その日、黒い生き物のようにやって来た海水に飲み込まれて、彼は冷たいと感じたろうか。雪のちらつく寒い日だった。数日後、遠く離れた場所で彼の遺体が発見された時、彼は自分のクラスの女子生徒を抱きかかえるようにして息絶えていた。小さな命を守りたかったのだろうが叶わなかった。彼は石巻市立大川小学校4年生の担任だった。
もうすでに1ヶ月以上前の話だが、NHKが震災から2年を追ったドキュメンタリー『わが子へ~大川小学校遺族たちの2年~』が放送された。多くの夢が失われてしまった悲しみは大きい。番組を見て胸に刺さったのは、おそらく生徒に慕われる素晴らしい先生だったろうと思われる青年のご両親の記録だ。
ご両親は亡くなった子どもたちのご家族を訪ね歩いて頭を下げて回ったと言う。子どもたちの命を守る仕事をしていた自分達の息子が、任務を果たせず多くの子供達を失うことになってしまった負い目をずっと背負って、この2年ひっそりと暮らして来た。番組のインタビューには母親だけが写っていた。おそらく父親はインタビューされることを嫌ったのだろう。その父親も畑仕事の合間に自分がいつも携帯している小さなポーチを開いて、中に入れてある1枚の写真を見せてくれた。それは4年生のクラス全員と担任の息子が写った最後の集合写真だった。校庭にクラス全員が揃って自由な格好で写真に写っている。Vサインを掲げる息子さんが小さな子どもたちの後ろに立って笑って写っている写真だ。なんと父はそこに写ったクラスの子供たち全員の名前を指さしながらそらんじる事ができた。
このブログの題名に掲げた式、(108+11)-(74+10)=35は、あの日学校にいた生徒と教師の数、そして亡くなってしまった生徒と教師の数を表している。生き残ることが出来たのはわずか35人だった。ひとりの子供には2人の親がいて、4人の祖父母がいる。生きていれば、ひとりの子供が勇気や希望を分け与えることができる血の繋がった大人たちの数は多い。だが亡くなってしまった。いかに多くの人がやりきれない気持ちを引きずって生きていることか。
石巻市の教育委員会はこの2年、遺族を集めて説明会を何度か開いて来た。だが内容は納得できるものではなかった。同じ事が続いたために、遺族の有志が集まって、記者会見を開き、市の教育委員会に本当のことを教えて欲しいとせまった。その記者会見の中でひとりの遺族が「子供たちと一緒に亡くなった先生のことを恨んでいません」と話した。その言葉は新聞記事になり、その記事を読んだ朝、例の青年の母は「恨んでいないと言ってくれた」とすぐに青年に報告した、と涙をいっぱい浮かべながら話していた。救われた気持ちがする、とも言った。
亡くなった生徒さんの親御さんからすれば、その時そこにいた教師に対する憤りを完全に払拭することは出来ないだろう。だが職務が持つ責任の重さを、これほどまでに真摯に受け止めているご両親の姿を見ると、彼らにだけはもう大丈夫ですよと言ってあげたい気持ちになった。
私の息子も昨年から海沿いの小学校で教師を始めた。同じ4年生の担任をしている。(三)
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石巻市の教育委員会はこの2年、遺族を集めて説明会を何度か開いて来た。だが内容は納得できるものではなかった。同じ事が続いたために、遺族の有志が集まって、記者会見を開き、市の教育委員会に本当のことを教えて欲しいとせまった。その記者会見の中でひとりの遺族が「子供たちと一緒に亡くなった先生のことを恨んでいません」と話した。その言葉は新聞記事になり、その記事を読んだ朝、例の青年の母は「恨んでいないと言ってくれた」とすぐに青年に報告した、と涙をいっぱい浮かべながら話していた。救われた気持ちがする、とも言った。
亡くなった生徒さんの親御さんからすれば、その時そこにいた教師に対する憤りを完全に払拭することは出来ないだろう。だが職務が持つ責任の重さを、これほどまでに真摯に受け止めているご両親の姿を見ると、彼らにだけはもう大丈夫ですよと言ってあげたい気持ちになった。
私の息子も昨年から海沿いの小学校で教師を始めた。同じ4年生の担任をしている。(三)
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