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人口が減る時代のアマチュア無線

2011年11月29日 00時37分37秒 | MISC
※図はhttp://www.mlit.go.jp/common/000134593.pdfより引用
 
ちょっと古い資料だが、とある機会で、国土交通省国土計画局「国土の長期展望に
向けた検討の方向性について」を閲覧した。
高齢化(と言うより既に高齢社会になっているが)や温暖化は日頃から話題になるが
改めてこうして人口予測を眺めると、その急激さにちょっと驚く。
 ・現在は生まれる人間より他界する方が多い減少時代
 ・日本は過去130年で人口が3倍になり2004年末をピークに減少へ転じた
 ・2050年には1億人を切り、4割が老人の社会に

何故こうも急に人口が減るのか?人口激増の世代が一気に他界し、その次を支える世代の
人口が減っているからだ。今の適齢期の女性が多少の子沢山になった程度ではこの傾向は
変化しないらしい。

政策課題はさておき、アマチュア無線界にはどういうインパクトがあるのだろうか。
今でも既に団塊世代の定年退職によって、平日昼間でもパイルは厚くなっているし
高度成長期の競争社会を生き抜いた猛烈世代にとってはパイル競争は勝ってなんぼの
様相で、お世辞にものんびり優雅に趣味の王様を愉しむ環境ではなくなっている。

設備増強に、ハイパワー化、クラスタでは全く出し抜けず、あらゆる情報を駆使しての
競争は、かつての戦後日本を支えた右肩上がり経済下のビジネスマンの生き様そのものだ。
受験戦争世代では歯が立たず、ましてやゆとり世代など論外だ。

競争の無い世界は全く魅力が無いと思うが、競争に勝つことだけが目的になると
逆に一層魅力の無い世界になるし、他人に勝つだけでは今のご時勢では価値は見出せない。


アマチュア無線の世界でも、若手の猛者より高齢者の猛者の方が著しく活躍しているが
今後は、その設備は誰に引き継がれるかが、新しい話題になるかもしれない。無線機は
経年劣化するのでビンテージ以外で何代も引き継ぐことは少ないだろうが、土地と合わ
せたアンテナ設備はどうなるのだろうか?そして何より定型無形のノウハウや人脈等の
人に付帯したスキルの伝承はどうなってしまうのだろうか?スキトラの場は与えられる
ものではなく自ら取りに行くものだと判っているものの、余りに環境が乏しいと思う。

JAに留まってパイルで煮え湯を呑むのに嫌気が差して、海外へ出る人は増えるかも
しれない。相互運用協定がもっと相互に開放されるといいかもしれない。相互許可され
ない中でライセンス取る楽しみはありますが、それも数十年すると昔話の楽しみになって
いるかもしれない。


国内の無線人口が減っていく傾向の中で、米国では増加しているようだが、過去数十年の
DXCCいくつできたか、JCCいくつできたか、道の駅いくつできたか、的な数の枡埋め競争を
モチベーションにする楽しみは最早主流にはならないだろう。枡埋め競争には、他人と争う
面白みはあるが、今更DXCC全部やったところで大した自慢にもならない。既に無数の人が
達成しているのだから、達成は単なる自分を慰めるネタでしかない。

一定のレギュレーションでの競争ではないと判ってしまえば白けてしまう。どんなに自己
研鑽の為だと理由をつけても、結局は時間と金と熱意の豊富な人が楽に勝てることに途方に
暮れてしまう。
だからコンテストは楽しいと思う。
コンテストにも不平等さはあるが、たった1日、2日だけなら日常の様々な呪縛から抜け
出してトライし易くなる。


日本の無線人口が減る、の発想を捨てて、日本の狭い枠から外れて活躍する無線家が
もっと増えれば、従事する人が減る一方で、存在価値の高い趣味として復活するのかもしれない。
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