前回は読書会に先立ち、ゲストに最適化社会日本の著者、元参議院議員の二之湯先生にご登場いただきお話を伺いました。
二之湯先生の学生への質問に対するキッパリとした受け応えは、私達に二之湯先生の日本の未来に対するリーダーとしての真摯な思い、あり方を感じました。
受講している学生におもねるのではなく日本の行く末を案じての学生に対する一見厳しい指摘だが、そこに対する優しさを感じました。
さて、今回はいよいよ前回の内容を踏まえて読書会スタート。ここからは、メンバーとの4回に渡る最適化社会日本の著書を皆で学び会いながら進めていきます。
書籍では、最適化社会の定義を次のように示しています。
つまり最適化≒調和です。
分断の世界から生まれる様々な障害。
格差問題
気候変動問題
など私達の世界は多様という名の下、分断を食い止めることはできません。
二之湯先生は今こそ哲学が大事なのだと言います。
この統計から何が見えるでしょうか?
将来に希望を感じる人が15パーセント。
私達日本人が宗教のように信奉していた経済、科学が陰りを見せ始めたいま、その反動で社会に希望が持てない状態に陥っているといいます。
まさにいま真善美と言った誰もがそうだという共感が大切なのではないでしょうか?
オリンピックを見ていて思うこと。
オリンピックで金メダルを取る選手は誰が見てもすごいと思いませんか?
プラトンは、社会の根幹を真善美と定義しさらに、真や美は善をありきで初めて存在すると述べています。
善を最高のイデア、概念と置きましたが、正に共通善に向って社会を見つめ直すときなのではないでしょうか?
最適化社会は、AI、テクノロジーの力でそれが可能になる時代なのです。
例えば私達の研究テーマである人事の世界でも、
ソサエティ4.0までの工業化社会、情報化社会までは、この図のように組織は、人材を会社のある一定の型に当てはめて△の目標に向って人材を動かすほうが効率は良かったわけです。人間はバラツキのない個性を剥ぎ取った、いわば材料であるというわけです。ソサイエティ5.0はAI、テクノロジーの力で個性を活かしたまま最適な組み合わせが可能になり、人間性を尊重した組み合わせで△の目標を実現することが可能な社会へと進化していくのです。
プラトン、そして師匠のソクラテスは対話の手法を通して高次の真理へと行き着く方法を説きましたが、まさに私達に取って大切なのは共感に至るための対話のプロセスなのではないでしょうか?
私達のソサエティ4.0までの世界は、科学、数字から世界全体の真実をとらえて来ました。
しかし、フッサールは科学の限界を次のように述べています。
まさに私達は数字や科学の客観的な世界の中で現実感、手触り感の乏しい生きている実感が得られない社会の中にいるのではないでしょうか?
あなたにとっての家庭とは?
あなたにとっての会社とは?
あなたにとっての地域とは?
そんなことを問う暇もなくただ何となく毎日が過ぎていく。
モノよりコトをもとめる時代とは、科学や数字だけで世界を実感できる範囲はますます限られて来ることの表れではないでしょうか?
最適化社会ではそんな個々人の主観を大切にし、人間性を尊重した経営、社会が実現する時代になるのだという。
確かに、複業解禁、在宅勤務の流れや自動運転、無人の農業機械での作業など私の身近な世界でAI,テクノロジーが人間性の豊かさを実現している。
多様なモノやコトを多様なままで共通善のもと一つにまとめ、つないでいく。
一方でフッサールは多様性、相対主義についてこんな警告を述べています。
ヘーゲルの言う各々の主観をぶつけ合いそこから真へと鍛え上げていく行程を私たちは大切にしなくてはならない。忙しくて対話の時間がないと目先の経済活動に奔走する日常からは多様性あふれる豊かさ職場や社会は実現しない。
改めてこれからの会社の役割を問い直してみる。
会社はお金を稼ぐ場以上に生きていくリアリティを私たちに与えるそんな最適化社会へ向かう過程のなかでコミュニティへと進化していくはずだと今回の読書会を通して思いました。
次回の読書会は、9/15実施です。
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