くなる!

「背中に羽が生えたよう!」とか「足が軽〜い!」とか「目がスッキリ!」とか、初めてでも驚きの反応がかえってくることが多い。

普段は平日の午後なので普段は来られない人も多いけど、8月はちょうどお盆の夏休み時期。ということで、夏休み特別体験レッスンを企画。「なんとなく身体が重い、腰や膝が痛い」という方は是非!! 

問い合わせ・申込みは、鈴木(090-3535-0073 / linmuizumi@gmail.com )まで。

 

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宗 維潔老師の24式講習会。とってもとっても勉強になりました!!

2018-07-25 13:52:09 | 太極拳

東京でも最高気温が39度を超えた7月23日(月)、宗 維潔老師の「24式太極拳講習会」に。

場所は、東京の中でもさらに気温が高い八王子!しかも、会場は、冷房設備なしの体育館!!

クーラーバッグに保冷剤、氷、水、レモンの蜂蜜漬けを入れて、いざ覚悟!して(?)のお出かけ。。。と乗り込んだ根岸線が、桜木町駅手前でストップ!あらら。。。(前の電車で気分が悪い人の救護とか。。分かるワ〜倒れそうな暑さだものね〜)。

急遽路線変更して、横浜線「新横浜駅」まで、市営地下鉄で行くことにする。

混雑している地下鉄から無事横浜線に乗り換えて途中まで行ったら、またもや、どこかの駅で「線路人立ち入り」でストップ!

ま、暑いからね〜、焦っても仕方ない。。。。

 

で、会場に入った時は準備体操が始まっていたけど、着替えてすぐに24式太極拳の講習が始まり。

ここウン十年ばかりはもっぱら陳式太極拳だけやって来たから、24式は”多分覚えているとは思うけど、確実ではない”状態。

後から来たのに前列に入れてもらって、早速に起勢から始まる。。。

 

宗老師の動きを見ていてまず感じたのは、腰を(すごく)使ってる!ということ。

”腰”とは、腰椎の周り(日本人的には”お腹”と言う前側も腰だ)ーーだから”腰回り”というね。

腰が柔らかい。。。から、腰を使って開合をしているのがよっく見える!分かる!「腰を使うとはこういうことか!」である。

 

24式では、次への動作の変換として後座があるが、これも、後ろに引くのは腰の後ろ箇所。日本ではよく”股関節を折り込む”とか”曲げる”とか聞くが、そんなところ何もしない。使うのは”後ろ側”だ。前側じゃない!

亡くなった一美先生がよく「腰を後ろにちょいと引く」と言ってたが、宗老師が、「背中を後ろに」と言いながらワタシのウエストの後ろをちょいと指で突くようにして「ここを引く」と言ってくれたところが、まさに、同じところであった!背中(というか肩甲骨、だった)を後ろに膨らませるようにして引く、のであった。

股関節を曲げると、必然的にお尻が後ろに出て身体が前傾する(人間の骨格を考えてもそうなるヨ)。すると”立身中正”が崩れる。。。(「頂勁!真っ直ぐに!」と何度も注意が飛んだ)。

ついでに、後座の時は、ファンソンとはいえ実の足(後ろ足)にはググッと沈み落とし支える力がある。日本人が考える”緩める”と、本来中国語でいう”ソン(ファンソンの松)”の認識の違いが、ここではっきりする。

”緩める”は、力を抜くことではない。実の足はグッと沈めて他の各所(腕やら肩やら)は力を抜く。股関節は(緊張を)緩めるけど抜かない。下盤はしっかり安定している。しかも固めない。

今回は、随所で足首をよく使うことも判明!

足首の力を抜いて下に沈む〜そこから足の裏〜足首〜膝〜と上に伝わっていく。宗老師の足首を見ていると(陸先生も同じく)、足首が弾力をもって曲がり、そこが伸びるように膝に力が伝わっていく!(足首の弾力、バネが働いている)。

 

股関節が硬いと骨盤が歪む。当然、膝関節も、足首も硬くなり、その結果、筋肉も硬くなって何も伝わらない。

足の裏から手の指先まで、身体の隅々まで勁を運んでいくのが太極拳なのであるから、柔軟な筋肉は必要である。

”緩める”を正しく身体で理解しないと、ただただ腑抜けのようになるか、四角い身体があっち向いたりこっち向いたりするだけで、内面からの広がり、張り、充実などが得られない。

 

後ろに下がっていく「倒卷肱」の動作では、後ろに足を出したら、手が前に出ると体重を後ろにを一緒に!を強調された。

①足を後ろに下げる、腰が緩んで手を開く〜②胸を合して手が合う(見てるとホントに肋骨がギュウ〜と窄まってる!これが”含胸”だ!)〜③足を寄せる。の①ー②ー③。

やりやすいのが、後ろに足を出したらすぐにそこに体重を乗せて座っちゃう(後座)こと。「そこで断勁になる(!)」。。。これは指摘されて初めて気がついた点でありました。。

下げる足を一旦持ち上げるのは、後ろ足(実の足)にズンッと落とす(沈み込ませる)から。しっかり落とすから、反対の足が軽く上がる(こっちを下げればあっちが上がる、作用反作用の動きそのまま。まさに物理の運動の力学そのまんまの理屈であるよ)。 

 

全体として言われたのが、中国と日本の言葉に対する認識の違い。

日本人の感覚でいう「緩める」は、中国的には「散」であること。

また、後ろ足を”蹴る”という表現は、”後ろ足から伝える”ことを”蹴る”と言っているので、日本語でいう蹴ることじゃない。

含胸抜背、立身中正、骨盤を収めてお尻はしまったまま。。。
 
 
最後に24式太極拳は他の太極拳の種目に比べて、「やること、形が決まっている。自由がきかないもの」と言われたのも「なるほど〜」であった。
他の太極拳は自由性があるが、24式はやることが決まってる。だから正しい動き、身法をしっかり学ばないと、太極拳本来の理念とはどんどん違う方向に行ってしまう。
 
