防災訓練

　先週末、事務所の入っているビル全体での防災訓練が実施された。地震発生、揺れが収まった後で火災発生、初期消火失敗によりビルから避難という流れで行われた。想定火災発生階に当たる事務所は通報訓練、初期消火訓練なども行うが、今のところ想定階となったことはない。想定階以外の訓練については各地区隊ごとに計画を立て、訓練を実施する。今回我が社はビルに設置してある防火・防災器具の説明などを中心に行った。

　防火扉、非常連絡電話、消火設備、非常用外梯子等々。実際に防火扉を閉めてみて、閉まった状態のときに廻りがどのような雰囲気になるかを感じてもらい、防火扉の開く方向の意味などを説明した。消火設備の下の扉を開け、中に設置してる電話やホースの実物を見てもらったり、普段は見ることができない外の避難用梯子を見てもらい、本当の非常時にはこうした場所からも避難しなければならないことを認識してもらうことが出来たと思う。

　自然災害の多い日本ではそうした災害時に対応する訓練が義務づけられ、小さい頃から何度も訓練している人がほとんどだと思う。ただ防災設備等については、普段から当たり前のように廻りにあり、なおかつ非常時以外には絶対に触ってはいけないものという意識が強すぎて、かえってその存在が忘れられているような気がしている。自分の自宅や職場など、どこに消火器が置いてあるか覚えていない人も多いのではないかと思う。自分たちの命を守るためのものということを認識し、必要なときに躊躇せず使うことができるように、毎日でなくても良いので、たまに思い出したり、意識をするようにしてもらいたいと思う。

　世の中には様々な危険が隠れ潜んでいる。自然災害、交通事故、病気等々、こうした事態に合わないで済むならそれに越したことはないが、自分だけはそうした目に合わないと考えることはあまりにも楽観的過ぎるだろう。こうしたアクシデントやトラブルを100%防ぐことは残念ながらできない。しかし、危険な目に合う確率を下げたり、いざ直面したときに出来る限り被害を少なくする方法は確実にあると思っている。

　大事なことは想像力。普段何気なく歩いている道で、くつろいでいる自宅でバリバリ働いている職場で、ひょっとしたらこんなことが起こるかもと考えてみる。そこから、こうした事が起きないようにこうしておこうとか、発生したらこうしようとか、少しでも考えを進めてみる。例え具体的な対策の実行にまでいけなかったとしても、こうして考えてみるだけで、いざというときの行動は変わってくる。決して無駄な時間にはならないだろう。

　ほんの数分考えてみるだけで、いざというとの結果を大きく変えることがあるかもしれないということを覚えておいてもらいたい。（池）

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