12月24日はクリスマスイヴであると同時に、妹の誕生日でもある。
今年の24日は「見に行かない?」と誘いもあり、妹と一緒に『ボヘミアン・ラプソディ』を観に川崎チネチッタへ。
『ボヘミアン・ラプソディ』は言わずと知れたクイーンのフレディ・マーキュリーのストーリー。
パキスタン系のイギリス人であることや容姿へのコンプレックスなどのため孤独や疎外感を抱えていた若者(後のフレディ・マーキュリー)が、その後生涯の”ファミリー”となるバンド仲間と出会い、斬新な(そして美しい!)曲の数々を生み出していく・・・We Will Rock You、チャンピオン、キラークイーン、RADIO GAGA ・・・・。「クイーン」を知らなくても、その曲は誰でも一度は耳にしたことがあるはずだ。
1971年結成のクイーンの活動が最高潮だったのが、1975年〜80年代中盤。この頃、私は編集の仕事が忙しくオンタイムで体験してはいなかったが、ある子供服メーカーの撮影時にモデルを頼んだアメリカ人の子供(5歳くらい)が、「♪ we wil we will rock you〜 ♪」と歌いながら踊りながらスタジオに入って来た(!)ことをよく覚えている。
こんな子供が口ずさんでいるンだ!!とビックリした覚えがある。
1991年にフレディ・マーキュリーがエイズで亡くなってから、ミュージックビデオやラジオ(主にAFN)や、その後音楽TV「Music Air」で、繰り返し何度も観て、(それにエリザベス女王の戴冠ン十周年記念かなにかの時に、ブライアン・メイがイギリスのどこかのお城の塔の上で”GOD SAVE THE QUEEN”を演奏する映像を観て!)、あらためてクイーンが単なるロックバンドに留まらない、スケールの大きいアーティストとして存在していたことを知った。
映画の中でフレディがオペラ「カルメン」を聴いているシーンがあったが、フレディ・マーキュリーが創りたかったのは「オペラ!」。「ボヘミアン・ラプソディー」は壮大なロックオペラだ。身体が震えてくるくらい心に響き、訴えかけ、グイグイと歌詞のストーリーの中に引き込まれていく。。プロデューサーも仲間達も、誰も出来上がるまでは想像もしていない音楽世界だったと思う。
圧巻が、1985年に行われたアフリカ難民救済のための史上最大のチャリティコンサート(ライブエイド)!2会場で総計12時間、84カ国で衛星生中継されたこのライブ、そうそうたる顔ぶれのアーティストが参加する中で、解散直前のギリギリ状況から参加したクイーンは(エルトン・ジョンが舞台裏で悔しがるほどの)圧倒的なパフォーマンスでその場に集まった観客とTV中継を観ていた世界中の観客を魅了する。
映画では、彼はこの時点でエイズにかかっていたことになっているので、字幕で読む歌詞が余計に胸に迫ってくるのであった。ライブエイドのシーンを観ながら、ワタシは、今の日本に欠けているもの(そして今の若者がうっすらと求めているもの)はこれじゃないかな?とふと思ったのでありました。
メンバーのブライアン・メイ(g)とロジャー・テイラー(ds)が制作スタッフとして参加していて、そんなこともあってか、クイーンとフレディ・マーキュリーへの愛・リスペクトが全篇に満ちていて、その中にいるような一体感がある。
フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックは、最初は違和感があったもののどんどんフレディ・マーキュリーと一体化してくる感じで、髪を短く切ってからはほぼフレディ・マーキュリーそのまま。ギターのブライアン・メイ役の俳優もまるで本人か?と思うほどよく似ているのね。
どの曲も歌詞が素晴らしい(字幕スーパーだとよっく意味が分かるし!)、圧倒的な歌唱力、意味のある言葉、力強いリズムとロジャーのドラムの響き、ブライアンのギターの美しく叙情的なフレーズ、重層な音の広がり。。。。爆音上映で観たらもっと迫ってくるだろうな〜。
会場には、当時はもちろん知っているはずがない若い世代と、当時を知る世代のいずれもカップルが多い。つまりはどの年代にも受け入れられる熱気がスクリーンから放出される。これってやっぱり本物のアーティスト、クリエイターだったといえる。本物の音楽は時代を超える。誰が聴いても素晴らしいものは素晴らしいと共感できる。本物の凄さ!を実感しました。