「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「今春の新入社員を一言で表現するとしたら、どのようになるのでしょうか?」
これは先日、ある企業の人事部門の研修担当者との打ち合わせの際に聞いた言葉です。日本生産性本部では、2017年まで毎年その年ごとの新入社員の特徴とタイプを公表していました。
現在では行っていないようですが、仮に今年の新入社員を一言で表現するならば、「在宅勤務型」や「オンライン型」というようになるのかもしれません。
今年の新入社員は入社後数日で緊急事態宣言が発令されたことにより、新入社員研修が半ばで中止になり、そのまま在宅勤務になったという人も少なくないことでしょう。
あれから半年近くが経過しますが、ここ数ヶ月で新入社員へのフォロー研修を検討する企業が増えてきているようです。現に弊社でも、新入社員のフォロー研修の依頼をいただくことがだんだんと増えてきています。
新入社員フォロー研修ではお互いの近況を伝え合う時間を設けているのですが、それらを聞いていて感じるのは、今年は多くの新入社員が共通して会社への帰属意識を持てていないということです。
帰属意識とは、組織の一員として会社に所属していると感じる気持ちです。帰属意識はもちろんすぐに芽生えるようなものではなく、時間をかけて醸成されていくものだと思います。しかし、新入社員からは「この会社(A社)に入ったと認識できるような瞬間が全然ない。これでは同業他社のB社でもよかったのではないか。いつかA社に入ったんだと思えるときがくるのだろうか?」というような言葉を聞くことが多いのです。
確かに新入社員研修が途中で中断されたことにより、今年の新入社員は会社の理念をじっくり聞いたり、各部署の役割を紹介されたり、今後の中長期のキャリアをイメージするような場を持つことができなったわけです。
企業によっては、オンラインで新入社員研修を継続したところもあるとは思いますが、いずれにしろ現在も在宅勤務が中心となれば、愛社精神どころかA社に入社したという実感すらなかなか持てないのも無理のないことだと思います。
では、このように帰属意識が持てないまま仕事を続けると、今後どういうことが起きてしまうのでしょうか?帰属意識が持てないと、会社の中での自分の立ち位置をはっきりと認識しづらく、その結果入社した意義も感じられにくいのではないでしょうか。
そうなると仕事へのモチベーションも上がらず、当然会社への貢献意欲もなかなか湧いてきません。そして、先の展望が見えないまま目の前の「作業」だけをこなす状態が続くと、モチベーションも下がってしまい、やがては早期退職につながってしまう恐れすらあると思います。
それでは、今後一体どうすればよいのでしょうか。
当然、新入社員フォロー研修を行うのも有効な手段ですが、それだけではなく上司や先輩とのつながり、他部署とのつながり、そして何より同期のつながりが大切です。ぜひ人事部門にはつながりを持てるオフィシャルな場を積極的に設けていただきたいと思います。
そして、このような場は一回だけでは不十分であり、継続的に設けていくことが大切です。今年の新入社員が帰属意識をもつことができるようになるためにも、ぜひここはじっくり取り組んでいただきたいと思います。