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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

3本目

2013-05-27 08:23:55 | 日記
 5月24日政府は「世界最先端IT国家創造宣言」~第二次安倍内閣の新たなIT戦略~(案)という25ページのpdfを発表し、パブリックコメントの募集を開始した。
 いわゆるアベノミクス3本の矢のうち、すでに放たれた財政政策・金融政策の2本の矢の次に来る3本目の矢、「成長戦略」をITを中心にした国家の創造としようという宣言案である。わずか25ページのPDFファイルとは言え、全文を読むには時間がかかるため面倒だ、と言う人にはIT戦略本部の議事録資料に7ページにまとめられた「概要」が公表されている。
 
 まだ案として公表されたばかりのものであるし、その中で政府自身が日本のITはIT先進国と比べると遅れてしまっていると認めているように日本の一般的なマスコミもまたITに関する理解が進んでいるとは言い難い側面もあり、(案)というただし書きが無くなって正式な宣言となるまで大々的に報道されることも無いのではないかと思う。しかしこれは日本の将来にとってとんでもなく大きな政策方針を表明したものであり、本来特集を組んででも大きく報道すべき内容のものではないかと思う。
 
 IT用語に親しい業界の人でないと、言っていることがわからない面は多いと思うが、用語以外の表現はわかりやすく、お役所の作文とは異なる力強さや夢を感じさせる。その昔、高度成長していた時代に人々が夢見ていた未来の社会を今こそ実現しようとしているかのようだ。スーパーコンピュータ京が事業仕分けの時に世界一になることに何の意味があるのかと女性議員に詰め寄られ、開発側の代表が「国民に夢を与える、あるいは世界一を取ることによって夢を与えることが、実は非常に大きなこのプロジェクトの一つの目的でもある」と説明したことは記憶に新しいところだが、この京開発側の言葉をそのまま利用したような、「世界最高水準」「最先端」「世界一」が散りばめられたIT戦略になっている。
 
 また、3つのデータという言葉も繰り返し使われている。「ビッグデータ」「オープンデータ」「パーソナルデータ」だ。特にオープンデータについてはアメリカがその背中が見えないくらい先の先を走ってしまっているため追いつくのは容易ではない。政府や自治体が持つ公共データを民間に開放しビジネスの広がりに貢献しようと言うものだ。宣言案の中では2015年度末ぐらいまでには先進国と同水準の公開内容を実現すると言い切っている。実現すれば大したものだが、基本となるお役所人材のITリテラシーが今後1年2年程度でアメリカの現状に追いつくほど急速に向上するとは考えにくい。ITリテラシーは理解度だけで無く、慣れに負う所が大きい。新制度というシステムを作ることができても、その上で工夫できるまでには相応の期間を要するように思う。おそらくかなり議論があったところだろうが、それでもあえて目標を2015年度末に置いたのは立派だ。
 
 パーソナルデータについては個人情報保護の観点から様々な声が上がったのだろう。歯切れが悪く2014年以降順次環境を整備するとだけ言って明快な目標が無い。
 TPPに関連してか農業に対するIT活用の促進については特に文字数が多い。「AI(アグリインフォマティクス)農業」と呼ぶ農業の知識産業化と海外展開(「Made by Japan 農業」)をこれから3~4年後程度で実現すると宣言している。
 
 3Dプリンターや4K8Kテレビに関する言及もあるが、これらのツールを使った新しいビジネスの支援をどのように進めて行くかについては、特に目新しいアイデアがあるようには思えなかった。

 細かい話しはこれから考えることにして、とにかく世界最先端のIT国家を作ろうよという勢いは十分感じられる。実際にここに書かれた内容で日本が動いて行くならおおよそ目標にしている2020年あたりには日本は現在とはかなり大きく変貌した国になっていることだろう。IT弱者が肩身の狭い思いをしないで暮せる世の中であればいいがと思う。IT業界に関わる人間として出来るだけのことはして行きたい。(三)


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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
コメント (1)
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