ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

ヨーロッパの民族学 第1・2章(白水社 文庫クセジュ)

2020-08-08 20:39:06 | ヨーロッパあれこれ
ヨーロッパの民族学

ジャン・キュイズニエ 著

樋口淳 野村訓子 諸岡保江 共訳

1994年11月25日 発行

白水社 文庫クセジュ 760




この本の最初の一章では、民族に関する知識がヨーロッパでいかに形成されたかを示しています。

つづく二章でヨーロッパ社会に存在する200ほどの民族をいくつかのグループにわけて記述します。

そして最後の二章で、これらの社会で民族的アイデンティティが形成され表現されるメカニズムを分析しています。




第一章 ヨーロッパ民族学の歴史

Ⅰ 差異を記述する




Ⅱ さまざまなイデオロギー

  ロマン主義の台頭とともに、国家の起源をテーマとしながら、ケルト人やゲルマン人、スラブ人に関する広範だが脆弱な知的体系を築こうというイデオロギーの誕生

1 ケルト人、ケルト主義、ケルトマニア




2 ゲルマン人、汎ゲルマン主義、ドイツ国家




3 スラブ人、 スラブ愛好主義、汎スラブ主義




民族学の基礎には、三つの学問的伝統がある。

第一にデュルケムとウェーバーの社会学

第二に文献学、民俗学

第三に文化人類学と社会人類学 p27




第二章 遺産の古層・基層・傍層

Ⅰ 遺産の古層

紀元前三千年から二千年、辺境ではそれよりさらに遅れて、ヨーロッパの古層となる文化が形成される。

ラップ人とバスク人がこのヨーロッパ古層の姿を垣間見せてくれる。




1 ラップ人、あるいはサーメ人

人口、およそ4万人で、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアにまたがり、北極圏の周辺に住んでいる。




2 バスク人

エウシカラ語(バスク語)を話す人たち




Ⅱ インド・ヨーロッパの基層

インド・ヨーロッパ語という、一つの共通の言語が存在し、そこから歴史上よく知られた類縁語、ギリシャ語、ラテン語、ケルト語などが派生した、という仮説p39

そしてひとつの民族ないし部族連合体が移動し、あちこちに定住していった、という仮説p40




1 インド・ヨーロッパ祖語という共通起源の言語

言語の共通の性質や語彙




2 諸文化の相似性、あるいは思考体系の同一性

デュメジルの方法

用語を個別に研究するのではなく、名や儀礼の秩序だった全体を対照させる。



3 インド・ヨーロッパ人という同一起源の民族

インド・ヨーロッパの諸制度の語彙の全体像を見ると、今日ヨーロッパで様々な言語を話している諸民族の遠い起源は、同一の社会組織を持った一つの組織だったのではないか、と考えられる。p47



4 故郷についてのさまざまな仮説

研究者の多くは、インド・ヨーロッパ人を、戦闘用の斧を携え、縄席文土器を用いた、戦士・遊牧民の「クルガン人」であると考える。p48



Ⅲ 遺産の傍層

フェニキア人、ベルベル人、ユダヤ人、フン族、アラブ人、モンゴル人など、多くの非インド・ヨーロッパ系の民族が、ヨーロッパ大陸にやってきて、一部は定住し、一部は先住の民族と融合した。

その中で、今日のヨーロッパのいくつかの国家の起源になっているフィン・ウゴル系の民族とトルコ系の民族



1 フィン・ウゴル系の諸民族

フィンランド、エストニア、ハンガリーを形作った



2 トルコ系の諸民族
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