先日の土曜日のことである。朝8時に自宅を出発し、保土ヶ谷バイパスから湾岸道路、首都高を経由して江戸川区を目指して車を走らせた。江戸川区には妻の実家の菩提樹があり、毎年墓参りで訪ねているので、近辺の道には明るかった。
自家用車も持っている人は分かると思うが、車は5~7年程度乗ったら、ディーラーからの勧誘もあって新しい車に買い替えることが多い。しかし、わが家では17年間も買い換えることなく乗り続けてきた。17年間乗った割には、走行距離が8万キロと少ない。幾度か買い替えの提案を受けてきたが、家計の都合もあってその都度破談にしてきた。だが、ここにきてあちこち整備が必要になったので、止むを得ずついに廃車することにした。
17年間も乗ると車体と自分の身体が一体となった感覚になっている。たまに旅先でレンタカーに乗るが、ハンドルを持つ手がどうも落ち着かなかったことがある。
17年前までは、車と全く縁のない生活だった。自宅から最寄駅が近く、日常の買い物も徒歩圏内にある店舗でこと足りていたからである。と言うより当時は、運転そのものに興味を持っていなかったので、購買意欲が沸かなかったのかもしれない。しかし、当時勤めていた会社の組織変更に伴う人事異動で、山梨支店に赴任することになり、毎週大きなカバンを抱えて電車で移動する煩わしさから車での移動を考えたのである。。
月曜日に一週間分の食糧や着替えを積んで甲府市のアパートに向い、土曜日には洗濯物を積んで横浜の自宅に戻る生活が3年間続いた。月曜の朝は早かった。4時半に起きて5時に横浜市旭区の自宅を出発し、16号線に出て、町田、相模原を通り、津久井湖、相模湖を経由して20号線に入り甲府を目指した。片道124kmを約2時間のドライブである。相模湖インターから中央高速に乗った方が早いのは分かっていたが、敢えて一般道路を走った。
相模湖から勝沼辺りまでの20号線はカーブが多い。しかし信号も少ないので、半分レース気分で運転できたので飽きることはなかった。3年間も同じコースを走ると、「次のカーブでは、これ位までアクセルを踏み込んでも大丈夫だ」或るいは、「このカーブの先にはまたカーブがあるので低速で回ろう」といやでも覚えてしまうものだ。幸い無事故でやってきたが、笹子トンネルを抜けたら大雪に変わっていてスリップしたり、濃霧で視界が悪く、後方からの追突の危険を感じたこともあった。
そんな思い出のある車も、間もなく役目を終わろうとしていた。トランクルームの中は、前日のうちに整理しておいたのでカラッポである。そのためか、いつもより車体が軽い気がした。ガソリンの量もほとんどなく、エンプティランプが点灯しそうな目盛を指していた。
目的地には似たような古い車が数台並んでいた。店員は親切丁寧に手順を説明してくれた。「詳しい結果は後日メールでお知らせしますが、お客様の車は、一部を残して全ての部品がリサイクルされます。主に東南アジア方面で製造される車の部品として再び活かされます。」とのこと。廃車とは、スクラップして金属の塊になるイメージを持っていたが、最近のリサイクル率の高さに驚きである。自分の車の部品が他で役に立つことが分かって、少しほっとした気分になった。
古くなったとは言え、愛着のある物を手離すとなると一抹の寂しさを感じるものである。心の中で「ありがとう。」と言ってボンネットを軽く叩いて分かれてきた。(平)
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株式会社ジェイエスピー
横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
自家用車も持っている人は分かると思うが、車は5~7年程度乗ったら、ディーラーからの勧誘もあって新しい車に買い替えることが多い。しかし、わが家では17年間も買い換えることなく乗り続けてきた。17年間乗った割には、走行距離が8万キロと少ない。幾度か買い替えの提案を受けてきたが、家計の都合もあってその都度破談にしてきた。だが、ここにきてあちこち整備が必要になったので、止むを得ずついに廃車することにした。
17年間も乗ると車体と自分の身体が一体となった感覚になっている。たまに旅先でレンタカーに乗るが、ハンドルを持つ手がどうも落ち着かなかったことがある。
17年前までは、車と全く縁のない生活だった。自宅から最寄駅が近く、日常の買い物も徒歩圏内にある店舗でこと足りていたからである。と言うより当時は、運転そのものに興味を持っていなかったので、購買意欲が沸かなかったのかもしれない。しかし、当時勤めていた会社の組織変更に伴う人事異動で、山梨支店に赴任することになり、毎週大きなカバンを抱えて電車で移動する煩わしさから車での移動を考えたのである。。
月曜日に一週間分の食糧や着替えを積んで甲府市のアパートに向い、土曜日には洗濯物を積んで横浜の自宅に戻る生活が3年間続いた。月曜の朝は早かった。4時半に起きて5時に横浜市旭区の自宅を出発し、16号線に出て、町田、相模原を通り、津久井湖、相模湖を経由して20号線に入り甲府を目指した。片道124kmを約2時間のドライブである。相模湖インターから中央高速に乗った方が早いのは分かっていたが、敢えて一般道路を走った。
相模湖から勝沼辺りまでの20号線はカーブが多い。しかし信号も少ないので、半分レース気分で運転できたので飽きることはなかった。3年間も同じコースを走ると、「次のカーブでは、これ位までアクセルを踏み込んでも大丈夫だ」或るいは、「このカーブの先にはまたカーブがあるので低速で回ろう」といやでも覚えてしまうものだ。幸い無事故でやってきたが、笹子トンネルを抜けたら大雪に変わっていてスリップしたり、濃霧で視界が悪く、後方からの追突の危険を感じたこともあった。
そんな思い出のある車も、間もなく役目を終わろうとしていた。トランクルームの中は、前日のうちに整理しておいたのでカラッポである。そのためか、いつもより車体が軽い気がした。ガソリンの量もほとんどなく、エンプティランプが点灯しそうな目盛を指していた。
目的地には似たような古い車が数台並んでいた。店員は親切丁寧に手順を説明してくれた。「詳しい結果は後日メールでお知らせしますが、お客様の車は、一部を残して全ての部品がリサイクルされます。主に東南アジア方面で製造される車の部品として再び活かされます。」とのこと。廃車とは、スクラップして金属の塊になるイメージを持っていたが、最近のリサイクル率の高さに驚きである。自分の車の部品が他で役に立つことが分かって、少しほっとした気分になった。
古くなったとは言え、愛着のある物を手離すとなると一抹の寂しさを感じるものである。心の中で「ありがとう。」と言ってボンネットを軽く叩いて分かれてきた。(平)
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