「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「A社とB社から内定をもらいましたが、どちらにするか何を基準に決めればよいのでしょうか?」
これは、私が毎年夏から秋にかけて必ずと言っていいほど学生から受ける質問です。2022年3月卒業予定の大卒者への有効求人倍率は1.50倍であり、コロナ禍により少々下がったとはいうものの、依然として学生優位の状態が続いています。そのような中で、同じ業界の複数の企業から内定を得た学生にとっては何を基準に会社を選べばいいのか、判断に迷うのは当然だと思います。
では実際のところ、どのように会社を選んだらよいのでしょうか?
私がかねてからお勧めしているのが、企業が掲げている理念、ビジョン、ミッションなどを確認し、それをもとに判断するということです。理念とは企業活動において最優先すべき(したいと思う)考えであり、ビジョンとは組織が目指すべき理想像、将来あるべき姿を指します。さらに、ミッションとは組織の使命で、何を達成したいのかを意味するものです。これらはまとめて企業の存在意義のことだと考えていますが、これらを確認し、その中に自らの心の琴線に触れるものを見つけることができたのであれば、その会社に入ることをお勧めしています。
さて、これらに類する言葉で近年新たに「パーパス」という言葉に注目が集まっているのをご存知でしょうか?パーパスとは、直訳すると「会社の存在意義」ということです。先日(11月29日)の日経新聞にも紹介されていましたが、欧米では10数年前から使われるようになり、日本でも近年認知度が高まってきているとのことです。
この「パーパス」に関して、私は研修を担当させていただく際に、その企業の存在意義に関する文言等を拝見する機会が多いです。そうすると大変明確でイメージがしやすいものがある一方、形式的でそのまま別の企業に置き換えても何ら問題がないような抽象的な企業も少なくないと感じています。
そして、どちらのケースであっても、社員がその存在意義をきちんと認識していなかったり、場合によっては存在意義に示されていることと正反対の行動をしてしまっている社員がいる企業があるのも残念ながら事実なのです。
企業の存在意義に共感して商品やサービスを購入する顧客も少なくないでしょうし、学生が入社を検討するのもそこに共感するからだと思います。
こう考えると、存在意義はとても大切なものであり、顧客に選ばれるため、そして前述のように会社の将来を担う学生に関心を持ってもらえる企業になるためには、何よりも社員自身が企業の存在意義をあらためて認識すること。そして、その達成に向けて全力を全うできるように、今一度社内で確認し共有する機会をもつことが必要なのではないでしょうか。