そらがあかい

昨夜飲んだくれて駅を降りるとぽつぽつと雨が肩をたたく。折り畳み傘を持っていない時に限って鬱陶しいな、と恨めし気に空を見上げるとどんよりした雲の向こう、川崎の工場地帯あたりだろうか、空が赤い。夜明けにはまだ早かろうと腕時計を確かめると0:20、終電に乗ったのだから間違いない。それにしても空が赤い。

あまりの雨の鬱陶しさにコンビニエンスストアに逃げ込みしばし雨が弱まるのを待つ。外を歩く終電仲間を見ると皆一様に雨を避ける様に背を丸めて足早に過ぎていく。そろそろかと自動ドアの向こうの濡れて滑るタイルの上に足を踏み出すと雨に空きほどの勢いはない。

終電仲間同様に背を丸めて小雨の中を歩きだす、泥棒除けか事故防止か深夜でも煌々と光を灯している工事現場のライトに照らされた雨の細かいしずくがもうすぐ止みそうな気配を伝えている。

屹立するマンション群を抜けて商店街の軒先を選んで進み、歩道橋のある交差点に差し掛かったころ雨は止んでいた。コンビニエンスストアにもう少し留まっていれば良かったな、と思いながら見上げた右手の空はさっきみた赤い空よりもさらに赤い。脈を打つように赤い空が揺れる。火事か？



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今朝ニュースを確認しても火事の報は無く、googleで検索すると某工場が余剰ガスを無毒化するために燃焼させている炎(フレアスタックというらしい)が通常よりも大きかったことで空を赤くしていたそうだ。知ってしまえば、なーんだそうか、という話しだが赤く染まる空を見た人は私の様に火事か、天変地異の類だと思ったに違いない。

皆既月食を見ようと屋上に出てみたら空が赤くて火事かなぁって言ってたんだよねー、と妻。妻のママさんネットワーク内では川崎の工場地帯にあるXXXという会社で火事だということになっていて、工場で火事だと大変だね、という話しをLINEでしたそうだ。デマ発信源が意外と近くにいたようだ。(野)

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