陳式太極拳を学ぶ者にとっては”巨星”のような存在である陳 小旺老師が、日本陳式太極拳学会の招聘により19年ぶりに来日。その5月21日(月)の講習会に参加した。
思えば今からほとんど40年近く前(?!)、師事する日本太極拳友会の故三代一美先生が”太極拳の発祥の地”と言われる中国・陳家溝に初めて行き、陳小旺老師から直接指導を受けて以来、陳家溝の陳氏太極拳を学び、求め続けてきた。
当時、”陳式太極拳の四天王(陳 小旺、陳 正雷、王 西安、朱 天才)”の中でも、陳小旺老師は最強の達人として知られる存在だった。
その後、何度か機会があって日本で講習会を受けたが、眼にも止まらぬ(というか、見えない。何かやってるんだけど、それが分からない。。)螺旋勁による発勁は、強い、鋭い、そして弾力があり、陳式太極拳の醍醐味を目の当たりに感じたものだった。
今回の小旺老師の講習会では、私は38式を受講。小旺老師が編纂した短い套路である。
その昔、陳式を始めた頃に習ったが、套路は全く忘却の彼方。。。YOU TUBE で予習、と思っても、やっぱムリ!
でもね、順番や形を習いに行くわけでない。いつもやってる陳 正雷老師型であっても、そこに反映できることは多々ある。
それに、教えるばっかりでは経験則だけ。自己流に陥ってどんどん世界が狭くなる。”太極拳”というからには、もっと深く、広く、大きな眼で点検していかなくては。。。それには良き指導者による講習会が必須、なのであ〜る。
で、陳小旺老師の講習会で一番勉強になったことは、受講者からの質問に答えた「呼吸」と「丹田」の二つ。
腹式呼吸とか逆腹式呼吸とか、よく質問されることだが、小旺老師のお答えは、簡単。
「お腹に鼻があると思って、そこで呼吸するようにしてみる」。なるほど〜!!「それ以外は考えなくていい」と仰りました。
丹田についての質問には、
「 “発勁は丹田から”という考えはちょっと違う。形が整って、全身が繋がれば丹田とも繋がる。その相乗効果で発勁することができる」というものであった!! これって単純だけど凄いこと。これが本質なんだネ!!
「まず形を正しく覚えて、整える。すると四肢から丹田、丹田から四肢へと伝わっていく。それが結果的に、身体にも良いし、健康になること」だと。
さらに、ムリヤリ頑張って身体を痛めるのは目的ではない。楽しく練習する。頑張らない。と、まことに力みのない、柔らかなお話しであった。
講習会では、套路を始める時、鎮気(ジンチー)と言って気持ちを鎮め(数十秒間)、開歩したらまた鎮気して、時間をかけて起勢が始まる。
鎮気に集中して、手が動き始まるまで待つ。といった感じである。
套路も、当然そのように、自然に足や手が動き始めるまでゆっくりと時間をかける。
そうやっていくと、”やる”じゃなくて”なる”、”意によって気を生じる(気が運行する)”という拳理が、身体で納得できるのでありました。
一緒に受講していた知り合いと、「いや〜、勉強になりましたね〜!!」と言い合って、横浜から綾瀬までは遠かったけど、”頑張って”来てよかった!の一日が終わりました。