ポトマック自然観察日記

アメリカ東部の自然紹介をきかっけに、日本や世界の自然観察を共有。

渡良瀬遊水地 Watarase yusuichi (or retarding ground), December 6, 2020

2020年12月09日 | 日記
ついに渡良瀬遊水地を訪れました。4県そして4市2町に跨る広大なウェットランド、ラムサール条約登録地、そして足尾銅山鉱毒事件に端を発する人造の環境。健全な生態系の創出と維持を目指し適切に手を加えていこうと連携している、自治体、市民団体そして国交省・・・。見所、考え所満載のフィールドです。

今回は第一調整池の北ブロックと呼ばれる湖を反時計回りに徒歩で一周しました(かなりの距離、自転車があった方が良いです)。遠くに日光連山が見えます。


しばらく歩くとヒドリガモ(Eurasian Wegion)の群れを発見。


美しいカモです。特に嘴の水色と顔の茶色の組み合わせが素敵です。


群れは陸に上がりたがります。行き交うサイクリストなど周囲に気をつけながら何度も行ったり来たり・・。


大きな樹の下の芝生エリアを目指していたようです。


そして水面にはカイツブリ(Little Grebe)。すぐに潜ってしまうので、いつも撮影に苦労します。3連射ご覧あれ。


ボケましたが、面白い瞬間。


かろうじて尾が見えます!


何回ものダイブに付き合いましたがキリがありません。次に移動。進行方向右手となる谷中ブロック側の水面もウォッチング。すると、アオサギ(Grey Heron)が1羽佇んでいます。美しい。


でも1羽ではなかったようです。お相手が飛来してきました。良かった。


湖の周囲には木々やブッシュが繁茂しています。その中には小鳥たちがたくさんいました。シジュウカラやスズメに加え、このアトリ(Brambling)をじっくり観察できました。


先程のカイツブリに加え、カンムリカイツブリ(Great Crested Grebe)も見られます。カイツブリ類中で最大とのこと。白い首が印象的です。




遊水地として洪水調節機能を果たすために水門やクリークが多々あります。こうしたストラクチャー付近には鳥が結構います。このカワウ(Great Cormorant)は正に井戸端会議の真っ最中。


湖の周囲は広大なヨシ原。


そしていかにも多くの生き物が棲んでいそうなクリーク。


ヨシの先端にも鳥たちがいました。これはジョウビタキ(Daurian Redstart)のメスです。


ウォッチングはここまで。この後、近所に会場に設けた「渡良瀬遊水地を守る活動30周年記念講演会『ラムサール湿地 渡良瀬遊水地をこれからどうする』」に参加させていただき、生態系管理の最前線や地元の諸団体の協働ぶりを勉強させて頂きました。遊水地を管理する国の機関、地元自治体、市民団体、そしてアカデミアがバランスよく参加、活動している様子でした。

例えば治水の観点から、コンクリートを中心とした「グレーインフラ」ばかりでなく、本遊水地のような生態系管理を活用した「グリーンインフラ」の推進が求められていくとのご説明に大いに首肯しました。