24式太極拳は、一番最初に習った太極拳であり、その後ワタシは伝統陳式太極拳専門に練習してきたが、今回の24式講習会では、基本はなんどでも本物を見て習ってチェックすると、また新たな発見が出てくる!ということで、とっても楽しく有益な講習会でありました。
「順番覚えたからもういい」では決してないのだ!基本は何度でも!である。
 
それにつけても、宗 維潔老師は、穏やかな面差しの(まるで観音像のようでした)柔らかな女性で、同時に強靱な勁力を感じさせる動きで、腰から下は柔軟かつ不動、上は柔らかく広々、腰は安定しつつよく動く!で素晴らしかったでっす。
 
 
 

 

 

 

 

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7月の太極拳と経絡ストレッチ教室です

2018-07-03 11:07:07 | 教室と講習会のお知らせ

あっという間に梅雨が明けて、一気に真夏の暑さ。。。。

グタッとなりそうな気持ちを奮い立たせて、7月の教室です。

 

陳式太極拳普及会土曜日教室 

7月から、陳式剣と単刀の器械の練習も始めます。 

・04日 13:00-15:00 横浜・清水が丘第2体育館

・14日 13:00-15:00 横浜・元街小学校体育館

・21日   13:00-15:00 横浜・JXTGエネルギー(旧日石)根岸体育館

・28日 13:00-15:00 横浜・元街小学校体育館

 

マイカル本牧 金曜教室横浜本牧和田山口・イオン本牧3番街2F)

ここは、陳式老架一路を専門にじっくり。陳式剣にも取り組んでいます。

・06日、13日、20日、27日 18:30ー20:00

 

カルチャー本牧(木曜月2回)(横浜本牧一丁目・カルチャー本牧)

陳式の基本を繰り返し練習。養生のための陳式太極拳をやっています。

 ・05日、26日 11:00-12:30 

 

経絡ストレッチ「はまじょ会」

(毎月第2月曜日、第4火曜日)

・09日 13:00-15:00 神奈川スポーツセンター研修室

・24日 13:00-15:00 竹之丸地区センター2F中会議室

以上、問い合わせは:090-3535-0073、linmu-quan@ezweb.ne.jp(鈴木)まで  

 

この他、7月は以下の講習会にも生徒として参加しまっス!

陸 瑶老師の形意拳講習会 

・7月15日(日)13:00-16:15 東品川文化センターレクホール

 ※スカッと楽しい陸先生の形意拳。太極拳を別の角度から見直せます。「やってみたい!」と思う方はご連絡を。

宗 維潔老師の24式太極拳

・7月23日(月)9:30-16:00 八王子・富士森体育館分館

 ※北京体育大学副教授の宗老師来日講習会。呉式のチャンピオン。24式をもう一度お勉強します。

 

しっかり汗かいて、暑さに負けない身体作り!

 

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「おいぼれハムレット」(橋本 治・口演 酒井捏造・速記)で大笑い!

2018-07-02 11:54:06 | 本と雑誌

桃尻語訳による枕草子を始め、絵本徒然草、窯変源氏物語、桃尻誤訳百人一首等々、数多の現代語訳による古典を発表してきた橋本治センセイによる、「落語世界文学全集」の第1回目「おいぼれハムレット」。

これが面白いのなんの!!

 

帯に「西洋のお大名家のお話しも色々とございます内で、『長ろうべきか死すべきか』で評判を取りました後日譚」とある通り、歳を取っていぼれた「ハムレット」である。原作では、最後には全員が死んでしまうが、ここでは誰も死なず、元気に年寄りをやってる。

ここでは、オフィーリアも死なずに歳を取って(耳が遠いフリ、呆けてるフリをする)尼になっていて、時々ハムレットの前に現れてはジャマするかき回す。。。。

北風吹きすさぶ城壁の天辺のシーンから始まるのだが、ハムレットもすでに80歳過ぎ。付き従ホレイショーも同様に歳を取り、半分呆けている。。。 

 

“落語”版であるから、語り口はほとんど落語か講談か、ハムレットは『ご隠居』。

三代揃って長男の名前は“ハムレット”で、弟は“クローディアス”、奥方は“ガートルード”。なので、誰が誰だか分からなくなってる(読む方も混乱してくる)。。。ハチャメチャです。

スラブからの難民が城内に押しかけてくるのを、「通すだけなのよね?通って、ノルウェーに行っちゃうんだわよね?」と妃のガートルード。「だったらさっさと門開けなさい!ささと明けて、追っ払っちゃいなさい!・・」。。。。あれれ。。?これはあれ??

 

最後は、墓から掘り出されたシェークスピアの髑髏を手に「これに酒を接ぎますと、“お前ェ、ふざけるのも大概にしとけよ”と申しますそうで」とオチが付いて、めでたく『お後がよろしいようで』で終わり。

 

巻末に、「ページが余っちまったンで、楽屋噺でもなんでも」と席亭に言われたと、あとがき代わりの談があるが、これもまた財務省事務次官のセクハラの“言葉遊び”があったり(最後の文章は「あたしももう年なんでね、落語世界文学全集なんて言ったって、いつまで続くか分かりゃしませんよ。死んだらおしまい。予定は未定ってことでね。じゃ、あたしは帰りますよ。お疲れさん。キスしていい?ハハハハハ。最近のお気に入りだよ」)、抱腹絶倒の可笑しさ。

橋本治センセイの“知”は古今東西剛柔自由自在。大笑いのうちにたっぷりアタマが刺激されました。

   

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